1989-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「まるごと」の可能性――赤松啓介と民俗学の現在

*1 *2 ―― 形而上学者にとっては、事物とその思想上の模写である概念とは、個々ばらばらな、ひとつずつ他のものと無関係に考察されるべき、固定した、硬直した、一度あたえられたらそれっきり変わらない研究対象である。形而上学者はものごとをもっぱら媒介の…

あなたはそんなにも手をふる

一枚の写真がある。モノクロームの、少し粒子の荒れた写真だ。 左から右へ、鼻面合わせて疾駆する馬が三頭。左手前、ひとりの男がちぎれんばかりに右手をふっている。手には手拭いかタオルとおぼしき布きれ。長靴に作業服、頭には後ろ前の「ベットウ帽」。腕…