誇り高き公務員はいずこ?

 逃げも隠れもしません、公僕ですから――ああ、たとえ嘘でもそんなタンカのひとつも切って、胸張っていまのこの世間と対峙してみせる、そんな官僚がOB含めて、たとえひとりでも出てこないのでしょうか。あるいは、天下りで手にしてきた報酬一切、きれいさっぱり国民にお返しします、というスジの通し方でも結構。 理屈じゃない、いまやそれくらい世間から不信感を抱かれていることについて自覚があるなら、そして「官僚」という仕事に人並みのプライドも情熱もあったのなら、ことここに至った以上、そんな男前な役人がひとりくらいは出てきて欲しい――そう思ってしまうのは、はてさて、八百屋で魚を、の類なのでしょうか。

 厚労省はインターネットのサイトから幹部職員名を一斉に削除。巷間、「役人仕事」というのは繁文縟礼、何かと言うと「前例がない」を楯にとってのたらい回しで無駄な手続き主義の権化、と思われているわけですが、なんの、本気でやればこれくらい疾風迅雷の対応はいつでもできるってことで。さらに、「どうして恨まれるのわからない」といったコメントもちらほら。本気で言っているのだとしたら、やっぱり浮世離れはケタ違いです。果ては「民主主義に対する挑戦」とまで。外野の一般論はともかく、ここは悪いけど「おまえらが言うな」なわけで、まさに「民主主義、ついに彼らの楯にされ」であります。

 もちろん、犯罪は犯罪です。でも、と同時に「気の毒だけど、自業自得かも」といった気分も確かに世間に横溢している、そのことをきちんと受け止められないままならば、そりゃもう、「公」への信頼など今後、何十年も取り戻せないままでしょう。何より、同胞の誰もがいま、真っ先に望んでいる「公務員制度改革」がこれをしおにさらに一層及び腰にならないこと、それを何よりもまず強く願っています。