2001-01-01から1年間の記事一覧

田口ランディ被害の1年

*1 二〇〇一年もはや、年の暮れであります。書評まわりの誌紙面でも例年、「今年のベスト10」とか「本年の収穫」とか、そういう企画がお約束。ただ、これってお祭りみたいなもんで、年末進行に合わせて行われるのが何よりいい証拠。この時期だと年の前半に…

象徴天皇制の栄光

天皇とか皇室とかってやつは、そのことを考えようとするだけでも、正直かったるいところがあります。 それは何も「天皇制ハンタイ」とか、「戦争責任」がどうたらとか、いずれそういうしちめんどくさい大文字のあれこれがこちとらの意志や思惑などとは別に、…

座談会「女性がつくった男性商品」

*1 ●深窓の令嬢から一転<ヌードグラビア担当!? 大月 本日の司会を務めます、大月です。まずはみなさんに簡単な自己紹介をしていただきましょうか。 江部 キリンビールの江部です。ビールと発泡酒の新商品を開発しています。最近では、夏季限定の発泡酒「常…

中年になりたい

歳を早くとってみてえ、と思うようになった。 生きるのに飽きたわけじゃない。昭和三四年生まれは五黄の亥だから、今年は本厄の四二歳。故あって五年前、大学をケツめくって辞めてこのかた、厄っぽいできごとはひと通りくぐってきたようだから、いまさら改め…

消費社会と皇室

ユニクロが宮内庁御用達になる日、という話があります。 今や「新たな国民服」などと揶揄されるユニクロブランドのカジュアルウェアが、近い将来、皇室の公式ふだん着(妙なもの言いですが)になるらしい、という冗談。あるいは、サーヤの黄色いワーゲンが晴…

田嶋陽子はバカである

● 田嶋陽子はバカである。これはすでにニッポンの常識である。なのに、選挙で四十万票も獲得して今や国会議員。これもまた事実である。 とある週刊誌に頼まれて書いた何でもないコラム原稿のこんな書き出しの部分にも、昨今、編集部からは慇懃無礼な電話がか…

「立花 隆」のつくられ方

*1 メディアが英雄を作り出す手癖、というのがあります。 英雄、というのが大げさならば、うっかりとあらぬところに人を祭り上げてしまうからくり、とでも言い換えてもいいでしょう。 何も今に限ったこっちゃない。人が言葉と意味の動物であることを始めた昔…

書評・橋爪大三郎『政治の教室』/加瀬邦彦『ビートルズのおかげです』

*1政治の教室 (講談社学術文庫)作者:橋爪大三郎講談社Amazon橋爪大三郎『政治の教室』(PHP新書) *2 とにかく、新書ラッシュであります。このオーバーヒートは近い将来、ミソもクソも一緒くたの新書市場大崩壊を招くでありましょう。具体的には、目先の…

肉喰う人々

例の狂牛病をめぐる騒ぎで、わかったことがひとつあります。何かってえと、何だかんだ言っても結局あたしらニッポン人ってのは、「肉を食う」ってことがほんとの意味で身についていなかったんだなあ、ってことであります。 だって、そうじゃないですか。事の…

肉喰う人々

例の狂牛病をめぐる騒ぎで、わかったことがひとつあります。何かってえと、何だかんだ言っても結局あたしらニッポン人ってのは、「肉を食う」ってことがほんとの意味で身についていなかったんだなあ、ってことであります。 だって、そうじゃないですか。事の…

成田空港、あるいは海外旅行

海外旅行、という言葉が輝かしかったのは、はて、いつ頃までだったでしょうか。 昨今、そういう記憶自体がもうあやしくなっちまってますが、でも、一生に一度くらいは海外旅行に、という願いがほとんどの日本人にとって当たり前だった時代というのも、今みた…

TV評・「TVタックル」

田嶋陽子は「バカ」である。これはすでにニッポンの常識である。なのに、選挙で四十万票も獲得して今や国会議員。これもまた事実である。その「バカ」が先日の国会代表質問で「バカ」全開、ビン・ラディンを捕まえるな、話し合え、と吠え、あげくは「笑うな…

【草稿】「女性がつくった男性商品」座談会

*1 大月 おはようございます。大月です。 きょうは、女性の立場から見た男性商品ということで、全然業種もあれも違う、どうしてこんなにばらばらなんだって、おれ、言ったんだけれども、まあ、皆さんも、全然、それぞれお立場は違うでしょうから、その辺を含…

オンナの書評、の立ち位置

オンナのもの書き、ってのは、これだけ女性の社会進出がどうたら言われ倒しているにも関わらず、未だにやはり少数派であります。 ただ、書評の世間に限っては、案外にオンナのシトが幅を利かせてたりする。それって、テレビのキャスターなんかにお約束みたい…

フェミニズム、ってのがありまして……

かつて、フェミニズム、ってのがありました。 ました、って過去形にしてるのは、もう実態としては「イズム」なんて代物じゃとうになくなっちまってるってことを前提にしてるんですが。 ニッポンのフェミニズムってのは、基本的に「オヤジ」とセットで考える…

