文化

浮上してきた、もうひとつの「宗教」問題

一に体力、二に好奇心、三に自分と他人の区別がつくこと、四に信心。仏になるための条件だそうです。あたしが言ってんじゃない、ある宗派の坊さまがそうおっしゃってたんですが。 これ、最初に信心がきちゃうとまずいんだそうで。なぜか。最初に信心ありきの…

書評・臼田捷治 『工作舎物語――眠りたくなかった時代』(左右社)

*1 工作舎物語 眠りたくなかった時代 作者: 臼田捷治 出版社/メーカー: 左右社 発売日: 2014/11/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (10件) を見る 工作舎、という名前で反応できる、してしまう向きは言うに及ばず、すでに歴史の過程と距離感持つ若い…

【草稿】書評・臼田捷治『工作舎物語――眠りたくなかった時代』(左右社)

*1 *2 さてお立ち会い、「工作舎」という名詞一発で反応できる、しちまう向きは言うに及ばず、すでに歴史と距離感持つ若い衆世代にとってはおのれの現在からどう地続きにしてゆくか、その器量試しの一冊だ。 70年代半ば、東京の片隅に宿った小さな集団。編集…

「ブラック企業」と「宗教」

最近、こんなことがありました。 ゼミの学生、いまどきのこととてデキはよろしくないけれども、まあ真面目で、ちと堅すぎるくらいもの堅い性格の男の子、仲間とのつきあいすらぎくしゃくするようなところのままある、まあ、いわゆる「コミュ障」と昨今言われ…

笹井センセの謎、その他

笹井はノーベル賞候補とさえ言われた人物です。彼のES細胞は、生体から卵子を取り出さなければならず、倫理問題から人体への転用ができな くなりました。そこにiPSが登場し、ノーベル賞をかっさらったという流れです。それでも笹井はエリートですし、収入…

生活・暮し・日常――開かれた民俗学へ向けての理論的考察③

知識人や《文化》人は(どういう理由からか)日常生活は低俗なものしか提供できないと頭から固く信じている。このような確信は、あらゆる非形而上学的生活を陳腐なもの、公認されないものとして投げ捨ててしまういわゆる《実存》哲学においては、重要な役割を…

マンガが「読めない」若い衆から

マンガを読めない学生若い衆が増えている。そう言うと、ぽかん、とした顔をされます。嘘でしょ、冗談ですよね、といった大真面目な問いかけと共に。 そんな顔を目の当たりにするたびに、こちらはこちらで、ああ、やっぱりそういうことなんだ、と同じように呆…

宮崎駿の「引退」をめぐって

宮崎駿はいかにして「国民的映像作家」となったのか。どのような作風が国民の心をつかむに至ったのか。また、商業的成功を支えたバックアップ体制に独自のものがあった、などということはあったのか。具体的なエピソードなどもあれば、それとともに。 「国民…

「夏」「いなか」、そして「敗戦」

● 「夏」のありようが変わっています。「夏」というもの言いで示される、想定される中身がかつてと変わってきている、そういう意味において、です。 「夏」と口にし、眼に入った瞬間に反射的に立ち上がるイメージみたいなもの自体が、すでにあらかじめ設定さ…

ある競馬ウマのこと

● ある名もない競走馬の話、である。 ソリダリティ(アア)牝 12歳 鹿毛 2002年4月12日生まれ。 父レオグリングリン、母オリビアン、母の父ファストセンプウ。 戦績125戦30勝。2着24回3着14回4着7回5着8回着外42回。連対率43.2%。 所属競馬場……福山〜高…

マチとイナカ、の現在

● マチとイナカ、といったことを、いまさらながらに少し考えています。 古くて新しい問い、ではありますし、またその分陳腐で月並みにしか響かないものでもありますが、でもだからこそ、今のこの21世紀のニッポンにとって大事な問いのはず、という確信もそれ…

「挫折」と「敗者」――「北の人」山口昌男のこと

薄く霜がおりたようなフロントグラスに、はじける朝の陽がまぶしかった。くたびれた商用バン、使い込んだディーゼルエンジン特有のあのゴロゴロ音とすすけた排気ガス臭が、見渡す限り真っ白な冬の雪原に似合っていた。 とりあえず除雪だけされた黒い帯のよう…

政と桃ちゃん、寺山のつむいだ「競馬」

スシ屋の政、と、トルコの桃ちゃん。この名前にさて、そこのあなた、聞き覚えがあるだろうか。耳にした瞬間、ああ、と思わず口もとがかるくほころんじまうような感覚が、まだ身の裡に残っているだろうか。 別に映画やドラマってわけじゃない。だからどこかの…

お稽古ごと、の豊かさ

● お稽古ごと、というのがあります。 昨今のこと、子どもたちに限ってみても、昔ながらの習字やそろばん、学校の勉強を助ける意味でのいわゆる学習塾や英会話教室の類いのみならず、ピアノにバレー、サッカーに野球に水泳や柔道や空手といったスポーツ系の身…

マンガと北海道

● 北海道とマンガ、の関係について考えてみました。これもまた「ホッカイドウ学」の一環です。 去る3月始め、『ホッカイドウ学的マンガ学夜話』と銘打って、札幌市内でトークセッションを行いました。登場してもらったのはNHKの隠れた名物番組『BSマンガ夜…

