歴史

「戦争」と「平和」を考える

国会での憲法調査会の設置。「日の丸」「君が代」の法制化。若者たちを襲う苛酷な競争社会の到来と、世界を再び細分化するナショナリズムの隆盛。21世紀を目前にして、「平和」という言葉の権威は明らかに揺らぎ始めたように見える。民俗学者大月隆寛氏と哲学者中…

異なる水準の言葉の連携、そして、社会・歴史像の転換

■「情報環境」という問いが今、必要な理由 くだらないこと、ささやかなこと、とるにたらないことがただそのようなものとして充満している「日常」を、構築的にではなく記述的にとらえる態度が、果たしてどのようにこの島国に棲みついた人々の意識の歴史の上…

【草稿】解説・岡本嗣郎『男前――岡本集の激闘流儀』

● この本の主人公である山本集さんと初めて会ったのは四、五年前、確かどこかのホテルのロビーだった。 同席していたのは、ルポライターの朝倉喬司さんと、この『男前』を最初に単行本にした南風社という小さな出版社の社長兼編集者であるHさんのふたり。毎…

『全共闘白書・資料編』への疑念

いろいろと物議も醸した『全共闘白書』(新潮社)の、そのもとになったアンケートの全てをまとめたものが出た。『全共闘白書・資料編』と銘打ってあるが、版元は今度は新潮社でなく、「プロジェクト猪」名義での自費出版という形になっている。母数五千人弱…

川の記憶

*1 育った土地に小さな川があった。 たいした川じゃない。六甲山系からいく筋も流れ出る小さな流れの、もう少し下流へ行けばいくつか他の流れを集めてちっとは川らしい川になってゆくという、そのまさに「川らしい川」になる前の川だ。 だから、特に意識はし…

永田洋子の「おとめチック」、その本質的な問い

思わず眼をそむけた。絶句すらした。そして次の瞬間、深く嘆息した。そうするしかなかった。なんなんだよ、これは。 めくっていたのは『マルコポーロ』七月号。文芸春秋社から出ている月刊誌だ。「大キライ全共闘世代・連合赤軍なんて知らないよ」と題された…