ジェンダー

鳥山明逝去、に寄す

● 今こそ、ドラゴンボールを集めに行かねばならん――わが国のみならず、世界中がそう思ったようです。 鳥山明急逝の報がweb環境を介して瞬時にかけめぐりました。享年68。急性硬膜下血腫とのことでしたが、その衝撃は国内もさることながら、むしろそれ以上に…

鼻歌、ということ

● 鼻歌をうたう、という身ぶり、あるいは日常生活上のちょっとした癖みたいなものでしょうか、いずれにせよ、そういうしぐさもまた、昨今見かけなくなったもののひとつかも知れません。 たとえば、『あたしンち』という、けらえいこのマンガに出てくるおかあ…

「団塊の世代」と「全共闘」㉔ ――オンナの自意識、教養主義の残映

●女の自意識、戦後フェミニズム ――明治、大正、昭和と、女の欲望、自意識も変わってきます。女に自意識どころか性欲がある、なんて当時としてはとんでもない話だったわけですよね。 俺の子供の頃、母親の「主婦の友」の性の悩みコーナーとか見ても、女に性欲…

「団塊の世代」と「全共闘」㉓ ――快適なシングルライフ、の尖兵

●快適なシングルライフ ひとり者=シングルの始まりは団塊世代か、ということについて、友人の山口文憲が『団塊ひとりぼっち』という本で書いていた。これはさっきちょっと触れた七○年以降の社会インフラの整備と関係することだけど、地域の共同体は崩壊して…

「団塊の世代」と「全共闘」㉒ ――オトコとオンナ、自慰の暗闇、処女性の霹靂

◎男と女、自慰の暗闇 処女性の霹靂 ――「婚前交渉」と同じように、当時はオナニーも問題になったでしょ。自慰、マスターベーション、ですが。 もちろん、問題になった。私の世代では、小・中学校の頃、オナニーは変態扱いだったね。 ――うわ……いきなり「変態」…

続・阿久悠と都倉俊一――あたらしい〈おんな・こども〉の感覚

● 阿久悠と都倉俊一の「出逢い」が、どれだけ互いに異質なもの同士の遭遇だったか。それは後世の後知恵でごくあっさり言ってしまうならば、「育ちの違い」というひとくくりな言い方に還元してしまっても、ひとまずいいようなものではありました。 だがしかし、と…

本邦いまどきの「ポリコレ」・考

● 明らかに何かがおかしい。いや、前からおかしくなってきているのは確かでしたが、ここにきてまたそれが一段と加速、もはや何か取り返しのつかないところにまで事態の底が抜けて、見渡す限り何やら煮崩れ始めたような印象です。 他でもない、昨今「ポリコレ…

「馬鹿」と「純情」――山田洋次『馬鹿まるだし』と戦後の民衆的想像力における「無法松」像の変貌

*1 ――小説を映画化するということは、その小説からエッセンスだけを抽出して、そのエッセンスをもう一度、映画として豊かに再展開して行くことですから、言ってしまえば、エッセンスが濃厚でありさえすれば、原作の小説がくだらなくたってつまらなくたって失…

〈おんな・こども〉ということ

〈おんな・こども〉というもの言いがあります。というか、ありました。 今やうっかり使おうものなら、文脈その他すっ飛ばして、とにかく「使った」ということ自体でえらいことになりかねない、そういう意味ではすでに死語というか、それこそ「ポリコレ」(ポ…

「セクハラ」雑考

「セクハラ」が、日々あちこちで喧伝されております。 テレビや新聞、週刊誌といった既成のマス・メディアは言うに及ばず、いまどきのweb環境での各種情報発信、既成メディアにぶら下がる、あるいはそうでないものも含めて公的私的入り乱れての複合環境で、…

「不良」の共同性について――「隼おきん」を糸口に

*1 「僕はその頃十六であつた。丸く黒く、焼けすぎた食パンの頭みたいな顔をして、臙脂色のジヤケツを着て、ポケットに手を突つこんで、毎日街を歩いてゐた。」*2 「こういう、一体なにが本業だかわからないで、なんとなく喰えている男が、ひところ、浅草の…

「恐妻」とその周辺・ノート 

● 「恐妻」というもの言いがあった。昨今ではもうあまり使われなくなっているようだが、敗戦後、昭和20年代半ば過ぎあたりから、当時の雑誌やラジオその他のメディアを介してある種「流行語」になっていたとされる。 この種のもの言いを糸口に何か考察を始め…

笹井センセの謎、その他

笹井はノーベル賞候補とさえ言われた人物です。彼のES細胞は、生体から卵子を取り出さなければならず、倫理問題から人体への転用ができな くなりました。そこにiPSが登場し、ノーベル賞をかっさらったという流れです。それでも笹井はエリートですし、収入…

