思想

元気出せ、サンデー毎日!

えー、わが『サンデー毎日』の編集長が新しい方に代わられたそうであります。のみならず、かなり大がかりな人事刷新が行なわれた様子。いや、こちとら屋台引いてる単なる零細出入り業者ですからそれ以上のことはよくわかりませんが、暖簾も格式もある大店(…

「無用の長物」の消息について

〈敗戦後という状況の中で輝いた「民俗学」〉 柳田国男が構想した大衆社会の内側からの「歴史」の回復運動について、ご紹介がてらに語ってきました。 一九二〇年代から三〇年代にかけての大衆社会化が進展してゆく時期に運動として立ち上がったそれは、当初…

岩下俊作選集、のこと

もともとそういうタチではあったのだけれども、この春に勤めを辞めてこのかた、パーティーとか宴会、果てはちょっとした呑み会の類に至るまで、とにかくそういう場に顔を出すことがとことんおっくうになってしまっている。 これではいかん、ただでさえ人から…

酒鬼薔薇の周辺、に告ぐ

かの神戸の一件について、案の定「教育」のせいや「家庭」のせい、果ては「社会」のせいにするもの言いが一部で流通し始めている。 反吐が出る。親ですら何してるかわからなかったものを学校の先生がわかるはずがない。まして社会が知ったことか。なのに、こ…

ワイドショーとニュースの関係

「神戸小六男児惨殺事件」が世間の話題をさらっている。とんでもねえ事件だというのはもちろんだけれども、ああ、とうとうこういう怪物みたいなわけのわからない内面を持ったのが平然と日常に存在するようになっちまったんだなあ、という感慨が僕にはある。…

「歴史」がその輪郭を変えてゆく

● 「歴史」がその輪郭をみるみる変え始めています。この世紀が変わる頃までには、われわれ日本人にとっての「歴史」のありようは、少なくとも戦後半世紀の間共有してきたそれとはずいぶん違ったものになってゆくような気配が、良くも悪くも濃厚にあります。 …

腫れもの扱い、北朝鮮

北朝鮮が亡命騒ぎで大変なことになっちまってます。 「かつてのソ連からマルクスが亡命したようなもの」なんてうまいこと言う向きもあるけれども、何にせよあの黄さんという書記は北朝鮮でそれくらいとんでもなく高い地位にある人ということらしい。 一方で…

「歴史教科書問題」の、ある本質

教科書なんてどんな妙なものでも教え方ひとつ、「これは間違ってますよ」という反面教師だって教科書の役割だとさえ思う。それに、今に限らずこれまでだって何も教科書だけで人々の「歴史」意識が形成されてきたわけでもない。時代劇や小説や、その他実にさ…

松本智津夫の現在

メディアの舞台での「麻原彰晃」は、いつの間にか「松本智津夫」と呼ばれることになっているようであります。大声を出して興奮したり独語したりで保護房に移されたそうだけれども、今頃になって拘禁反応が出てきたんだろうか、それとも大方の人がうすうす疑…

「アジア」の純真

先週文句を言った尖閣列島の問題の続き。その後、香港にある日本の通信社が抗議船に乗り込んで撮影していた映像がテレビ放映された。でかした。こういう足腰がないとニュースは面白くならねえ。 あの抗議団体ってのが実はほとんど何の準備もないままで、しか…

「正論」的「保守」言説の限界

*1 「保守」と言われ、「右」と言われる。最近では僕などでさえ、こういう場で連載を持っているというだけでそのようにレッテルを貼られることが少なくない。まして、いわゆる「東京裁判史観」に疑問を呈し、その枠組みを相対化するようなことを言ったならば…

続く「盗用」問題の背景

立て続く「盗用」問題に出版界が揺れている。それも学術や思想関係といったいわゆる“マジメな本”の領域でだ。講談社のメチエ選書の一冊にかなりひどい「盗用」が発覚し、すったもんだのあげく回収騒ぎになったのが今年の始め。また、吉川弘文館の出した入門…

「運動」から「排除」され始めた、小林よしのり

*1 漫画家の小林よしのりが、これまであれだけ八面六臂で支援し続けてきた「エイズ薬害訴訟を支える会」から逆に排除され始めている。 少し前、『サピオ』(小学館)に連載中の「新・ゴーマニズム宣言」の中で、支える会の若いメンバーの将来を懸念して、ま…

メディアと結果責任

坂本弁護士一家殺害事件はあってはならない不幸な事件だった。それは全くその通りだ。何も一部の弁護士たちの言うように「弁護士が殺害されるなんてとんでもない社会だ」てな特権意識に立ってのことではない。どんな商売に携わる者であれ通常の市民生活を営…

「宗教」は、なぜ隠さねばならないのか

辞任した田沢法務大臣が立正佼成会をバックにしている政治家である、ということは、今回の一件で初めて知った。いや、そんなもん当の信者の方々はとうにご存じだったのだろうが、でも、こちとら世間のもんにはちっとも知らせてくれてないんだもの。へえ、そ…

