雑感

地方で暮らすこと、の〈リアル〉

この連載が始まった頃から、どだいこの大月っては何をしているやつなのか、という疑問が、特に最近わが『MEETS』を手に取るようになった若い衆から寄せられるようになったようです。*1 以前、及ばずながら大学で教えていたことは前号でも触れましたが、…

オンナの書評、の立ち位置

オンナのもの書き、ってのは、これだけ女性の社会進出がどうたら言われ倒しているにも関わらず、未だにやはり少数派であります。 ただ、書評の世間に限っては、案外にオンナのシトが幅を利かせてたりする。それって、テレビのキャスターなんかにお約束みたい…

「論争」がなくなったワケ

*1 最近、論争というのが表立ってなくなっちまって久しいですねえ。 どうしてこの論争がなくなっちまったのか、以前、あたしゃ総括して説明したことがあります。はしょって言えば、そんなことやらかしたってトクにならない、ってことをみんな気づいちまった…

家畜商免許、のこと

世は不景気のデフォルト状態、最近では資格とか免許とかに走るシトがさらに多くなっているようであります。 テレビのCMなどを見ても、資格取得関係の専門学校その他のものが、サラ金などノンバンク系金融に次いでやたらに増えてますし、予備校から大学に至…

「キャラ」ということ――小池一夫・編『キャラクター原論』

キャラクターはこう創る! (小池一夫の漫画学―スーパーキャラクターを創ろう)作者:小池 一夫小池書院Amazon キャラ立ち、というもの言いがあります。 主としてマンガ業界から発したものだと思いますが、連載マンガなどで登場人物のありようがいきいきとしてき…

「なつかしさ」のプロモーション――小泉和子『昭和のくらし博物館』青木俊也『再現昭和30年代 団地2DĶの暮らし』近藤雅樹・編『大正昭和くらしの博物誌』

「なつかしさ」ってやつは商売になる――そのことに気づいている人は、商売人も含めて別にもう珍しくもない。大衆化したおたくアイテムの重要なひとつ、高度経済成長〜昭和三十年代ネタは言うに及ばず、ひと頃盛り上がってあちこちにでっちあげられてたテーマ…

歴史教科書問題、って……

すまぬ、ちみっと息切れしてた。監修(弾除け、とも言う)を引き受けていた『別冊宝島Real/腐っても「文学」?!』の最後の仕上げやら、その他、書き下ろしやらがたてこんでたもんで、ここのコラムの更新が滞っちまってたい。ひとまず、ご贔屓のみなさ…

「年寄り」ということ

年寄り、ということを、最近考えるようになってます。 あたしゃ当年とって四二歳、立派に厄年ど真ん中なわけで、ゲンをかつぐ方ではないにせよ、そろそろトシのことは気にもなる。三年ほど前にちと大病をやらかして、おおげさに言えば人生観が変わるくらいの…

不良老人ノススメ

*1 完全無敵の老人学作者:和田 秀樹,大月 隆寛講談社Amazon ●隠居の終焉 人間の老い、年の取り方という観点から歴史を振り返った場合に、ひとつ注目していいと思うのは、隠居という制度です。 それは、地域によって、年代によって、農村と漁村、あるいは男女…

不幸の書評、てか?

前回、引っ越し先を探してる、って話をした『サンデー毎日』の連載「ハナ丸書評通信簿」(しかしこれってタイトルと中味とが全くそぐわない連載だったなあ。こんなほのぼのしたタイトルつけてあんな中味をごまかしきった担当のIさんがエラい……てか)なんで…

世渡り下手の弁

さて、最終回であります。 昔っから、おまえはほんとに世渡りがまずい、と、よく言われてきた。いらぬ喧嘩をしてみたり、しなくてもいい苦労をしょいこんでみたり、おだてられてその気になって馬鹿を見たり(これがいっちゃん多い)と、なるほどそんなことば…

いいオトナが女子高生について朝まで討論すんなよ

他人の仕事にちゃんと眼を配るというのは、どんな稼業にもあることだと思う。 雑誌などでは吹けば飛ぶよな読まれ方をされがちなコラム系もの書きにしても、不肖大月、実はこれでも同業者としての個人的な好みってのもありやして、たとえば神足祐司のいかにも…

講演こわひ

講演というやつが苦手だ。学生とか若い衆の前ならともかく、年輩の方も混じる世間の人様の前で何か偉そうにくっちゃべっておカネを頂戴する、それだけの資格がそもそもおまえにはあるんかい、てな居心地の悪さがいつもぬぐい難くあってしまう。 けれども、昨…

「個人の自由」の現在

先日、いわゆる麻薬の使用について若い衆を対象にアンケートをとったところ、予想以上に多くの高校生が「そんなものは個人の自由」と答えた、という報道があった。 もちろん、わざわざ記事にされているその文脈というのは、例によって「こんな結果が出るとは…

メディア官僚の自意識

メディアの舞台の上には、妙なことがいっぱいある。 たとえば、官僚は不当にいい目をしている、大企業が優遇されている、ということはよく報道される。確かにそうなんだろう。でも、そういう報道をしている彼らメディアの現場で働く者たちの“いい目”は決して…

