マンガ

CLAMP『ちょびッ』

*1 動物を擬人化して描くのはマンガのお約束。『ジャングル大帝』や『ライオンキング』のような、およそ生態系を無視した代物ができたりするが、もはやそんなもんで驚いてちゃいけない。二一世紀はパソコンまでヒトになっちゃう。 CLAMP『ちょびっッ』…

ヤンキーマンガの〈いま・ここ〉――古沢優『東京板橋マル走自動車教習所』

東京板橋マル走自動車教習所 1 (1) (ゴマコミックス)作者:古沢 優ゴマブックスAmazon 今、日本全国のコンビニエンスストアで売られる雑誌や文庫本、マンガ本など、いずれ「本」の形をした商品の売り上げ全部をひっくるめた額は、全国の紀伊国屋書店全ての売…

山上たつひこ、の復活を望む

*1● 朝日新聞が今年から始めた手塚治虫漫画賞が、ようやく第一次選考まで終わった。 選考委員が三十名という、この種の賞としては異例の多人数だったことに加えて、委員が顔を合わせて合議をせず、それぞれの推薦する作品に持ち点を配分して投票した結果を機…

つの丸『みどりのマキバオー』の断然

*1 えー、まいど、民俗学者の大月です。 このたび新しくこの『ビッグゴールド』のお座敷にお呼びがかかりました。一部では「日本一性格の悪い学者」「学者の皮をかぶったゴロツキ」、あるいは「本多勝一から中島みゆきまで、あとさき考えず噛みつく狂犬ライ…

マンガ評・唐沢なをき『電脳なをさん』(アスペクト)

唐沢なをきの新刊『電脳なをさん』(アスペクト 一六〇〇円)がいい。 もとはコンピュータ雑誌『EYE−COM』(アスキー)に連載されていた作品だが、担当編集者による巻末の解説(よくまとまっている)に「20年前の四月馬鹿に、高校の同級生ふたりが作…

手塚治虫という神話

*1 手塚治虫というと、何か“リベラル”で“民主的”な作家の代表のように取り扱われる傾向があります。特に彼が亡くなった後、雨後の筍のように出された玉石混交の「手塚本」においてその語り口はみるみる型通りのものとして形成されてゆきました。 そのような…

とり・みき インタヴュー

*1● ――こういうインタヴューとか対談といった仕事はこれまでもされてたんですか。とり いや、初めてですね。最初は、別にマンガ家に限らないで自分が興味を持った人のところに行って話を聞くというシリーズだったんです。編集部としてはマンガを描いて欲しか…

「運動」から「排除」され始めた、小林よしのり

*1 漫画家の小林よしのりが、これまであれだけ八面六臂で支援し続けてきた「エイズ薬害訴訟を支える会」から逆に排除され始めている。 少し前、『サピオ』(小学館)に連載中の「新・ゴーマニズム宣言」の中で、支える会の若いメンバーの将来を懸念して、ま…

マンガ評・小林まこと『1・2の三四郎 2』(講談社)

歳をとる、というのは難しい。単なる年齢を加えるというだけならば、それは誰もが経験する、生き物なら逃れられぬ過程だ。しかし、うまく歳をとってゆくことは、現実はもとよりたとえ虚構の中でさえも、本当に難しい。 だが、小林まこと『1・2の三四郎2』…

大塚英志、許すまじ

大塚英志がサントリー学芸賞を受賞したという報を耳にした。しかも、こともあろうに漫画をめぐる仕事で、だ。 このような賞にまつわるあれこれを外野がガタガタ言うのは、どんな正当な理由があっても、見てくれとしてみっともいいものにはならない。ならない…