TV評・「鶴瓶の家族に乾杯」


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 テレビには「素人いじり」の伝統というのがあります。ラジオののど自慢や街頭録音(インタビューね)などから始まり、クイズ番組や『おやじバンザイ』など、素人を画面に登場させる企画は、ある時期からテレビの生命線。かの『電波少年』なんかもあれ、本質はこの素人いじりだし。最近じゃ『パラ色の珍生』的な貧乏いじり、不幸いじりに傾いているけれども、いずれにせよ、テレビというメディアの隠れた主役は、実はこの素人だったりします。

 NHKの土曜特集でたまにやっている「鶴瓶の家族に乾杯」は、所ジョージの「日本全国ダーツの旅」(日テレ系『一億人の大質問?!笑ってコラえて!』の人気コーナー)と並ぶ、いまどきの素人いじりの定番。笑福亭鶴瓶がゲストと共に、なんでもないニッポンのイナカを歩いてゆきあたりばったり、出会った人の家にあがりこんでゆく、という趣向。4日はゲストが俳優の村井国夫で、場所は島根県の美保が関。過疎の漁港で神事を支えるために四年ごしの「頭人」(とうにん)にあたった家などを順次紹介。不定期ながらもう数年続いている番組だけに、鶴瓶のキャラもいい感じに安定、安心して見ていられます。

 しかしこのゆきあたりばったり、を見せるスタッフのウデは相当なもの。なにせいまどきのこと、うっかり出食わした家族がヘンな宗教一家だったり、不法入国の外国人混じりだったり、家庭内暴力バリバリだったり、とかも十分あり得るはずなのに、そこらへんは微塵も見せずに作り込むあたりが、全国組織の支局網を持つNHKの強み。地元での事前の下調べがしっかりついて抑え込んでると見ました。素人いじりがここまで成熟してある種伝統芸能みたいになってる、ここはそれを素直に楽しんでいい番組だと思います。あたしゃ結構好きです、はい。


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