マンガと大衆文学・再考――吉田聡『江戸川キング』をめぐって

「大衆文学はある日、忽然として誕生したわけではない。それに先行するいくつかの先駆的形態をふまえている。とくに大衆時代ものは講談・人情噺・歌舞伎・祭文・あるいは近世庶民文芸などに材をあおぎ、近くは渋柿園や碧瑠璃園の歴史もの、浪六の撥鬢小説な…

対談・富野由悠季

*1 佐世保小6女児殺害事件に関する大月隆寛氏のルポルタージュは、あの事件に対しての多くのメディアの視点いわゆるネット、チャット、『バトル・ロワイヤル』(高見広春の小説。'00年に映画化)というものとは違い、彼女の生まれ育った場所と置かれた環境…

日高の風景から(改)

●*1 春先から初夏にかけて、梅雨もなくカラッと乾いた大陸性の気候、その分遠くまで焦点のくっきり合ったかのような風景の中、緑の牧草がじゅうたんのように生えそろった放牧場のあちこちに、近く遠くたたずんで草を食んでいる親子連れのサラブレッド……北海…

日高の風景から

● 春先から初夏にかけて、梅雨もなくカラッと乾いた大陸性の気候、その分遠くまで焦点のくっきり合ったかのような風景の中、緑の牧草がじゅうたんのように生えそろった放牧場のあちこちに、近く遠くたたずんで草を食んでいる親子連れのサラブレッド……北海道…

平山蘆江の不思議―― 民俗学的知性とその身体に関する一考察 

―― 一般の人は、花柳界といふ名で特殊部落のやうにかたづけ、時としてさげすみさへするし、文人たちも花柳小説と呼んで外道のやうにあつかひ、花柳界の人たち自身も弱い稼業とか、水商賣とかいふ風に、自らを卑下したがるのだが、もっと眞實に、親切に見なほ…

ルポ・ノンフィクション、の行く末

● 朝倉喬司さんが亡くなりました。すでに報道等でご存じの向きもあるでしょうが、いわゆる孤独死、と呼ばれてしまうような、とても残念な最期でした。 ルポライター、ノンフィクション作家、犯罪評論家……肩書きは何でもいいでしょう。いずれ同時代を駆け抜け…

ルポ・ノンフィクション、の行く末

● 朝倉喬司さんが亡くなりました。すでに報道等でご存じの向きもあるでしょうが、いわゆる孤独死、と呼ばれてしまうような、とても残念な最期でした。 ルポライター、ノンフィクション作家、犯罪評論家……肩書きは何でもいいでしょう。いずれ同時代を駆け抜け…

追悼・朝倉喬司

命日は12月8日、そう決めた。だって、やっぱり来てたんだもの、朝倉さん。 その日、札幌での「こまどり姉妹、とその時代」というイベントのトークセッション、こまどり姉妹ご本人を前にしての公開聞き書きという趣向で、民俗学者の赤坂憲雄さんと共に朝倉さ…

在日/半島系人士の〈リアル〉――崔洋一発言をめぐって

● うわあ、こりゃキッツいわあ、とは、思わず口をついて転がり出たひとこと。脳内はダウンタウンの浜ちゃんのあの声で、と付け加えればさらにニュアンスは正確になるかも。 眼前のモニター画面では、テレビの討論番組の映像ファイル、少し前に一瞬だけ流行っ…

 「クールジャパン」といまどきのお役所気分

● 「クールジャパン」なんてことが、ここにきてそろそろメディアの表舞台でもささやかれるようになってきました。 マンガやアニメは言うにおよばず、どうも最近ではファッションだの食文化だの、はたまた観光だの、それらあれやこれや何でもありに全部ひっく…

 さらば、朝青龍

「木でつくった家、紙で貼った座敷にくらす間は人間の気持が穏やかでもありのんびりもしてゐた、相撲だって晴天九日のために其都度組み立てる丸太細工の小屋の間は、めいめいの稽古場から土俵へ、土俵から相撲茶屋へやがて花柳界のお座敷へとゆく先々にこわ…

「丸さん」のこと

佐倉の歴博にいた頃、共同研究に加わってもらってました。もとは、北九州大に勤め始めた重信氏が「九州でオモシロい人がいる」というので、紹介してもらったのが最初だったかと。福岡市博の福間氏なども含めて、地元の若い民俗学者や歴史学者その他を従えて「…

追悼・平岡正明

いつの頃からか、「趣味? 革命」と言ってのけるようになっていた。「革命」と「趣味」との間の、かつてあり得た距離感を前提にしないと、この男前ぶりはわからない。そして、それを敢えて腕力一発、ぐいっ、と手もとで引き寄せようとする天衣無縫と、読後かすかに…

「論壇」の行き着く先

● おい、この期に及んであんまりみっともない真似するんじゃねえ、と挨拶がわりに、まずは一喝。『諸君!』休刊に代表される、昨今の「思想」「言論」誌周辺の総崩れに対するメディアの舞台での侃々諤々、に対してであります。 たかが雑誌のひとつやふたつ、…

「団塊」的知性論

*1 団塊の世代の、特にプチインテリ層 (関川夏央ならば「知的大衆」と呼ぶかも知れません) 特有の世界観や価値観、というのは、そろそろまともに、言葉本来の意味での「歴史」的な文脈での考察対象にしておいた方がいいと思われます。 単なる「サヨク」だの「…