宗教学者と破防法の関係

昨今袋叩きにあっている宗教学者島田裕巳センセイとは小生、多少顔見知りの間柄であります。だもんで、この四面楚歌に関しては個人的にはお気の毒とは思うが、しかし、弁護するつもりは全くない。いや、良くも悪くも学者らしい、実にやんごとないお人柄で、…

林 芙美子

『放浪記』が好きだ。 たとえば、女給仲間との身の上話に興じる様子を描写したこんな一節。 「こんな処に働いてゐる女達は、初めはどんなに意地悪くコチコチに用心しあってゐても、仲よくなんぞなってくれなくっても、一度何かのはずみで真心を見せ合ふと、…

岡 正雄

*1 民俗学や人類学まわりの学史を浪曲仕立てでやったらどうなるか、ということを、まだ院生の頃、いずれ劣らぬ悪ガキたちの間でやっていた時期がある。 その時気づいたことは、“ふたつのミンゾク学”(民俗学と民族学)が未だ渾然一体としていた戦前には、柳…

オウムとメディア、その「批判」のありかたについて

*1 地下鉄サリン事件から始まったオウム真理教がらみの大騒動だが、事態がひとめぐりして幕切れが見えてくるに連れて、改めて警察の過剰捜査についての批判が出始めている。それらは報道のあり方に対する批判とも複合しながら、実際のところ何が起こっている…

オウムとメディア、その「批判力」のありかたについて (草稿)

*1 地下鉄サリン事件から始まったオウム真理教がらみの大騒動だが、事態がひとめぐりして幕切れが見えてくるに連れて、改めて警察の過剰捜査についての批判が出始めている。 それらは報道のあり方に対する批判とも複合しながら、なるほど大騒ぎしていること…

これは「宗教」弾圧でも「思想」弾圧でもない

*1 地下鉄サリン事件から始まったオウム真理教がらみの大騒動だが、事態がひとめぐりして幕切れが見えてくるに連れて、改めて警察の過剰捜査についての批判が出始めている。それらは報道のあり方に対する批判とも複合しながら、なるほど大騒ぎしていることは…

オウム・陰謀論と「リベラル」

*1● いよいよもって大変な局面になってきましたね。○ オウム真理教の一件かい。● そうですよ。確かに状況証拠からはサリンを作ったってことだけは疑われても仕方ないし、これまで拉致監禁なんか繰り返してきてることもまずいですよ。でも、それはそれとして…

民主的「制限選挙」のススメ

*1● 今から六年前、アントニオ猪木が初めて出馬した八九年の参院選の時に、戦後選挙史上例を見ない大量の無効票が出た、という話がまことしやかに語られたことがあります。 この、事実かどうか普通の人には容易に確認できないという意味ではまごうかたなく噂…

『マルコポーロ』廃刊について

『マルコポーロ』廃刊の一件である。 記者会見で文春が社長の田中健五名義でリリースした手紙を読んだ。ひどいものだ。いわゆる差別問題がらみの「糾弾」に対するルーティンの「謝罪」文書とどれだけ違うのだろう。いかに今回の問題がお粗末でも、こういう膝…

どうして「現場」へ行きたがる?

阪神大震災の報道を見ていて思ったことはいくつかあるが、まず不思議だったのは、どうしてニュースキャスターたちが先を争って現地へ行かねばならないのだろう、ということだった。いきなり「温泉場のようです」と馬鹿な第一声をやった筑紫哲也を初めとして…

岩田準一。志摩の入江に宿った 一途で美少年好みの小さな学問。

テーマは一貫して男色。昨今取りざたされることの多い、かの南方熊楠との間にも、たっぷりと往復書簡が残っている。 男色とひとくくりに言うものの、今はよくわからないものになっていて、ゲイだの何だのといきなりの横文字に突然この世に舞いおりたようにさ…

「文学」の歴史性、その鈍感も含めて

同年代の、というと、具体的には三十代後半から、下はせいぜい二十代半ばあたりまでになるのだが、およそそのような年格好のもの書きや編集者たちと顔を合わせる機会があると、どうしてこれまで「文学」というのはあそこまで特権的な存在でいられたのか、と…

夕刊紙の古色蒼然

タブロイド版の夕刊紙というのは、つい習慣で買ってしまうものだ。たいていは駅売りのキヨスクかコンビニあたり。宅配もやっているらしいが、わざわざ自宅に配達してもらっているという人の話は寡聞にして知らない。メディアとしてはあくまでも家の外で斜め…

『別冊宝島』創刊200号

宝島社の看板雑誌『別冊宝島』が創刊二〇〇号を迎えました。 それを記念して、これまでのベスト・セレクションが出ています。題して『我らの時代』。表紙の惹句によれば、「二〇〇冊一二万枚の原稿の中から選ばれた、時代を浮き彫りにする傑作ノンフィクショ…

拝復、『噂の真相』賛江

筆の勢いというのはある。また、勢いで書きつけねばならぬ仕事の立場というのもある。だが、それも長年やっているとその立場も自覚できぬままの、言わば考えなしの自動筆記と化してくる。ひとり正義ヅラしたメディアの無責任はそんなところに胚胎する。 *月…