選挙に行こう

 なにごとも本気が一番である。だから、いま、小泉総理は最高におもしろい。本気だからだ。身体を張って、政治生命を賭けて、ガチンコの鏝喧嘩(けんか)を仕掛けてきているからだ。少なくとも、世の大方はそう見ている。見ているからこそ今回、ことの鏝顛末(てんまつ)はともかく、小泉総理自身に静かに共感を示しているのだ。

 おい、ありゃ本気だ、そのつもりでかからんとおまえら大怪我するぞ――話題になった森元総理の缶ビールにひからびたチーズ片手のぼやきインタビューも、これまでの談合国対、根回しと腹芸寝業の政治プレイが当たり前だといまだに思っていた自民党造反派に対する、真情あふれる警告だったのだと思う。結果は…ああ、言わんこっちゃない。

 生まれてこのかた、ここまで本気で政策に身体を張る政治家を初めて見た。衆院選を、郵政民営化以下、「改革」政策に対する信任・不信任を問う国民投票、というところにまでもっていった小泉総理に、ひとまず感謝する。いま、そこまでこの国民を、日本人を信頼しようとする覚悟に、深く敬意を表する。

 だから、言う。これまで、このうっかり成熟した高度大衆社会における観客民主主義の可能性を説いて、考えなしに選挙に行くくらいならじっと選挙を見ている方がまし、とまでうそぶいてきたこのあたしが、今回だけは言う。選挙に行こう。あの小泉の心意気にどんなカタチであれ応えてやろう。もちろん、誰に、どの党に投票するかは自由。まず、投票所に行こう。それが、これまで観客に徹して野次馬のリテラシーを静かに磨い てきた、われら〈その他おおぜい〉の実力行使の小手調べだ。