野党第一党だそうである。なるほど、人数だけなら確かにそうなる。与党を監視し、権力が暴走しないように歯止めをかけるのが役割だとも。あのやくたいもない影の内閣もそのためだそうだ。いつでも政権交代できますよ、準備はできてますよ――ずっとそう言い続けている。あの去年の総選挙の時でさえも本気でそう思っていたらしい。だが、そんな彼らがグラウンドに立つための日々の鍛錬はおろか、ユニフォームもろくに揃えられず、さらには肝心のプレイのルールさえ実はよくわかっていないままだったことが白日の下にさらされた。わが国の政治とは、いまやたかだかこの程度、これくらいの人格の選良によって支えられている。そのことを自ら率先して何から何まで全部メディアの前にさらけ出してまで、わが同胞の政治リテラシーを高めてくれようとした民主党は、まさに飢えた虎に我が身を与えたという、かのお釈迦様さながら、いや、本当にすばらしい政党である。
《党首討論がどうみても前原の公開拷問です。本当にありがとうございました。》
《自らネコイラズ団子食って苦しみもがいているネズミを、どうしたもんかと少々困惑しながら眺めているネコの図。 》
国会を揺るがせた、かの偽メール騒動。ことの真偽もさることながら、今回、誰もが平等に学んだのは、野党第一党の若手ホープと目される国会議員というのが、どういう経歴の、どういう価値観、どういうものの見方をする人間なのか、ということだった。
まずは主役、永田寿康、民主党衆議院議員。昭和四四年生まれ。慶應義塾志木高校、東京大学卒。大蔵省入省。UCLAへ留学後、運輸省へ出向。さらに衆議院議員に。主な経歴は、民主党国会対策委員会 筆頭副委員長。衆議院 財務金融委員会 筆頭理事。衆議院 郵政民営化に関する特別委員会委員。
次に前原誠司、民主党代表。昭和三七年生まれ。京都教育大学附属高校、京都大学卒。高坂正堯ゼミに所属。松下政経塾第八期生。京都府議を経て衆議院議員。経歴は、議院運営委員会筆頭理事、予算委員会委員、外務委員会理事、公職選挙法改正調査特別委員会委員、災害対策特別委員会委員……(以下、略)
さらに野田佳彦、民主党前国会対策委員長。昭和三二年生まれ。県立船橋高校、早稲田大学卒。松下政経塾第一期生。千葉県議を経て衆議院議員。
十代から四十代。松下政経塾に元高級官僚、そして留学体験。履歴書的には文句なしのエリート様なのは国会議員ゆえ珍しくもないかも知れない。だが、その裏ですでに懲罰委員会にかけられること数回の常連だったりすると、話はまた違ってくる。公式プロフィールには載っていないそれらの経歴も、ネット住民にかかればあっという間に証拠の動画つきで掘り起こされてさらされるのがいまどき。天網恢々疎にして漏らさず。
《永田議員ってこんな人
・「阪神淡路大震災被災者は災害指定目的で火をつけた」発言
・松浪への「扇と何発やった?」発言(水をかけられる)
・佐藤ゆかりへの「クルクルパー」(30秒後に佐藤の話について行けず思考停止)
・国会質疑についていけず折り紙で現実逃避
・追加 出来の悪い偽造メールを掴まされ、国会で壮絶自爆。民主党大打撃。》
まずはこの三人が太夫と才蔵の役回り、わが国政治史上でもおそらくまれな茶番を動かすことになった。発端はご存じホリエモン逮捕。事実上の自民党推薦候補として去年の総選挙に彼が出馬していたことから、表だって応援していた武部幹事長とライブドアとの関係を一部マスコミが取りざたしたことから始まった。昨今の状況から当然、電網空間にも飛び火、先月号で触れた「きっこの日記」などが例によってお先棒担いではやし立てたことで、先にマンション耐震偽装問題でブログと野合、一時は正義の味方になって味をしめた民主党が、これは二匹目のドジョウとばかりに食いついた。そこに運悪く、フリー記者と称する人物が「実はこんな爆弾情報が……」と持ち回っていたのがかの偽メール。メールと言いつつ実は紙切れ一枚。それも肝心のところがマジックで消されているような代物だったのだが、それを丸呑みに信じてしまったからことはいたずらに大きくなった。
《『■屈江メール騒動今までの経緯』
16日委員会で永田が「メール問題」を提起 。
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夜に民主党は前原党首が「党を挙げて全力で追及する」と宣言。
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よく聞いたら証拠が黒塗りコピーしかないので大変。
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17日の委員会で民主党の持ち時間の大半を原口議員が関係ない問題を質問。
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原口議員の「堀江の黒のシャツはあやしい」と意味不明な発言で時間稼ぎ、チャンスを潰す。
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2chでは「永田まだー?チンチン」「原口引っ込め」と煽られ続ける中やっと最後に永田登場 。
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誰もが「二の矢」を期待したが、「どうしたら信じてくれるの?」と小泉総理に聞き、逆にこんこんと諭されて涙目に。
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国民全員 ( ゚д゚ )ポカーン
