二代目筑紫哲也賛江

 いやあ、とっっても残念です。病気療養中だった『ニュース23』の筑紫哲也キャスター、ついに一切真実これきり本当にまことに見事に降板、なんだそうで。

 ああ、かつては新聞というジャーナリズムの総本山、言わば知性と良識の高天原から、テレビなどという世俗の垢にまみれきった魔界に敢えて降臨してくださった救世主、という扱いだったことを、いまどきのお若い人などはご存じなかったでしょうから、晩年にはずいぶんと失礼な誹謗中傷もあったようで、いやはや、ほんとにお気の毒というかなんというか。つくづく仕事も、そして人生も、引き際ってのが肝心であります。

 で、後任に決定されたのが、共同通信の編集局長だった後藤謙次さんとか。どんなお方か全く存じ上げませんが、これまでのお仕事など拝見すれば、おお、なるほどまさにこれは伝統芸能の継承、余人を持って代え難いかに見えた「筑紫哲也」を敢えて受け継ぐにふさわしい方だということが納得できます。空気も現実もまるで読まない、読めない、読む必要などまるでない揺るぎなき劣化リベラル、プロ市民芸が今後も変わらず見られるのは、なんともうれしい限りです。海外含めた番組スポンサー方面も、さぞやご安心のことでしょう。

 ここはひとつ、戦後ジャーナリズム史に燦然と輝く金看板を襲名される「二代目筑紫哲也」後藤新キャスターに、ご祝儀代わりのアドバイスを。とにかくテレビですからね、衆愚の衆人環視ですからね、上から目線でやさしく教え諭して愚かな衆生を善導する、そんなインテリならではの慈悲の心を忘れないでいただきたい。定型こそが命、というのは伝統芸能の基本線。「多事争論」もぜひそのままで、髪型から目線の配り、言語も意味も不明瞭でそれでも世を憂える顔つきだけはしっかりと、というあの初代筑紫哲也の名人芸に、少しでも近づけるように日々精進されんことを祈っております、はい。*1

*1:その後、セクハラで割と速攻で降板されました。