解説

ホワイトイルミネーションを見ると別れる?

*1 カップルが別れるジンクス、のある名所なり観光スポットなりはすでに全国いくつもありますね。ディズニーランドや観覧車、水族館などに並んで、ホワイトイルミネーションのようなライトアップイベントもそういうスポットの割と定番みたいです。 カップル…

解説・松川二郎『全国花街めぐり』

松川次郎『全国花街めぐり』(1929年(昭和4年) 誠文堂)の復刻です。 少し前までは古書市場でもそれなりに稀覯本扱いされていて、数万円といった値段がつけられていました。最近、こういう方面にまた関心が深まってきているせいか、目端の利く同業他社から「…

解説・山野車輪『韓国のなかの日本』

山野車輪が、韓国という「現場」に降り立った。まず、そのことが今回、この彼の新しい作品について最初に語られるべきこと、なのだろう。 言うまでもなく、あの『マンガ嫌韓流』の作者である。近年ニッポン国内にはっきり宿り始めている韓国/朝鮮への違和感…

解説 業田良家『世直し源さん』

● マンガは童話でなくてはならない――かつて、業田良家はそう言っていた。だが、その後何も言っていない。だから、ここであたしが勝手にその先をほどいてみる。 童話、と言い、寓話、と呼ぶ。あたしゃ民俗学者だからもっと端的に「民話」と言っちゃう。フォー…

解説・田澤拓也『虚人 寺山修司伝』

大学に入って二日め、とある芝居のサークルにまぎれこんだ。アトリエ、と気取った名前で呼ばれていた掘っ建て小屋の暗がりから、ねずみ色した重い鉄の扉をあけて出てきたのは、分厚いポックリにベルボトムのパンツ、センター分けの長髪を肩口から上腕くらい…

歴史教科書問題をどう考えるか

*1 どうちがうの?―新しい歴史教科書vsいままでの歴史教科書 (夏目BOOKLET) 作者:夏目書房編集部,大月 隆寛,福島 雅彦,高田 明典,高橋 順一,西岡 昌紀,橋爪 大三郎,日垣 隆,宮崎 学 メディア: 単行本 ● 歴史教科書問題、ってやつは、二十世紀最後の十年、この…

「歴史教科書問題」はこう読め!

*1 ● 歴史教科書問題、ってやつは、二十世紀最後の十年、このニッポンでいちばんホットな問題のひとつだった。それはひとまず誰もが認めることだろう。 ……なあんて、もっともらしく始めちゃいましたけど、つまり世間的にもメディア的にも、これはかなりいい…

「エスノグラフィー」というもの言いについて――この本を手にとってくれた人への若干の解説

フィールドワークの物語―エスノグラフィーの文章作法作者:ジョン ヴァン=マーネン発売日: 1999/01/01メディア: 単行本*1● エスノグラフィーという言葉は、普通の日本語としてはとてもなじんだものとは言えない。その意味で、この本を読まれる方もまずこのカ…

うっかりと“うた”や“はなし”に同調してしまう身体――解説・朝倉喬司『凝視録』

● 手もとに一枚のLPレコードがある。 タイトルは『東京殴り込みライヴ/河内音頭三音会オールスターズ』。まるで屋台のエスニック料理のような河村要介の“濃い”イラストの描かれたジャケットの表に、マジックで走り書きされたサインに曰く――「ドツボ家家元…

解説 永沢光雄『AV女優』

● 声のいい男である。 低くて太い。心地良い。だが、生身の耳には心地良くても機械にはそうでもないらしく、話を聴いたテープを起こしているとかなり聞き取りにくかったりする。けれども、言葉が言葉として聞き取りにくくなる寸前のところで、じっとその響き…

「男前」の存在感――解説・岡本嗣郎『男前』

山本集さんと初めて会ったのはもう何年か前、確かどこかのホテルのロビーだった。 同席していたのは、ルポライターの朝倉喬司さんと、この『男前』を最初に単行本として刊行した南風社という小さな出版社の社長Hさんのふたり。Hさんが岡本嗣郎さんの筆で山…

「ムラによって違う」の底力――赤松啓介vs.上野千鶴子『猥談』刊行に寄せて

「そらあんた、ムラによっていろいろ違いがありますわぁ」 こちらのつたない問いかけに対して、実に人のいい顔をしてにっこり笑いながらつるりと頭をなでる、そのしぐさがいつも眼の底に深く焼きついた。 「呵々大笑」というもの言いにそのまま実体を与えた…

解説・赤松啓介×上野千鶴子『猥談』

● いやあ、長かった。 やろう、ということになってからなんと五年。別にサボっていたわけではないことは、 版元である現代書館と担当編集者の村井三夫氏の名誉のために言っておきたい。結構早い うちにゲラにはなっていた。そのいざゲラになってからが長かっ…

それは「詐欺師」ではなかったりする、かも知れない

思い込みのはげしい人、というのがいる。 それも自分ひとりでクラく閉じながら思い込むのでなく、他人との関係の中で明るく開きながらまっすぐ思い込んでゆく。何と言えばいいのか、そんな“全方位全天候型万能社交人”とでも言うしかないようなタチの人間が、…

かつて「残酷」と名づけられてしまった現実

日本残酷物語1 (平凡社ライブラリー)作者:宮本 常一,山本 周五郎,揖西 高速,山代 巴発売日: 1995/04/12メディア: 文庫*1● 初版発行は昭和三十四年十一月三十日。僕がこの世に生まれてまだ十ヵ月足らずの頃です。定価三百五十円。この値段のボール紙製箱入り…

キャンター一年、ダク三年――日本にもあった繋駕速歩競走のこと

この『騎手物語』に出てくる競馬は、ご覧になってもらえばわかるように、今の日本で普通に行なわれている平地競走とは趣きが違います。かつて『ベン・ハー』に出てきた古代のチャリオットレースのような、馬の後ろに二輪車をくっつけて走る競馬。正式には繋…

解説・赤松啓介『神戸財界開拓者伝』

神戸財界開拓者伝作者:赤松啓介メディア: 単行本 民俗学者赤松啓介の最良の仕事は何か、と問われれば、迷わずこの『神戸財界開拓者伝』を推す。 初版は一九八〇年七月、神戸市長田区の太陽出版から出されている。箱入り六五九ページの布装。色はなんというの…

「歴史」をほどく耳――解説・平岡正明『耳の快楽』

*1 平岡正明オン・エア 耳の快楽作者:平岡 正明メディア: 単行本 初対面は品川駅の構内、京急デパートの一角にある喫茶店だった。慶応の学園祭でのDJ形式の講演会の評を、仲間うちに向けた小さなニューズレターに書いた。それをどこからか手に入れた『サン…

解説・赤松啓介『非常民の生活文化』

*1 *2● 八〇年代半ば、『非常民の民俗文化』(明石書店)をひっさげ、半世紀にわたる長い沈黙を破ってこの国の民俗学の表舞台に再登場した赤松啓介翁の記述を支える素材は、その出自におおむねふたつの焦点を持っている。 ひとつは、大正中頃から昭和初期に…