援助交際の向う側

 少し前、「コギャル二人、ホストクラブ借金返済のため売春300回」というニュースに対して、そういういかにも「ああ、いまどきの十代の話ね」という印象を喚起するニュースって果たしてどこまで本当なの? という疑問を呈したところ、何人かの読者から「よく言ってくれた」というお便りをいくつか頂戴した。まあ、わざわざ「おまえの言うことはおかしい」と文句をつけてくるような人は普通は珍しいから、こういう仕事をする場合、「ったく、何をバカなこと言ってやがんだ」というネガティヴな感想は直接こっちの耳に入りにくくなっているということを常に自覚しておく必要があるのだが、にしても、勝手に「正義」の顔したメディアの舞台の情報に対して不信感を抱いている人が今やこっちの考えている以上に増えているのかも知れないことを改めて感じた。

 と思っていたら、今度は「東京の女子高校生の4%が援助交際しているぞ!!」ときた。見出しをつけたのはこの欄のニュースデータを提供してもらっているTBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』*1の「今日の出来事10項目」の担当者なんだろうけど、なんかさあ、この間「それってほんとなの?」とやったことへの意趣返しみたいに感じられるのは、やっぱり小生の性格が曲がっているせいなんでしょうかね。教えて下さい。

 データの出所は東京都で「中・高生の生活と意識を調査」ってことらしいが、まずもってこの「4%」というのがミソだ。どれくらいの母集団に対してどのような方法で調査をかけたのかがわからないと、この「4%」の意味だってまるで違ってくるし、そういう背景の事情を棚にあげたとしても、あなた、たかだか4%ですよ。共学で女子がひとクラス20人としてそのうち0.8人、5クラスに4人という計算。「援助交際」かどうかはともかく、二十年前の高校生である僕たちの頃だってそれくらいの比率で「遊んでいる子」はいたもんだ。まして今どきのこと、この「4%」という数字自体は全然不思議じゃない。

 問題は、その「遊んでいる」相手が平然と大人で、しかも、当の「遊んでいる子」たちが同じ「遊んでいる」ことに対してゼニカネを第一の目的として意味づけるようになっている、そっちの方だと思う。だって、年上の大人とつきあいたいと思う若い女の子っていつの時代も必ずいるもの。そういうつきあいを「援助交際」てな卑しいもの言いで意味づけるようになったことをこそ問わねばならない。逆に言えば、これはカネ渡さなきゃ若い子とつきあえなくなってる大人の男の問題でもある。ほれ、愛だろ、愛。十代の小娘ひとり、ちゃんと遊んでやれなくて何が大人だって。

*1:この番組、今や宮台真司だの宮崎哲弥だのを起用して亭主の荒川ともどもプロ市民丸出しのプロパガンダ番組になっちまってます。当時どうだったんだろ? 思い出せないのだが……