近藤利一の野望

 懸案の「外国人馬主」がついに認可された。ダーレージャパンファーム(DJF)の勝負服の馬が、地方競馬南関東)だけでなくついにJRAのターフを駆けることになった。賛否両論あれど、日本競馬の将来に関わるビッグニュースには違いない。

 その認可直後のセレクトセール最終日終了後、吉田勝巳ノーザンファーム社長とダーレージャパンの高橋力代表、そして近藤利一という組み合わせで「重大発表」が行われる、という噂がかけめぐった。いったい何事、と当日現場にいた報道陣も色めき立ったが、これは直前になってドタキャン。数日後、アドマイヤムーンの買収劇が表沙汰になり、そうか近藤オーナー、これを早く言いたかったんだな、ということに。

 「利一さん、今年はセレクトセールで総額十五億円ほど馬を買って異様に上機嫌でしたからね。いくら馬が走ってるって言ってもそんなに懐が暖かいのかなあ、と馬主筋からもいぶかられてましたが、要はダーレーというでかいケツ持ちがついたってことだったのかと。息子も某ゼネコンのドバイ駐在とかで大きなプロジェクトの仕事をもらってるようだし、事実上賄賂みたいなものでしょう」(ある週刊誌記者)

 近藤オーナーは馬主会の幹部として外国人馬主の認可に反対していたはずだが、蓋を開けてみればこの結託ぶり。ダーレーとJRAの間をとりもってひと儲け、というわけか。

「「外資」侵攻は馬産地にとって死活問題なわけですよ。ディープインパクト種牡馬入りをめぐってもノーザンとダーレーの熾烈な争いがあったと言われてますし、なのに、一馬主が“オレにまかせろ"的に動いて儲けたなんて、どうですかね」(あるコンサイナー)

 一方では、クラブ馬主の整理再編も進んでいる。経営状態の悪いクラブや実態のない法人を買収などでクリーンにした形だが、この背後にもいろいろな思惑が。

 「どこもそれぞれJRAの有力馬主がついていたり、さらにその背後には社台やマイネルの思惑が見え隠れしたりですが、ここにも「外資」がからんでくるという噂があります。当然、それら有力馬主たちもおこぼれにあずかりたいわけで、「外資」問題だけでなく、これらクラブ馬主周辺もこれから先、いろいろ出てきそうですよ」

 秋からは、地方競馬にもクラブ馬主が正式に認可される、という話も。在厩馬が減って苦しむ地方競馬にとっては朗報だが、競馬法改正からいよいよ具体化し始めた「競馬の構造改革」にまつわる新たな利権争奪戦がさらに激化することも、間違いないようだ。


 朝方、雨。結構な強さ。
 水沢の玉田さんに明日から予定について問い合わせたところ、先方の調教師たちから何も連絡はない由。どういうことか確かめると、自分たちだけが集まって話を聞いても、それをさらに実行してくれる主催者側(競馬組合)の職員がじきに異動させられたりで意味がない、とぐずっているとか。要するにやる気なし、じゃあ今回やめときましょう、ということに。
 岩手競馬、本当にダメ。おそらく年度内にアウトになる可能性が高いと改めて。自分たちで何とかとしようとする、腰を上げるという気概が全く現場に宿っていない。
 昼、児玉と池袋で会う。帰京する際には連絡くれ、と言ってくれていたので約束で。今日も修行帰りとか。情報交換。ベースキャンプができたのはいいことだよ、とあらためて言ってくれる。彼と、編集者の島村クンあたりは、十年ぶりに大学に「復員」したことを素朴に評価して、喜んでくれていたっけか。「電通の研究」のこと。柳川組との関わりなどについてディテールをぽつぽつと。雑誌じゃ無理でどこか奇特な版元があれば、という話に。ただ、得度して何か世俗の垢が落ちたような印象になっている分、そういう話も明るい調子で、なのはこちらも何かうれしくなる。日経BPの編集者を紹介したい、という話も。講談社はもうダメ、と彼も明言。やはりよほど内情はよくないらし。
 正論の上島編集長に電話。新連載「名無しの品格」の件の感想など聞きついでに、参院選の結果に関する企画について相談。巷間言われているのとは違い、今回の結果についても、要はあの小泉の「自民党をぶっ潰します」の流れで理解しないとわからないのでは、という意見に彼も賛同。民主主義の限界を痛感しました、と言い、安部の痛みをわかっている保守インテリがいたはずなのだが……と語る彼の言は、いかにもなもので共感できる。諸君の新連載の方は彼も評価しにくい様子。「名無し」の正義がいまのネットの基調音、というのは大事にしなければならない視点、とも。何か企画にすることは快諾、レジュメを切って具体的に相談の材料を出すことに。