1990-01-01から1年間の記事一覧

それは「八百長」ではない ――本間茂騎手「八百長」事件報道に見る「大衆競馬」の正体

● この六月二一日の朝、川崎競馬の本間茂騎手が競馬法違反の容疑で逮捕された、というニュースが朝刊の紙面に踊った。スポーツ紙はもちろんのこと、朝日、読売、毎日の日刊紙もこぞって社会面で報道した。 本間茂騎手と言えば、南関東の公営競馬でも文句なし…

対談 ・キンタマのない奴はものを言うな!

*1● 大月 最近、JRの駅の構内にきれいな喫茶店ができてますね。多角経営って奴なんでしょうが、あそこで、この間まで車輪を磨いたり、機関車の整備やってたようないい顔したオッサンまでが、蝶ネクタイして「いらっしゃいませ」ってウエイターやらされてる…

別冊宝島 男が危ない?!!

静かな身体が静かにひしめく

*1● 近所の子供が血相変えてとんできた。駅の近くのゲームセンターで「不良」に囲まれ、どこかへ連れてゆかれそうになったという。 中学生だ。友だち二人と遊びに行っていた。相手はいくらか年上の、髪の毛を染めた六人連れ。カッコよくやりたい年頃の、よく…

ものみなすべて「ネズミ講」 にハマる――高度大衆消費社会にからみついた「群を抜く力」の不幸

*1 ● ああ、布施博だ、と思った。 厚手のつややかな紙にフルカラーで刷られた誌面に、ずらり並んだ明るくさわやかな顔、顔、顔……。撮り方にもよるのだろう。しかしそれでも、ここまで同じ明るさを等量に放射する写真を並べるためには、撮る側の意図や技術と…

「下宿」の思想

*1● 馬鹿は承知だ。気がつきゃ風前の灯、見る影もなく痩せ衰えちまったこの「下宿」という語感をこれ以上蒸発させないようにしなければならない。 ひとり住まいの学生たちが自分の寝ぐらを指し示す時、「下宿」の代わりに「アパート」「部屋」ということばを…

「ギョーカイ」の生成――あるいは、「会社」というこわいものの来歴

*1 ―――現在の日本では、食うに困らない程の稼ぎなら、何をやってでもできます。ダメならダメでも、いいと思う人。ダメかもしれないけれど、もうひとふんばりしてみたい人、どう考えても自分には才能があるとしか思えない人、この世界が好きでたまらない人、…

みんな「ユーミン」になってしまった

*1 ―― わたしと同じフィーリングっていうか、“乗り”を持っている人が多いっていうのは、うれしい。わたしと同じような環境に育った女性に共通の感性というものがあるんでしょうね。たとえば、私立の女子高から私立大学に進んだというような……わたしはそれを“…