インタヴュー

民俗学者(下)――赤松啓介さん

なるほど、同じ学生と言っても、昭和初年の「学生」は昨今のそれとは全く意味が違う。冗談ではなく今の大学院出の博士様ぐらいの感覚は一般にあったはずだ。 そういう“エラい”の代表のような学生が、これまた“エラい”の印である学生服に学生帽でもかぶってム…

民俗学者(上)――赤松啓介さん

「路上の達人たち」というタイトルで、永らくこの誌面をお借りしていろんな人の話を聞かせてもらってきた。 バナナの叩き売りの北園さんから始まって、「人間ポンプ」の安田さん、個人タクシーの坂口さん、鯨とりの川崎さん……などなど、移動する仕事、言わば…

インタヴュー・渡辺文樹

● いきなり眼の前に現われた渡辺文樹は、入口からのっしのっしと大股で近ずいてきた。そして、大きな声でお国なまりの挨拶一発。 「いやぁ、遠いところわざわざ来てもらって、悪かったねぇ」 福島市内、小さいけれども去年建ったばかりとかでまだ真新しい映…

高橋喜一郎 聞書――天体望遠鏡「TS式」製造

Star Gazer という言葉が英語にはある。文字通りには「星をのぞく人」。だが、転じて、「現実離れした夢ばかり追いかける人間」というような、あまり名誉とは言い難い意味もあったりする。 白状すれば、僕もその Star Gazer ――言わば天文少年のはしくれだっ…

夢の分け前――吉田善哉という人

www.youtube.com*1● アメリカってなんですか? 自身の持ち馬で欧米の重賞をいくつもかっさらい、イギリスやケンタッキーに牧場さえ経営していたこともある世界的ホースマン、ゼンヤ・ヨシダに対して、かなり間の抜けた質問だとは思った。でも、意地でもこれ…