旭川「撤退」報道の真相

 「道営競馬が09年度旭川撤退、11年度全廃も」――先月初め、こんな見出しの記事が地元紙以下、各スポーツ紙に踊った。ああ、とうとうホッカイドウ競馬までがつぶれるのか、という声が競馬サークルをかけめぐったのも無理はない。けれどもこの記事、背景の事情を聞いてみると話がどうも違うらしいのだ。

 「これは「民営化」に向けてようやく一歩踏み出した、というのが本当ですよ。7日のホッカイドウ競馬の運営審議会の直前に、道庁の方から記者クラブ経由でリークされたのが記事になったんですが、見出しが「旭川撤退」「廃止も視野に」というのは、意図的じゃないとしたら不勉強。ミスリードと言われても仕方ないでしょうね」(地元の競馬専門紙記者)

 夏場のナイター開催をしている旭川競馬場は、地元の農事組合所有。その「家賃」がべらぼうに高く、年間二億円以上も垂れ流し。場所も旭川市街から遠い丘の上でアクセスが悪く、今後入場人員が増える見込みもない。旭川開催をやめたらそれだけで年間数億浮く、というのは以前からずっと言われていた。言わば「既定路線」なのだという。

 「それがこれまでできなかったのは、地元の道議などの利権がらみ。旭川から撤退して、とりあえず門別のナイターと札幌に絞って資源集中&経費削減、馬券を全国的にも進んでいるミニ場外展開とネットなどでちゃんと売れば、少なくとも単年度収支の均衡は十分達成できるはずです」(道庁の関係者)

 競馬法改正を受けての「民営化」は、去年存廃危機から存続を決めた新生ばんえい競馬の「ばんえい十勝」が先駆けて取り組んでいるが、ナイター開催なども成功させて初年度から黒字を出している。平地のホッカイドウ競馬も「民営化」に踏み切るとなれば、北海道のみならず、どこも崖っぷちであえぐ地方競馬全体にとってもいいニュースだ。

 「もともとホッカイドウ競馬の累積赤字は岩手(約四百億円)に次ぐ巨額。来年が経営改善の三年計画の最終年度で、経営改善の兆しが見えないなら廃止、というのは以前から言われていて、残る策は「民営化」しかないのに、当の北海道庁がとにかく後ろ向きだった。それが第二次改正競馬法が成立したこの春くらいから態度が一変、道が今の主催者から抜けて公社もいったん解散、馬産地なども含めた新たな「民間」の受け皿を作ってそちらに移管、という前々からの「民営化」の青写真にようやく乗ってきたんです。居座っている高給取りの職員も一気に削減できるし、これが再生のほんとに最後のチャンスですよ」(前記、道庁の関係者)

 馬産地も一緒になっての「民営化」競馬。ばんえい十勝と共に、新しい地方競馬の姿を先駆けて見せてくれるようになることを期待したい。