荒尾に「廃止」の動きが

 8月、地方競馬にまたか、の戦慄が走った。荒尾競馬廃止の方向に、という新聞報道が地元紙に出たのだ。ニュースは、通信社を介して全国に。例によって、厩舎関係者には事前に知らされてなかったという。

「知らんかったですよ。新聞に出る前の日に厩舎関係者全員の意見を聞くという会があって、そこで知らされてびっくりした」(ある関係者)

 これは馬主会が音頭をとって、それまでは調教師や厩務員などそれぞれの代表から話を聞く形だったのを、一度みんなで集まる場を作って欲しいということで開かれたものとか。馬主会の強い競馬場ならではの動き方だが、そんな場で主催者側から突然、廃止も含めた可能性を示唆されたというのだから驚くのも無理はない。しかし、どうしてこのタイミング?

 「前々からいろいろ画策はしてたんですよ」と言うのは地元の報道関係者。競馬場の廃止で最も頭を悩ますのが、厩舎関係者への補償金。これが、皮肉なことにどれだけ赤字が積み重なっても簡単に地方競馬をやめられない歯止めのひとつになっているのだが、どうやらここにきてその見込みがついたらしい、というのだ。

「荒尾は少し前から第三セクターと同じように別立ての経営という形にしてあるんですが、第三セクターだと時限立法で特別の財政措置ができる方法があるとかで、それを使えば何とか補償金くらいは準備できる見込みがついたのでは、と言われています。」(前記報道関係者)

 その期限が今年度いっぱいとか。なので、議会を通す手続き上、この時期に、ということらしい。

 同じ九州で廃止の憂き目にあった中津の関係者も、昨年WJSに参戦した杉村騎手以下、荒尾には少なくない。一度ならず二度までも、の思いだろう。救いは、市長はまだ考慮中ということと、熊本県が慎重なコメントに終始していること。もちろん、裏ではレールが敷かれているのが常だが、「 9月5日に市議会が始まるんですが、そこで市長が何らかの態度表明をするだろうと言われています」(報道関係者) 

 佐賀との合併、ナイター開催の試みなど、いろいろ言われながら動きの鈍かった主催者だが、いつもながらこういう時に打つ手だけは早いようだ。