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17日夜に野田国会対策委員長が「これが証拠のメール」と単なるコピー紙を公表 。
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国民全員 ( ゚д゚ )ポカーン
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メールの真偽については現在も協議中
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前原党首「我々は自信を持っている。国政調査権を発動して調査」するよう主張
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各メディアが一斉にメールを検証。「これを本物と信じるのは無理」 ←※今ここ》
《永田「ロン!三万六千!」
武部「・・・」
永田「早く点棒を出したらどうなんですか」
小泉「いや、先に手牌を倒せよ」
永田「この手牌は、最大限守ってあげたい」
小泉「チョンボなんじゃねえの」
永田「どのようにして、その先入観を打ち破る事が出来るのか。本当に悩ましい」
安部「4枚目の西でロンってことは国士無双か?俺「北」を4枚持ってるぞ」
永田「この一方的な攻撃。この風景。こんなところに手牌を倒したらかなわないと感じるのは当然」
小泉「だったらロンなんて言うなよ」
永田「一言聞いただけでガセだと決め付ける、言論封殺、もっとも恥ずべき行為」
安部「誤ロンは8000点だよ。早く払え」
永田「どのような条件をクリアすれば、真性なモノと認める事ができるのか、知恵を貸してください」
小泉「おまえがロンって言ってるんだろうが」
永田「マスター!マスター!!ちょっと来てこいつらに言ってよ」
検察「う~ん、こんな役知らない。テンパって無いでしょうこれ?」
永田「・・・話にならない。前原さん!前原さん!」
前原「これはアガってる。アガってないってんなら証拠を見せるべき。全力を挙げて支援するよ」
武部・安部・小泉「え~?!」
安部「なんて役かだけでも教えてよ」
前原「役名は現在協議中」
武部・安部・小泉「え~?!」》
永田議員がくだんのメール(紙切れ)をふりかざし、テレビカメラに向かって大見得を切るそのさまに、芝居がかった臭みはあれど、あそこまで国会の場で言い切るのだからさすがに何か確かな証拠を握っているのだろう、と大方が思った。与党もそう思ったらしい。無理もない。当の武部幹事長など当初は明らかに動揺、眼が宙を泳いでいたから疑惑はさらに沸騰。四点セット攻撃に続いて、またもや民主党が政権与党を追い詰めるのか、とかたずを呑んで見守っていたら、あれよあれよという間に事態は腰砕け。メール情報の提供者も仲介者も明らかにできない、ことの真偽も確かめていない、だから疑惑の中心とされる武部の息子の口座をさらせ、国政調査権の発動だ、と言い始める始末。ここまでくるとさすがに国民も黙っていない。ましてネット住民においてをや。
《こんな論法で、国政調査権を執行されたらたまらないわ。事実上怪文書を捏造して差し出せばフリーパスになる。匿名のタレコミ電話あったらどこにでも家宅捜索令状出すのと同じよ。そういうのを普通は「ファシズム」って言うと思うんだけど・・・軍靴の音を鳴らしてるのは一体どっちの政党かしら?》
《昔、鳩山一郎や犬養毅の政友会が野党だったときに、 浜口内閣を攻撃する材料として「統帥権干犯」を持ち出し、 結果、議会政治がその後死亡したが、 民主が今言ってることは同じだな。 》
その後メールは偽物と民主党自身がようやく認めたものの、野田国対委員長が辞任しただけで前原代表も、何より当の永田議員も居座ったまま。ネット住民持ち前の揶揄諧謔精神も全開に。永田町、偽メール騒動でまさに「永田」町に。
《前原が言い訳しようとしたら、「全部、こいつが吐いてしまいやしたぜ。」 と風車の矢七が縄で縛った永田を連れてくる。 》
《永田君が 「私の脳の受信器にアンドロメダ星雲から送信された情報に対して しんぴょう性について十分な調査が進まないまま質問に至った」
「ネタ元を公開すると宇宙の敵対勢力から私やネタ元の記者に危害が 加えられる恐れがある」 と全裸で脱糞しながら会見すれば多分許してもらえる。》
《「人生いろいろ、メールもいろいろ」 とか真顔で言ったら許す。 》
《確か、政権の命運が尽きると、変わった生物が現れるんだよな。 それだよ、それ。 》
《今カラデモ遅クナイカラ原隊ヘ帰レ 両親兄弟ハ皆泣イテオルゾ 》
,,,ミ::;; --‐‐‐‐‐ー:::,::::::::|
ミ:::::/ O ヽ:::|
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|::::::| ;;;;;;;;; ;;;;;;;; |ミ| <どうした永田!!焼き払え!!!
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| ( ヽ | 、__人人人__,
ヽ,, U ) ノ 、__) (__,
| ^_^ .| _.) , --、 (
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☆_+ ニゲテェ /ゝ..._ )
- , xヾ
- 、__,..-‐‐:、、,へ.........._ /ゝ.._:::/
く '´::::::::::::::::ヽ. = /(゚д゚;) < うわぁぁぁあ!
