新世紀こんにゃく問答

 こんにゃく問答、というのは落語ネタですが、サブプライム発の世界恐慌の声すら出ているこのご時世に、わが選良サマたちときたら、このこんにゃくにいたくご執心のご様子。問答ならぬ議論百出です。

 かのこんにゃくゼリーの「法規制」問題。ことの発端と経緯はともかく、そもそも政治家とこんにゃくというのが結構因縁があって、かつてはバナナ、韓国ノリ、こんにゃく、この三つが輸入にからんで政治利権化していました。当時はまとめて「バノコン」などと呼ばれてましたが、こんなことはもう永田町でも長老級しか知らないかも。ましてやマスコミ最前線の若手記者などは言わずもがな。見事に「戦後」の昔話です。

 でも、そんな具合に関税で守られてきた「戦後」をくぐった業界ですから、そりゃ政治家には弱い。まして今回は「消費者」保護という大義名分で右から左まで女性議員を中心に「法規制を」と一致団結、翼賛し始めてますから、お気の毒ですがマンナンライフ社と「蒟蒻畑」、とても抵抗はできないでしょう。

 これらの動きが実は新世紀のこんにゃく利権を狙ってのことだとしたら、「戦後」政治の伝統芸のうるわしき継承、さすが新設消費者庁はあの野田聖子長官、やるもんです。一方で社民党は福島党首以下、「消費者」と聞けば「女性」「弱者」と同義で反射的に反応する向きが真っ先に「法規制を」と叫んで翼賛の地ならししたのも、勘ぐればシナ産含めた外来こんにゃくの輸入障壁緩和へのアピールにもなったような。なんだかんだで、いまどき考えなしに「消費者」を振り回すと、無意識の共犯で結果的に妙な方向にことが動いてしまうその典型としか見えません、あたしの眼には。

 ファシズム、とは言いません。とてもそんな剛毅なもんじゃなし、ある意味もっと薄気味悪くて始末の悪い翼賛です。「フェミ」も「差別」も「格差」もそのもの言いまわりのうさんくささが周知され、以前ほど盛り上がらなくなってる昨今、「消費者」が新たな利権の足場になりつつあるのでなかったら幸いです。