外野席の視線から

難しいことはよう知らんし、わからん。いろいろ事情があるんだと言われれば、そりゃまあ、そうだろうとは思う。第一、そんなこと考えなくても生きてゆけるのが世間ってもの。その意味じゃ、こんなところで何をボヤいてみても外野席での床屋政談に過ぎない。…

政治家、がいっぱい

いやあ、細川の殿サマのご尊顔を本当に久し振りに拝見いたしました。ったって、もちろんテレビでなんですけど。 何でも新進党を離党なさったとか。ははあ、また例によっての田舎芝居ですかい、などと意地の悪いことを言うのはひとまず控えとこう。 彼にくっ…

俺に関する人違い

間違いは誰にでもある。はばかりながら小生なんざしょっちゅうやらかしてる。でも、やらかしてもないことをやったと言われて、しかも知らない間に勝手に叱られたりしてたんじゃ、こりゃちと困る。 “ペログリの文豪”田中康夫サンが某男性週刊誌の連載で「大月…

組織のこわれかた(草稿)

*1 あまりと言えばあまりな、まるで寝小便がバレるのをビビる子供のような動燃の資料隠しの醜態を眼のあたりにして、五年ほど前に書いた原稿のこんな一節を思い出した。 〈滅亡のイメージというのがある。ある日突然やってくる最終核戦争、空を飛び交うミサ…

山上たつひこ、の復活を望む

*1● 朝日新聞が今年から始めた手塚治虫漫画賞が、ようやく第一次選考まで終わった。 選考委員が三十名という、この種の賞としては異例の多人数だったことに加えて、委員が顔を合わせて合議をせず、それぞれの推薦する作品に持ち点を配分して投票した結果を機…

メディアに顔を出す、ということ

地下鉄に乗ったら、『サンデー毎日』の車内吊り広告に自分の顔写真が載っているのを発見。あちゃ、しまった、と思ったがもう遅い。いたたまれない。いや、そんなの自意識過剰で実際は誰も気になんかしていないというのは百も承知しているんですけどね。面目…

地震予知、という嘘

伊豆方面で地震が続いております。このあたりを震源地とする群発地震は過去にもあったとは言え、今回のはちょっと様子が不気味であります。 ただ、東日本に住んでる人間は「いつかは来る大地震」にずっと脅され続けているもので、まあ、生きてるうちにいずれ…

つの丸『みどりのマキバオー』の断然

*1 えー、まいど、民俗学者の大月です。 このたび新しくこの『ビッグゴールド』のお座敷にお呼びがかかりました。一部では「日本一性格の悪い学者」「学者の皮をかぶったゴロツキ」、あるいは「本多勝一から中島みゆきまで、あとさき考えず噛みつく狂犬ライ…

続く「癒着」のスカ――泉井事件にオレンジ共済……

あんまり次から次へとバレてゆくもんで、一体何がどのようにつながってんのかこっちの頭の中もわけがわかんなくなっちまってます。何がって、ほれ、昨今ボロボロ相次ぐ「汚職」だの「癒着」だのの件なんですけどね。 こんがらがった頭の中をざっと整理してみ…

江角マキコ、の内実

www.youtube.com 江角マキコってのは、えーと、ほれ、何のコマーシャルだったか全く覚えてないけれども、パッと気っ風良く脱いだシャツの下、裸の背中の筋肉のものすごい、あの女優さんでしょ? あれって見えそうで見えない胸に注目するのが世間並みの男なの…

「有名人」ということ

「有名になりたい」と言う人が世間には少なくない。「だって、有名になればおカネが儲かるでしょ」とのたまう。おカネになるような有名がいい、ということらしい。でも、有名になって本当に儲かるのは本人ではなくて、そいつを有名にさせその状態を維持して…

「アジア」の純真

先週文句を言った尖閣列島の問題の続き。その後、香港にある日本の通信社が抗議船に乗り込んで撮影していた映像がテレビ放映された。でかした。こういう足腰がないとニュースは面白くならねえ。 あの抗議団体ってのが実はほとんど何の準備もないままで、しか…

黒柳徹子的「善意」とは?

黒柳徹子がボスニアだかどこかで「スパイ容疑」で一時身柄拘束されたそうである。当然だ、と思う。 ユニセフの大使だか何だか、詳しくは忘れたけれどもそういう肩書きで世界中を飛び回っている、ということになっている。ご本人がどういうお方か僕は全く存じ…

米軍基地の意味

沖縄の米兵による少女暴行事件に端を発して、基地縮小問題や「象のオリ」問題、さらには今回の横田基地の騒音訴訟に至るまで、昨年末あたりからずっと「基地」がニュースの焦点になってきている。 ただ、そこには単に「基地」というだけでなく「米軍」という…

公務員、という仕事

「公務員」というのは、どうやら昨今一番の仇役だったりするらしい。 とにかくこういう不景気なご時世、「親方日の丸」の安全パイこの上ない仕事である、てな具合に世間からは見られているようであります。 もちろん、「公務員」と言ったってその中身となる…