TV評・「TVタックル」

 田嶋陽子は「バカ」である。これはすでにニッポンの常識である。なのに、選挙で四十万票も獲得して今や国会議員。これもまた事実である。その「バカ」が先日の国会代表質問で「バカ」全開、ビン・ラディンを捕まえるな、話し合え、と吠え、あげくは「笑うな、塩爺」と大暴走。あんた、テロリストよりよっぽどこわいっての。

 政治を芸能に、ひらたく言えばワイドショーの文法で見世物として語ることは、すでにテレビのデフォルト。田嶋を国会議員にまで化けさせちまった『TVタックル』も最近、この政治の見世物化路線まっしぐらで、自社ブランドの田嶋陽子というキャラを徹底的にしゃぶりつくすハラらしい。

 この日も、その田嶋の醜態(本人もそう思ってるらしい)を、もう一度その見世物の文法でたっぷり賞味して見せる回。当日朝からカメラともどもハコ乗りで国会入りするスタッフにはおそれいったが、その一部始終のVTRを直視できずにスタジオから逃げた田嶋もガキ以下。その際、まわりのスタッフが田嶋をどうちやほやし、甘やかしてきたかも映し出されたのは収穫だった。テレ朝だから、としたり気に言う向きもあるが、フジでも日テレでも同じだと思うぞ。これはいまどきのテレビの現場に共通する手癖なんだからして。

 少し前からハマコーがジョーカーとしてたけしの横にすわり、そのオヤジぶりに田嶋がツッコむ、という構図になっていたのが、田嶋が議員という立場を背負ったとたんに形勢が逆転した。「もっと勉強しなさい」と言い切るハマコーの確かさよ。かつて同様のフェミ系バカオンナを「黙って聞きなさい」と一喝した晩年の竹中労並みだ。枡添や大竹じゃこれは言えない。言っても効かない。このオヤジぶりの磐石さを逆に際立たせた田嶋の醜態は反面教師、見世物としては案外教育的だったと思う。