メディア

いなか、という問い

● 「いなか」のありようが変わっています。「いなか」というもの言いで示される、想定される中身がかつてと変わってきている、そういう意味において、です。 そんなもの当たり前じゃないか、と観単に言うなかれ。「いなか」と口にし、眼に入った瞬間に反射的…

「ネトウヨ」雑考

「ネトウヨ」というもの言いがあります。「ネットに棲息する右翼(的思想を持っている者)」とでもいうような意味らしい。昨今、雑誌その他の表のメディアでもちらほら使われ始めているようですから、眼にされた向きも少なくないかも。いや、それどころかそも…

創刊40周年、のこと

創刊40周年、ってのは、何にせよまずすごいですね。素直におめでとうございます、です。 創刊当時、70年代初めの札幌のメディア状況がどんなものだったのか、『クオリティ』『財界さっぽろ』等の先行誌に対してどういうスタンスで殴り込んだのか、などなど記…

マンガと大衆文学・再考――吉田聡『江戸川キング』をめぐって

「大衆文学はある日、忽然として誕生したわけではない。それに先行するいくつかの先駆的形態をふまえている。とくに大衆時代ものは講談・人情噺・歌舞伎・祭文・あるいは近世庶民文芸などに材をあおぎ、近くは渋柿園や碧瑠璃園の歴史もの、浪六の撥鬢小説な…

Twitterのこと

勤め先の公式?サイトから分離独立することになったのを機に、思い切ってこのブログと連動させてみました。 http://twitter.com/kingbiscuitSIU さて、どうなることやら…… とは言え、ただつぶやくだけ、というのがどうも苦手らしくて、しかもその合間にいろ…

対談・富野由悠季

*1 佐世保小6女児殺害事件に関する大月隆寛氏のルポルタージュは、あの事件に対しての多くのメディアの視点いわゆるネット、チャット、『バトル・ロワイヤル』(高見広春の小説。'00年に映画化)というものとは違い、彼女の生まれ育った場所と置かれた環境…

平山蘆江の不思議――民俗学的知性とその身体に関する一考察 

―― 一般の人は、花柳界といふ名で特殊部落のやうにかたづけ、時としてさげすみさへするし、文人たちも花柳小説と呼んで外道のやうにあつかひ、花柳界の人たち自身も弱い稼業とか、水商賣とかいふ風に、自らを卑下したがるのだが、もっと眞實に、親切に見なほ…

ルポ・ノンフィクション、の行く末

● 朝倉喬司さんが亡くなりました。すでに報道等でご存じの向きもあるでしょうが、いわゆる孤独死、と呼ばれてしまうような、とても残念な最期でした。 ルポライター、ノンフィクション作家、犯罪評論家……肩書きは何でもいいでしょう。いずれ同時代を駆け抜け…

情報環境の変貌から

● 情報環境の変動が、いまや誰の眼にもわかりやすくそこここに現象として現れるようになっています。本誌の読者諸兄姉ならば言うまでもなく承知されていることでしょう。新聞、テレビ、雑誌……これまで一律に「マスメディア」とひとくくりにされてきた既存の…

記者クラブ「開放」の是非

● 記者クラブ、いる? いらない? なんでおれに訊こうと思ったの。ほかと違うこと言いそうだから? じゃあさ、なんでみんなおんなじような答えになると思う?*1 いや、総論は賛成なんですよ、上杉隆氏とかの言ってることには。記者クラブがおかしいなんてこ…

ジャーナリズムの「本領」

*1 ● メディアの現場でいま、ほんとに何が起こっているのか、誰もが気にするようになってきています。なのに、それでもその〈リアル〉について、つぶさにことばにされることはほぼないまま、です。 このことは、これまでも折に触れて指摘してきました。いわ…

遠い「歴史」「日本」

● 「昭和」というもの言いを、若い世代が好んでするようになり始めています。 何か自分たちの感覚からして違う、違和感があるできごとに遭遇すると、それって「昭和」だよね、と口にする。ちょっとした言動や身振りはもとより、テレビや映画の登場人物、レス…

『とてつもない日本』騒動について

*1 Q:このようにネットを介してベストセラーをつくるとか、モノの売り上げを上げるといった動きはこれまでもあったのか? ネットを媒介にしていろんなモノを売ったり、ランキングあげようといったことは、2005年頃からちらほら目立ってきたんですが、ただ、…

「とて日」騒動、余録

● 『とてつもない日本』をめぐる騒動について、少し話しておきたい。例の麻生首相の著書が、ネットを介した「祭り」でにわかに売り上げが急増した、という話である。 「祭り」当日は3月10日。いわゆるマスコミのレヴェルでは、翌11日づけの産経新聞にとりあ…

振り込め詐欺とケータイの関係

いわゆる「振り込め詐欺」の被害がおさまらないようです。この世界恐慌まがいの状況でなお、被害額は増え続けているとか。手口は国境を超えて、アジアに向けても広まっているとも。お盛んなものです。 もともと、一人暮らしのお年寄りを狙って、という手口だ…

