2015-01-01から1年間の記事一覧

「恐妻」とその周辺・ノート 

● 「恐妻」というもの言いがあった。昨今ではもうあまり使われなくなっているようだが、敗戦後、昭和20年代半ば過ぎあたりから、当時の雑誌やラジオその他のメディアを介してある種「流行語」になっていたとされる。 この種のもの言いを糸口に何か考察を始め…

書評・『マンガでわかる戦後ニッポン』 (双葉社)

マンガでわかる戦後ニッポン作者:手塚 治虫,水木 しげる,つげ 義春,はるき 悦巳,ちば てつや ほか双葉社Amazon 「歴史戦」というもの言いが飛び交い始めています。いわゆる「歴史認識」をめぐる情報戦の現在。けれども、それは何も国と国、対外的な大文字の空…

政治と宗教、のいまどき

宗教と政治、という、このただでさえ脂っこくもしちめんどくさいふたつの領域が、共に重なってさらにめんどくささ自乗になる案件が、この夏このかた、浮上してきてました。 もちろん、これは何も「宗教」だけではないわけで、「社会」であれ「文化」であれ何であ…

葬式が「なくなる」?

葬式はなくなるのかも知れない、と最近、思い始めています。それも割と本気で。 何をバカな、人間生きている限り死ぬのは必定、古今東西あらゆる文明、文化において「死」を何らかの形式で意味づけたり、またそのことで生きてる者たちの側に「あきらめ」を意…

【翻訳】D.A.メッサーシュミット「手もと足もと」での人類学について――文化人類学における「自文化研究」の今日的意義

*1 Donald A. Messerschmidt On anthropology“at home” In Anthropologist at Home in North America : Methods and Issues in the Study of One's Own Society. Edited by Donald A. Messerschmidt Cambridge University Press, 1981*2 ● これまで、通過儀…

聞き書きは、なぜ「難しい」ものになってしまったのか――「聞き書き」という手法の本来的可能性についての一考察

「聞き書き」は、民俗学の主要な手法のひとつとして認識されてきた。それは近年「インタビュー」や「取材」なども含めて、オーラルヒストリーやエスノグラフィーなど、人文・社会科学系の分野での「質的研究」領域の進展と共に改めて注目されている。その「…

「リメディアル」のはらむ,とりとめなくも壮大な射程距離

「リメディアル教育」というもの言いをちゃんと見知ったのは,恥ずかしながらここ数年のこと。97年の春,思うところあって当時勤めていた大学というか共同利用研を辞めてこのかた,丸10年の野良暮らしの後,縁あって今の職場にまた腰据えるようになったのを…

浮上してきた、もうひとつの「宗教」問題

一に体力、二に好奇心、三に自分と他人の区別がつくこと、四に信心。仏になるための条件だそうです。あたしが言ってんじゃない、ある宗派の坊さまがそうおっしゃってたんですが。 これ、最初に信心がきちゃうとまずいんだそうで。なぜか。最初に信心ありきの…

書評・臼田捷治 『工作舎物語――眠りたくなかった時代』(左右社)

*1 工作舎物語 眠りたくなかった時代 作者: 臼田捷治 出版社/メーカー: 左右社 発売日: 2014/11/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (10件) を見る 工作舎、という名前で反応できる、してしまう向きは言うに及ばず、すでに歴史の過程と距離感持つ若い…

【草稿】書評・臼田捷治『工作舎物語――眠りたくなかった時代』(左右社)

*1 *2 さてお立ち会い、「工作舎」という名詞一発で反応できる、しちまう向きは言うに及ばず、すでに歴史と距離感持つ若い衆世代にとってはおのれの現在からどう地続きにしてゆくか、その器量試しの一冊だ。 70年代半ば、東京の片隅に宿った小さな集団。編集…