/0:::::::永田:::::', ⊂)::前:/つ
= {o:::::::( `Д´):::::::} / ::原:/
':,:::::::::::つ:::::::つ. /ヽ::::::/
= ヽ、__;;;;::/. ゝ__,ソ⊃
し"~∪ = /ノ
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野田国対委員長辞任のあとを受けて、後任を探し回ったが誰も引き受け手がないのも野党第一党。菅、鳩山、小沢とお歴々は揃っていても、国難ならぬ党難に見て見ぬふりするのはすでに伝統芸の域に。お先にどうぞと尻込みするばかりで、誰もひと肌脱ごうという漢はいない。
《いつもながら民主党の、吹きさらしの屋上に仲間が上がってしまったときの梯子のはずし方の速さ、えげつなさは素晴らしいね。 ひとりぼっちで、白目剥きながら敗戦の弁を述べさせられる岡田代表を思い出した。 》
かくて、老兵登場。渡部恒三である。まだ生きていたのか、との声まであがったくらい、すでにひと仕事終わって事実上ご隠居状態だったかつての竹下派七奉行のひとり。民主党にいたということ自体、忘れられていたような具合だったが、ここにきてにわかに表舞台に。会津のケネディ、これが最後のひと花か。就中、「もっと先輩をだいずにすろ」という就任時の挨拶の一節が週刊誌に取り上げられ、それがまたネット住民の心に痛く響いたらしい。さっそく「だいず」の愛称が奉られることに。
《ただの小汚いおっさんかと思ってたけど、実力者なんだね。 》
《自民党のとき幹事長になる予定だったらしい。 小沢にもっていかれたみたいだが。》
《渡部は田中派竹下系のスポークスマンとして、よくテレビに出ていた。 二階堂系の保岡興治と激論したこともあった。》
《自民党で大臣3回、国対委員長も歴任。副議長在任日数は戦後最長(2498日)
勲一等旭日ダイズ章、 偉い人なんだ。》
《会津のケネデーが自民党国対委員長だったときに、彼に仕えたのが小泉さんだそうだ。 森元総理は早稲田雄弁会の後輩。みんなに一目置かれるズーズー弁。 》
《この人所属する政党すべてで国対委員長あるいはそれに相当する役というのは、記録かな 。(新生党では政務幹事 新進党では国会運営委員長 これは当時国対政治廃止という 細川連立政権時の政治改革の方針で建前上国対委員長は置かれなかったので) 》
《おらがまぢのじっちゃをバガにすんな! めんこいべしゃ。 》
《結局男気見せたのはジサマだけかぁ 。》
当然、ワイドショー以下マスコミ的にも引き立つボケキャラの登場で、にわかに人気者に。十字砲火を浴びて航行不能になっていた若手執行部も、爺さまの貫禄にひとまずシャッポを脱いだ形に。エピソードも怠りなく、由美かおるから就任祝いの祝電が届いただの、水戸黄門を以て任じているだの、いやもう、沙汰の限り。心機一転、捲土重来を期した記者会見では郷土玩具の起きあがり小法師を配って七転八起をアピールしようとするも、前原代表の分だけうまく起きあがらないというおいしい事故まで。流れというやつはおそろしい。
《まあ、順風のときは問題発言してもお笑いで済んでしまうがな。 塩爺も最初のとき、例の「忘れました」でお笑いとってたし。 閣僚からも時期が時期なら塩爺の首がとんでる、てなくらいの問題発言だがな。 》
《若松の起き上がり小法師/全国から問い合わせ/“恒三さん”人気で関心
http://www.fukushima-minpo.co.jp/news/kennai/20060318/kennai-20060318095939.html 》
そう言えば、国民新党の綿貫民輔代表も、水戸黄門ぶりで「国民」と大書した印籠を持った写真がお気に入りのようで。旧世代の政治家、少なくとも保守系の自意識にはどうやら水戸黄門が自画像として焼き付けられているらしい。「世直し」の幻、世のため人のため、という志は、ならばさて、前原や永田以下、昨今の若手代議士連の心の中にどのようなイメージと共にあるのだろうか。それとも、すでに世も人もなく、あるのは優秀なボクだけ、とか。今回の騒動でひとつ誰もの心に残ったのは、「永田系」という人格だったとさ。
《あなたの周りのナガタ系。やがていつかは総スカン。
他人を批判することでしか自分をアピールできない。
周囲が悪口を言っている相手を選んで、尻馬に乗る。
ペーパーテストの点に比べて、人間性がとても低い。
人の話をじっくり聞くことができず、すぐに茶化す。
自分が責められると、とたんに病気と言って逃げる。
周囲と協調して物事を進めることができず、先走る。
ミスの尻ぬぐいを他人に押しつけ、平気な顔をする。
すぐに辞めてやるとか死んでやると言うが、しない。
発言内容に童貞のエロ話みたいな卑猥なものが多い。
俺はお前らとは違う、という態度が露骨に出ている。
年配者や先輩に、教えを請うということができない。
会議やホームルームで、ケータイをいじくっている。
実力や実績ではなく、発言によって自分を誇示する。
聞いた話を吹聴するだけで、自分の足では調べない。
社会のことをよく知っているつもりでも世間知らず。 》