情況

渡辺京二と上野昂志、「思想史的知性」と主体の毅然

● 渡辺京二が、亡くなりました。敬称や敬語の類を使うのはこういう場合、自分としては理路の調律にさわるところがあるので、敢えてそれらは割愛します。 渡辺京二とは、「最後の人」でした。これは、自分が勤めていた大学で、彼が晩年、全国区の固有名詞として…

「団塊の世代」と「全共闘」㉜ ――大江健三郎、高橋和巳

●大江健三郎 ――三島なんかとは格が違うとは思うんですが、未だに朝日新聞以下、後がなくなってるリベラル陣営の守護神というか貧乏神みたいになっている、大江健三郎はどうでしたか? 大江健三郎は、私たちの頃は尊敬の対象ではなかったし、私も大江健三郎を…

「団塊の世代」と「全共闘」㉛ ――三島由紀夫、連合赤軍、「学生」の東と西

●三島由紀夫 ――あと、呉智英さんの世代、いや、もう少し下まで含めていいと思いますが、吉本と共に三島の影響ってのも大きいことに驚くんですよ。あたしらにとっちゃ、少なくとも同時代の印象としては、単に自衛隊に突入して腹切っちゃったヘンな作家、程度…

「団塊の世代」と「全共闘」㉚ ――吉本信者への違和感、草の根の共産党員のこと

――思想なり発言なりに何らかの抵抗値が設定されてないと、その輪郭も自覚できないままってところはありますね。あたしが年来便利に使っている「あと出しジャンケン保守」というもの言いと同じことで。福田恒存や江藤淳がかつて、ああいう論陣を張っていたの…

「団塊の世代」と「全共闘」㉙ ――本音と建前、二分法の前景化

――「国家」ってのがもうあらかじめそんなに大変な争点になってた、ってことなんでしょうね。で、そんなものは崩壊する、死滅する、というのが理想郷である、と。なんというか、ラスボスとしての「国家」を想定してそれを倒すことが正義、というのは、まず想…

「団塊の世代」と「全共闘」㉗ ――吉本隆明ブランドのご威光

第四章 同時代の知の巨人たち、もしくは知のはぐれものたち● 吉本隆明 吉本の影響力は、やっぱり絶大だったね。でも、その理由というのは、ものすごく単純なことで、要するに若者はヒーローを求めていた、そういうことだよ。 ――それはまたわかりやすすぎると…

「団塊の世代」と「全共闘」㉖ ――「大学」の衰退、戦後の終焉の風景

●大学という場の磁力、日本人の退嬰化 ――大学自体、そういう「教養」をわが身に紐付けて形成してゆくような教育を、最近はもうしていませんし。 そう、ただ昔から大学は、そういう教育をしていたとしても、それは一般的な教養教育にすぎないんであって、制度が…

「団塊の世代」と「全共闘」㉕ ――「教養」願望、と、おたく的知性の関係

*1 *2●教養願望とオタク的情報量の集積 ――でも今、浅田彰や宮台真司がアニメ語るとカッコ悪いでしょ(笑)。もちろん、当人はそう思っていないんだろうけど。 それは、教養になり得ていないんだよ。 ――マンガでも一緒ですよ。浅田が岡崎京子を語ったら、ほん…

「団塊の世代」と「全共闘」㉒ ――オトコとオンナ、自慰の暗闇、処女性の霹靂

◎男と女、自慰の暗闇 処女性の霹靂 ――「婚前交渉」と同じように、当時はオナニーも問題になったでしょ。自慰、マスターベーション、ですが。 もちろん、問題になった。私の世代では、小・中学校の頃、オナニーは変態扱いだったね。 ――うわ……いきなり「変態」…

ウクライナの「うた」、五木寛之の記憶

● いまどきの情報環境のこと、無職で隠居に等しい身の上で、外へ出て人と会う用事なども基本的になく、それこそ日々ひきこもりに等しい生活をしていても、世の動きや動静は文字に限らず画像、映像、動画に音声、いずれそれら各種「情報」として平等に、なんだ…

「学者」って、なあに?

学者の世間離れ、というのは何も今に始まったことではありません。 一般的なイメージとしても、またある程度具体的な実態を伴った見聞、身の丈の経験値としても、いわゆる「学者」というのは「世間」「浮世」のあれこれからかけ離れた、超然とした存在という風に…

対談・朝倉喬司・頌

*1 現代書館から『朝倉喬司芸能論集成』が刊行された。ルポライター・朝倉喬司氏(1943~2010)の芸能関係の文章を集めた968頁の大著である。刊行を機に、編集委員会のメンバーである、株式会社出版人代表の今井照容氏、民俗学者の大月隆寛氏に対談してもら…

本邦いまどきの「ポリコレ」・考

● 明らかに何かがおかしい。いや、前からおかしくなってきているのは確かでしたが、ここにきてまたそれが一段と加速、もはや何か取り返しのつかないところにまで事態の底が抜けて、見渡す限り何やら煮崩れ始めたような印象です。 他でもない、昨今「ポリコレ…

「憲法違反」と留学生問題、他

① 学問の自由の侵害と言われたことについて 1月の3回目の裁判の準備書面において札幌国際大学側は、なんと留学生に日本語能力を問うことが「学問の自由」「大学の自治」に抵触するおそれがある、と主張してきました。学ぶ意志のある者の自由を阻害する、という理…

「外国人留学生ビジネス」利権の背後にある文科省

*1 *2 ● ごぶさたです。大月隆寛です。かつて、「つくる会」2代目事務局長をつとめさせていただいていたこともある、あの大月です。 とは言え、いまやもう四半世紀も前のこと、今の会員には、何のことやら、という感想が大方でしょう。今回、何かのご縁でま…

再度、「懲戒解雇」のその後

*1 ● 「懲戒解雇に処す」 そう言い渡す顔は、気持ちゆるんで、軽くせせら笑っているように見えました。札幌国際大学理事長であり、弁護士でもある上野八郎氏、西暦2020年令和2年は6月29日の午前10時過ぎ、学内法人会議室でのたたずまいであります。 不肖大…

「陰謀論」の逆襲?

