胴元としての器量なし、JRA

 ディープインパクトから薬物検出! の報道は、予想以上に大きなものになりました。とりあえず今のニッポン競馬を代表するスターホース、フランス遠征で凱旋門賞への挑戦も大々的に宣伝され、深夜枠とは言え、NHKで中継までされる扱いで、昨今、売り上げも人気も長期低落傾向著しい競馬界、勧進元のJRAがなりふり構わぬプッシュをしてきたわけですが、それが一転、裏目に出たようです。

 競馬で薬物検出となると即、「八百長」という理解になります。今回の件も、いかにJRAが役人丸出しの答弁で、日本国内では規制されていない薬だった、だから日本での今後の出走は問題ない、と説明してみせても、世間一般の気分はまず疑惑ありきの方向に。だから無知な大衆は、とぼやいても始まらない。あなたがたが考えなしに煽ってきた「ファン」とは、同時にそういうもの、でもあったのですから。

 実は今回の件、これまで煽るだけ煽っておいて、いざこういう事態になると手のひらを返して切り捨てにかかるJRAの役人体質、バクチの胴元としての狭量さが、その「ファン」の間に改めて印象づけられることになり始めているのですが、さて、あの六本木ヒルズに結構な事務所を構え、年間数千億円を国庫に納める世界でも例にない高額賞金、通年開催の国家規模での効率的収益マシンを確立してきたJRA、およびその管理主である農水省に、その自覚と危機感はどれだけおありでしょうか。

 海外と国内のルールが違う、という言い訳がありならば、あなたがたが血道をあげてきた「国際化」とは何でしょう。国際競馬会議でいい顔をしたい、というあなたがたの野心で競馬を振り回すのは、もう願い下げです。