追悼、筑紫哲也サマ

憎さも憎し、なつかしき――こんな下の句がつく川柳は古くから。上の句の主は「碁敵」だったはずだが、さて、このたび現前した事例はというと、そんな碁敵どころか立派にわれらが社会の敵、世のおおかたが憎し、疎まし、うざったい、と思っていた人物に対する…

「格差」の胡散臭さ

● 「格差」ということが、あたりまえのように言われるようになった。 言葉自体は、岩波新書から出た『格差社会』あたりが一応、火付け役ということになるのかも知れない。もともと経済学者の橘木俊詔が書いたものだったから、経済学のバックボーンを持つ術語…

同業他社の不行跡から

● 同業他社というのは、常に微妙な関係である。まして、業界自体が先細りが見えているとなるとなおのこと。舳先と船底と、それぞれ持ち場居場所は異なれど、いずれ沈みかかって傾き始めた船に乗り合わせているのは同じ。どこから水が入るか、どちらに傾くの…

グルジア大変

ペテ…あ、いや、ペキンオリンピック報道のから騒ぎにかき消されてほとんど表に出てないようですが、グルジアがえらいことになっているようです。ロシアとほぼ戦争状態とか。何もその道のプロでなくても、いまどきの情報環境を介して伝わってくる断片からだけ…

チューナー抜きモニタテレビを

お気づきでしょうか。NHKの画面右上に、ちっちゃく「アナログ」という文字が映るように。 むかし、同じように「カラー」というロゴが映っていた時期がありました。カラー放送が始まり、それに連れてカラーテレビの普及がめざされていた頃。もう四十年ばかり…

萩本欽一の「戦後」、そして偽善

● 24時間テレビ、という偽善がある。日本テレビが勧進元となって毎年、夏場に臆面もなく繰り広げられる、いまや威風堂々、眼のそむけようすらないくらいの偽善である。 初手から偽善だった、とは言わない。善意が年月を経るうちに、そこに取り巻いた名もない…

テレビの終焉

テレビはもうすぐ「地デジ」に移行しますよ、今のアナログ放送にしか対応してないテレビじゃ見られなくなりますよ、と必死の宣撫工作が、なんともうとましい昨今です。お上のご意向もあり致し方ないのでしょうが、でも、それってすでに「狼少年」状態。めん…

「観光」と〈おはなし〉の間――「五寸釘の寅吉」をめぐって

*1 *2 ● 五寸釘の寅吉、の譚である。 「五寸釘の寅吉」、本名西川寅吉。明治時代の犯罪者で、何度も脱獄を繰り返したことで知られる。特に北海道の樺戸や空知の集治監から数度にわたって脱獄したことで、「有名」になった。単に全国的にメディアを介して知ら…

シナから学ぶ恥知らず

シナがえらいことになっています。例の毒入り冷凍ギョウザ事件? いやいや、そんなのはまだ序の口で、夏の五輪を控えたこのタイミングでチベットでの人権蹂躙、軍による弾圧をやらかしちまって、しかもその後、お約束で開き直って何とかなると思っているから…

大正初期浪曲雑誌の一動向――『正義之友』から『駄々子』を素材に

*1 *2 *3 ――この間初めて一席ぶっ通して聞いたがね、妙なもんですな、浪曲って奴は。なんとなく憎めない駄々っ子といった感じですな。古い浪曲の範疇に属する語り手なんだろうが文句なんか相当デタラメが多い。それでも糞ッと思えない所がなんとも妙だ。 *4 …

二代目筑紫哲也賛江

いやあ、とっっても残念です。病気療養中だった『ニュース23』の筑紫哲也キャスター、ついに一切真実これきり本当にまことに見事に降板、なんだそうで。 ああ、かつては新聞というジャーナリズムの総本山、言わば知性と良識の高天原から、テレビなどという世…

小林よしのり、という自意識

● 小林よしのり、の現状の「恥ずかしさ」について述べる。 異能の“プロ”としての漫画家から、ただの凡庸な十把ひとからげの言論人として「上へ向って堕落した」現状のことであり、その立ち位置から「反米」を弄して思想/言論沙汰に明け暮れるようになった経…

世渡り「保守」の行く末は?

「保守」が昨今、ようやく恥ずかしいものになりつつある。それもかなりはっきりと。 もともと恥ずかしかったじゃん、というツッコミは却下。同様に、じゃあサヨク/リベラルはどうなんだよ、といった抗弁も。それらはすでに陳腐化している。問題は、未だそう…

沖縄「11万人」騒動、余波

これぞ「格差社会」の現実、かも。いや、収入や学歴、ではなく情報環境による格差、ですが。中央と地方の間に横たわるようになっているメディアリテラシーの深刻な格差が、ほら、眼前にまざまざと。 沖縄の「集団自決」が「軍の強制」だった、という教科書記…

クロウトの領分、とは?

シロウトとクロウトの間の垣根がなしくずしになくなっています。生身としてはろくでなし、とても普通の暮らしに適応できない、でも何か取り柄はある人間を世間にさらし、その取り柄で世渡りさせる稼業。うっかりと不特定多数に「見られる」自分は当然、カタ…