マンガ評・藤原カムイ・矢作俊彦『気分はもう戦争 2.1』

 世は「劣化コピー」の時代、であります。リスペクトだのサンプリングだのと能書き垂れつつ、ありもの資源をコピペするばかりで自前でものをこさえる根性がなくなり、枯渇してゆく想像力と創造力。マンガとて例外じゃない。

 そんな状況に敢えて一石、でしょう。二十年前、大友克洋とのコンビで放った快作『気分はもう戦争』が、藤原カムイと組んでリニューアル。ついでに元バージョンも再発。読み比べ上等、というこの男前ぶりは、原作矢作俊彦センセの自信の現われでしょうな。

 冷戦崩壊後のアメリカニズム至上な世界再編状況を大前提に、日米安保廃棄した日本が舞台で、自己パロディの味わいも随所に活かしながらの矢作節。ただ、いかんせんかつての主役、ハチマキもボウイもロクに暴れてくれないのが、あたしゃ納得いかない。メガネなんか国会議員にまでなってんのにさあ。結局、矢作作品の別線キャラ、団塊オヤジのスズキさんが主役横取りなのは、ちと情けない。

 とは言え、おぼこいニッポンが巻き込まれてゆく「戦争」の予感は、いまや現実にもありあり。連載時「2」だったバージョンナンバーが単行本では「2.1」なのも、息切れした自覚ありでのリベンジ含み、と受け取りました。そうですよね、矢作センセ。