ニッポン=アダルトチルドレン説

 有事の際、アメリカが本当に日本を守ってくれるかどうかわからんぞ、と言う人がいます。アメリカが遠いアジアの島国のために血を流してくれるもんか、あてにして尻尾振ってるとひどい目にあうぞ、そんなお人好しじゃ結局またアメリカや中国など大国の思惑に翻弄されるだけだ、と脅したりすかしたり。

 お説は一応、ごもっとも。自主独立の気概があっていっちょ前、というのは、人も国も同じで結構な了見ですが、しかしそういう人は、だから独自に軍備を整え国を守る体制を、といった方向にはなぜか行かない。防衛庁が省に昇格するのも反対、核武装など議論すらダメ、まわりに何でもありのゴロツキ国家があっても、平和憲法なんだから外交と話し合いだけで、といつまでもいたいけな敗戦国の純情ぶりっこ。おいおい、それってGNP世界第二位の経済大国、すでにヒゲも生え、声変わりもしてそれなりに世慣れて、すれてさえもきたおまえがどの口でぬかすんだよ、このカマトトが、という視線もすでに世界にはあるでしょうに。 

 いっちょ前になってきたならそれに応じて自前で何とかしてみようという気構えを持つのは、人も国も当たり前。いくら安保を結んでいるとは言え、図体もでかくなり稼ぎもあるくせにいつまでたっても気分はコドモのまま、自ら腰上げて何とかしようとしない、そんな横着な奴をそりゃあ誰であれ、本気で助けようとは思わないでしょう。それって、常に弱者ぶりっこで補助金だ何だと国や他人の助けだけをアテにしてやろう、という性根とどこか似てるような。あるいは、理屈だけはいつも立派だけど汗かこうとしないいけ好かない優等生、とか。そんなアダルトチルドレンみたいなニッポン、このままじゃどうやっても美しくは……ないですよねえ。