「外国人馬主」認可へ

先月六月の国会で第二次改正競馬法案が可決されたのを受けて、これまで遅々として進まぬ印象の強かったニッポン競馬の「構造改革」が、さすがにここに来ていよいよ具体的に動き始めたかな、と思わせるニュースがいくつか飛び込んできました。。
まず、ここ何年もの懸案だった「外国人馬主」(このもの言い自体、いろいろ異論があるかと思いますが、とりあえず通称、ということで)問題に正式に決着がつきそうになってきたことです。去年に続いてJRAの馬主申請を出していたダーレージャパンに対して、馬主登録審査委員会が申請を受け入れる見通しに、という報道が出て、スポーツ紙辞令とは言え、ニュースとして出てしまうということはJRAおよび農水省的にも一応、黙認したリリースだろうというわけで、いよいよ南関東に続いてJRAでもダーレージャパンの持ち馬が走ることになるようです。手続き的には、今後馬主審査会(ああ、ややこしい…)の判断と合わせて最終的な決定がくだされる、ということらしいのですが、「国際化」の是非とはひとまず別に、現在、ニッポン競馬がグループⅠに加盟してしまっている以上、これまでのような排他的態度で「外国人馬主」を却下し続けるのは、理屈としても現実的にも無理だろう、というのが僕の考え方でしたから、ここ数年の懸案だった「外国人馬主」がひとつ実現に向けて大きく前進したのは、ひとまず歓迎すべきことではあります。
もうひとつ、実はこっちの方がニュースとして大きいのでは、と思ったりするのですが、いわゆるクラブ法人馬主がJRAのみならず、地方競馬でも正式に認可されることになった、ということです。実は、春先から水面下でちらほらとそのような話は聞こえてきていたのですが、当初は「どうやらホッカイドウ競馬だけらしい」などいろいろ憶測も飛び交い、真偽については正直よくわからないところがありました。それがこの九月から正式に許可されることが、ほぼ確定したようです。
どこの競馬場も、地方競馬は今、在厩馬の減少に苦しんでいます。馬がいない、ということは同時に馬主がいない、ということでもあるわけで、中には在籍頭数が四百頭を切り始める競馬場も出てきて、このままだと夏場の出走頭数が危なくなるぞ、と、以前この欄で警告していた矢先に金沢で出走頭数が揃わず不成立のレースが出てきたり、例年以上に馬資源の枯渇が深刻になってきていたところですから、これもひとまず朗報です。
これも「外国人馬主」と並ぶ長年の懸案だったクラブ馬主の整理/再編が一応の成果を見た、ということなのでしょう。管轄官庁についても、農水省から財務省の直轄のような形になるそうですから、あやしげな法人やダミー的なクラブは一応きれいにしましたんでどうぞこれからは財務省じきじきに、という感じでしょうか。二十人くらいから多い場合は百人単位に至るまで、それだけの「馬主」がぶらさがったまま地方競馬に移籍ができるようになる。ということは、それらの人たちがネットを介して地方での出走レースを観戦したり、馬券を買ったり、場合によっては実際に競馬場に足を運んだり、ということも期待できるわけで、JRA中心の一般の競馬ファンにはどこか縁遠かった地方競馬の新規ファン層の開拓につながります。当座は南関東や兵庫、東海など人口の多い大都市圏にある地方競馬場から馬を入れてゆければ、という感じのようですが、クラブ関係者の何人かに話を聞いてみたところ、それ以外の競馬場にも適性を考えて入れてゆくのはやぶさかではない、といったニュアンスでした。もちろん、今の地方競馬の賞金水準に合わせて「馬主」の負担を妥当な水準に改めることは不可欠ですし、個々の「馬主」たちがそれでも馬を支えてゆく気持ちになってもらえるような、さらに緻密なサポートがサービスとして求められること、また、既存の馬主会との関係など、クリアしなければならない問題もありますが、在籍馬の減少に苦しむ地方競馬にとっては、厩舎はもちろん、主催者単位で「歓迎、クラブ馬主様」とキャンペーンを張って誘致するのも、十分ありだと思います。
クラブ馬主の会員の中には、複数のクラブを掛け持ちする人も少なくない。そんな中から、JRAではなく地方ならば何とかなりそうだ、ということが具体的にわかれば、今度は自ら正規の馬主として登録しようという気持ちになってくれる人が出てくるかも知れない。「馬主になろう」などと通りいっぺんの広告でお茶を濁してきた地方競馬のこれまでの経営努力のぬるま湯加減を、逆に思い知らせることになるならば、このクラブ馬主の地方への「開放」は、巷間言われているような「外国人馬主」以上の衝撃をニッポン競馬の未来に与えてくれるかも知れません。