*1 アメリカ大統領選挙がえらいことになっています。というか、まだえらいことのまんまの真っ最中。 本誌の原稿締切りを過ぎて事態が急転していたこともあり、なかなか原稿に手がつかずに推移してしまい、いや、小川編集長、ほんとに申し訳ない。 陰謀論とい…

札幌国際大学、燃ゆ

*1 *2 ● 6月29日付けで、札幌国際大学より「懲戒解雇」されたことについて、7月13日付けで札幌地方裁判所に、地位保全及び賃金仮払い仮処分命令申立書を提出し、受理されました。 大学側からの「懲戒解雇告知書」に記載されていた「懲戒の事由となる事実」は以下…

「懲戒解雇」の顛末――でぶ太郎、野に放たれる

*1 *2 勤めていた大学から、「懲戒解雇」を申し渡されました。北海道は札幌にある札幌国際大学という、今年で創立51年目になる小さな私大です。地元の人たちには、静修短期大学という名前の方が今でも通りがいいかも知れません。 こういう地方の私大のご多分…

「おりる」ということ――渡辺京二の方法意識について

――ひとりひとりの個の生は、こういう私化された小さな小宇宙の複合体であり、その複合体を鞏固な統一物と見せかけているものがもろもろの文化的観念的構築なのである。そして思想とは文学とはつねに、個的な日常の規定から、そのうえにそびえ立つ文化的観念…

トランプ現象に学ぶべきこと

話題沸騰、就任早々自らの選挙公約に沿った大統領令を立て続けに署名、アメリカのみならず世界に予想以上の大きな波紋を投げかけ始めているトランプ大統領。彼の出現は、われわれ日本人は果してそのアメリカについてどれだけのことを知っていたのか、そのこ…

「読む」の射程距離

自宅はもとより仕事場その他の古本雑本の類の片づけ、をせにゃならんならんと思いながら、まるで作業が進まぬままいつもそのことを意識しないようにしないようにしてる、そのことがまたストレスの元になってたりするから、ああ、ほんとに何やってんだか、と…

「SEALDs的なるもの」について

―――政治とは、単なる政治思想、イデオロギー、政策沙汰から党派や派閥の離合集散といった要素だけで解釈してしまっていいものでもない。誤解を恐れずに言えば、そんな表象と解釈、さらには芸能の範疇に含まれ得るような領域までまるごとひっくるめて、政治と…

「リメディアル」のはらむ,とりとめなくも壮大な射程距離

「リメディアル教育」というもの言いをちゃんと見知ったのは,恥ずかしながらここ数年のこと。97年の春,思うところあって当時勤めていた大学というか共同利用研を辞めてこのかた,丸10年の野良暮らしの後,縁あって今の職場にまた腰据えるようになったのを…

浮上してきた、もうひとつの「宗教」問題

一に体力、二に好奇心、三に自分と他人の区別がつくこと、四に信心。仏になるための条件だそうです。あたしが言ってんじゃない、ある宗派の坊さまがそうおっしゃってたんですが。 これ、最初に信心がきちゃうとまずいんだそうで。なぜか。最初に信心ありきの…

福島瑞穂、について

1. 福島瑞穂氏が「慰安婦」に走った理由は、世代の問題なのでしょうか? また、仙谷由人氏、高木健一氏、そして福島瑞穂氏とそろって香ばしい人たちが東大法学部の出身です。それは東大法学部アカデミズムの問題なのでしょうか? 動機の部分についての意見を…

朝日「慰安婦」報道「検証」記事について

8月5日の朝日の従軍慰安婦報道・検証記事は納得のいく内容だったと思うか。 *1 [いいえ] 納得も何も、あんたらやっぱりもう根本的に信用できない、って世間から思われてる、そのことに対する自覚が中の人がたにゃ未だにここまでないんだな、とそのことに改…

「鎖国」ノススメ

● 「鎖国」というと、いまどき何を、という顔をされます。怪訝な顔ならまだしも、時には時代錯誤のヘンな人間と決めつけられることも。 なるほど、多くの人がたが学校で、歴史の授業を介して習ってきた「鎖国」というもの言いには、江戸時代の閉鎖性、広い世界に…

反中韓なココロ――見えない水準の「政治」として

ああ、世の中ってこういう具合に変わってゆくのかなあ、と思ったりしています。中国や韓国、大手メディアじゃ「お隣さん」的に取り扱われる国々に対する認識や感覚が、ほんとにこちらが思ってる以上に大きく、それも底の方からゆっくりと地滑りを起こし始め…

東京オリンピック「内定」とその影響?

*1 ■開催までの7年間で激変する、新加入するインフラは何か? 首都高速が高層化? リニアの投入? 羽田のレベルアップ? いよいよお台場カジノが完成? カジノについてはオリンピックの動向とは別に、動きが加速され始めてますね。オリンピックを追い風にし…