百円ショップの正義

百円ショップのお世話になったことは、おありでしょうか。おありなら、どれくらいの頻度でのぞきます? それはコンビニと比べると、どちらが回数が多いです? 身近にまだなくて、という向きもあるでしょう。でも、百円ショップってよく見れば最近、結構増え…

マンガと「伝統」

さて、いまどきのマンガはいったいどうなっておるのか! ……なあんて見栄切ってみたところで、特に何も始まらないんですが、昨今の出版不況はマンガにもよそごとでなくて、小学館、講談社、集英社と少なくともマンガでその屋台骨を支えている版元のどこもが、…

「論争」がなくなったワケ

*1 最近、論争というのが表立ってなくなっちまって久しいですねえ。 どうしてこの論争がなくなっちまったのか、以前、あたしゃ総括して説明したことがあります。はしょって言えば、そんなことやらかしたってトクにならない、ってことをみんな気づいちまった…

草刈場のガクモン――菊池暁『柳田國男と民俗学の近代』

柳田国男と民俗学の近代―奥能登のアエノコトの二十世紀 作者:菊地 暁 吉川弘文館 Amazon 出世するぞ、こいつ。 いや、皮肉でも何でもなく、マジメにそう思うんだわ、ほんと。 菊地暁の『柳田国男と民俗学の近代』なんてタイトルの本が出ていたもんで、ほんと…

「文科系」の頽廃

いまどきの「大学」の状況ってやつは、果たしてどれだけきちんと伝わってるんでしょうか。受験シーズンになると、未だに「東大合格者ランキング」的な企画が週刊誌あたりに載ったりしますが、ここまで膨れ上がった大学のその中身にどういうとんでもない「D…

ラブホ、またはカラオケルームのこと

クルマというメディアの低廉化、大衆化、世俗化……いや、何でもいいのですが、とにかく中古市場もひっくるめて一台の値段がバカみたいに安くなり、安定収入の有無など何のその、バイトでためた小銭にものを言わせてさえも誰もがクルマを持つのが当たり前にな…

ホームセンターの増殖

「ホームセンター」という名前の店が、最近結構目につきます。 例によっての和製英語、翻訳してみたところで何の意味もないようなものですが、それにしてもこのネーミング、日常生活まわりの「もの」ならば何でも飲み込んでしまうような、何か不思議なとりと…

越境する2ちゃんねる

とある地方でのこと。片側三車線のまずは立派な郊外道路を走っていたら、前のクルマのリアウインドゥに黄色いステッカーが。見るともなく見ると、そこには「先に逝ってよし!」。 なんかもう、瞬間にして腰から力が抜けましたな。もちろん文字だけじゃない、…

書評・勝海舟『氷川清話』『海舟座談』

戦争がおっぱじまっちまいましたな。 いくら本の話題中心に何か、という注文のこの欄でも、こりゃ何か言わねば格好がつかないだろう、というわけで、多少は能書きというか感想めいたことなど。 今回、例の「同時多発テロ」から始まる一連のできごとからわれ…

早く引退して欲しい連中

秋元 康 どうしてみんな未だにこいつに仕事頼むかなあ。こいつにまだ才能なんかあると本気で思えるやつ、手あげてみろっての。糸井重里やホイチョイなんかもそうだけど、かつて広告代理店がらみで一度成り上がったやつらは今や橋田寿賀子状態。ゼニだけふん…

家畜商免許、のこと

世は不景気のデフォルト状態、最近では資格とか免許とかに走るシトがさらに多くなっているようであります。 テレビのCMなどを見ても、資格取得関係の専門学校その他のものが、サラ金などノンバンク系金融に次いでやたらに増えてますし、予備校から大学に至…

ネット書評の価値

*1 もしかしたら、と、これは最近ずっと思っていることなんですが、あのお、新聞や雑誌その他の紙と活字の媒体よりも、今やインターネットにアップされる書評の方が、ずっとボリュームがあるんじゃないですかねえ。 もちろん、ネットの書評は書き手が基本的…

ケータイを捨てよ、着信圏外へ出よう

電車やバスといった場所でおおっぴらに携帯電話を開いてカチャカチャやる若い衆、というのは、もうすでにいまどきのニッポンの風景として定着したようであります。 単なる通信機器であることを超えて、メールその他の複合機能がてんこ盛りに詰め合わされたニ…

書評・林房雄『大東亜戦争肯定論』/火野葦平『陸軍』『革命前後』

いまさら言うまでもないことですが、世の「構造改革」の大波は、「エラい」にあぐらをかいてのほほんとしてきた活字と本の世界にも、ガンガン押し寄せてきております。 零細生産者であるこちとらもの書きや版元の事情はひとまずおいておくとしても、小売りで…

「キャラ」ということ――小池一夫・編『キャラクター原論』

キャラクターはこう創る! (小池一夫の漫画学―スーパーキャラクターを創ろう)作者:小池 一夫小池書院Amazon キャラ立ち、というもの言いがあります。 主としてマンガ業界から発したものだと思いますが、連載マンガなどで登場人物のありようがいきいきとしてき…