なぜクーデターではないのだ?

 そこまでやるなら、普通クーデターでしょう。え? そこまで考えてなかった? っていうか、そんな同志が今の自衛隊の中にゃいなかった、って、そういうことですか? 田母神将軍。
 現役の軍人(ですよね、どう考えても)が、腹くくって(ですよね、普通は)あそこまでのことを発言し、物議を醸し、世間を騒がし、更迭されたついでに国会にまで喚問されても、一向に悪びれることなく自説を展開したのは、ひとまずあっぱれです。立場をわきまえぬ無法千万なことはもちろんですし、だからこそ解任も当然でしょう。でも、逆にそこまで敢えてやってのけるからには、「それから先」もちゃんと熟慮し、手当てをした上でのこと、と普通に期待しちゃうじゃないですか、何もわからぬこちとらシビリアンとしては。
 なのに、どうやら何もなかったらしい。理屈はどうあれ、まずその一点であたしゃ、釈然としません。
 たとえば最近、裁判官が判決に際して、ちょっと個人的な説教垂れたりするのが目立ちます。失礼ながら将軍、それと通底する気分、どこかにあったりしませんでしたか? つまり、「自分」の名前で世間にものを言いたい、表現したい、と。だとしたら、正直がっかりです。情けないです。
 わが自衛隊三軍の中でいちばん米軍と関わりの深いのが空自、と聞いています。有事想定の共同演習でも、米軍との連携が最も密接に求められる、と。政府見解はもとより、あなた自身の職務として最前提となってきたはずの米軍との信頼関係を損ないかねない発言を敢えてしてまで、果たしてあなたは何をしたかったのか? 軍人であり武人である以上、まさか、「自分の意見を言いたかった」、だけじゃないですよねえ……?