ポピュリズム、上等

 


 「ポピュリズム」というもの言いがあります。多くは例によっての小泉政権批判、とにかくものをちゃんと考えない世間一般のバカ……とまでは言わずとも、そういう普通の日本人、多くの人たちの気分に棹さして政治を動かそうとするやり方、といったような意味で使われていて、「劇場型政治」とかとも使われ方は同類。で、それは悪いことだ、民主主義としてはよくないことだ、といったニュアンス含みなのが通例です。

 はっきり言います。こういうもの言いを使いたがる人たちって、実は差別主義者なんですね。だって、要は、アタマのいいボクたちがちゃんと考えていることが通らない、通そうとしてくれない今の政治っておかしいもん、ダメだもん、と言ってるだけのこと。アタマのいいボクたちだけが正しいことを知っている、考えてる、という前提で高みからものを言うその態度は、かつての前衛幻想以来、知識人とかインテリとか呼ばれる手合い特有の大衆蔑視、庶民差別の世界観そのまま。いまどきそんな自意識でものを言い放つこと自体がもう、うざい、役に立たない、と世間の側から見切られていることが、どうしてまだ身にしみないのでしょうか。ほんと、不思議です。

 世に容れられないのなら、そして何より、われこそはものをちゃんと考えられるという自負がほんとにあるのなら、その矜恃と自覚の上に正しく屈託する修業もまた、必要です。アタマのいいあなたたちの考えていることが今の世間に受け容れられないのは、なぜだと思いますか。世間がバカだから? それを利用する小泉政権がずる賢いから? メディアが操作してるから?……さあ、どうですか。心当たりのある方々からのお返事、ぜひ、お待ちしております。