「九州男児」と「童心主義」

「九州男児」と「童心主義」が交錯する地点があるとすれば、それは「少年」、でしかないでしょうね。 それは「稚児」という意味もあたりまえに含み込んだ、その意味では近世以来の西南日本系出自のセクシュアリティを前提にした、という脈絡において、でもあ…

嗚呼、「スイーツ」(笑)

● たまには、詩でも吟じてみようか。 雨デモマキガミ 風デモマキガミ 雪デモ夏ノ暑サデモマキガミ ツネニユルフワパーマヲ保チ 欲ニマミレ 決シテ奢ラズ イツモウワメヅカイデ 口角ヲアゲテワラッテヰル 一日ニサプリト少シノスイーツヲタベ アラユルコトヲ …

同業他社の不行跡から

● 同業他社というのは、常に微妙な関係である。まして、業界自体が先細りが見えているとなるとなおのこと。舳先と船底と、それぞれ持ち場居場所は異なれど、いずれ沈みかかって傾き始めた船に乗り合わせているのは同じ。どこから水が入るか、どちらに傾くの…

平成好色一代オンナ

なにごとも中途半端はよろしくない。やるならとことん、徹底的に。バカでもアホでも常人の域を超えていれば、その突き抜け加減を愛でてくれる酔狂も転がり出てくるのがわがニッポンの世間。 たとえば、一躍「平成の好色一代女」になりあがった、あの山本モナ…

「ブスかわ」の謎

「ブスかわいい」と呼ぶんだそうな。青木さやかに森三中にハリセンボン、いずれそのへんの、主にお笑い系な最近の「十人並み」ご面相女性タレントたちのこと、である。 「エロかわいい」というのもすでに周知。倖田來未とかエビちゃんとかそのテをさすらしい…

「ジイさま」のセクシュアリティ

「産む機械」発言、なんかグダグダに尾を曳いてるようであります。 あたしも産経新聞にちみっとこの件、書いたんですが、どうやら似たようなこと思ってる御仁は他にもいらっしゃったようで、あの橋下徹弁護士(http://www.hashimoto-toru.com/ ツラが卑しい…

女性は「産む機械」発言余波

「女性は「産む機械」」発言で、柳沢厚生大臣が四面楚歌、立ち往生であります。 政治家の発言としてちと不用意だった、それは確かですが、しかし、相も変わらず前後の脈絡すっとばして片言隻句を揚げ足取りして騒ぎ立てるメディアの手癖も恥知らず丸出し。ま…

男らしさ・考 vol.31~40

マンガの世界では、それまであった少年マンガ、少女マンガ、という、それはそれで幸福でもあった棲み分けが、おおむね80年前後になしくずしに崩壊している。いわゆる「ラブコメ」の浸透、「恋愛」というモティーフの内在化がひとつ大きなきっかけになった…

男らしさ・考 vol.21~30

「家庭」は「ユーモア」「お笑い」と手に手をとって、新たな〈リアル〉をかたちづくっていった。 おおむね大正末から昭和初年にかけての時期に芽生え始め、最初は一部の、都市在住の「中間層」の感覚や趣味に沿ったものだったけれども、しかし戦中戦後をはさ…

男らしさ・考 vol.11~20

「家庭」にも、すでに歴史がある。けれども、誰もが「そういうもの」として日々やり過ごし、それをいちいち意識することはない。そうするうちにその「そういうもの」の中身は知らず知らず変わってゆく。民俗学者の眼の高さから見える歴史とは、案外そういうも…

男らしさ・考 vol.1~10

*1 九州はしみじみと異国だ――だいぶ前、ある原稿の冒頭にそう書いたことがある。今でも十分にそう思っている。 全く縁がないわけではない。亡くなったオヤジは若い頃八幡で働いていたし、母方がもともと九州の出。親類縁者は今でも結構九州にいる。小さい頃…

対談 vs. 西原理恵子「明日船を出したら」

*1西原理恵子という“漁師”の目線。 あるいは、オヤジの皮かぶったキンタマオンナ、のこと ■ 二二年目の舵 ――**さんは、九三年の年末のNHK『BSブックレビュー』で、その年のベストワンに『怒濤の虫』(毎日新聞社)を挙げてらっしゃっいましたね。その他に挙…

DV再考

DVというもの言いがあります。デジタルビデオ、じゃなくって、ドメスティックバイオレンス、の方。直訳すれば「家庭内暴力」ですが、これは親から子供、夫から妻、といったオトコ(強者)からオンナコドモ(弱者)への暴力、という意味にだけとられてしまい…

無法松、あすなひろしの無意識をうっかりと引きずり出すこと

いや、のけぞった。めまいがした。そうか、そういうことだったのか、やっぱり、と、膝を何度も叩きまくった。 今回、あすなひろし公式サイトを管理する高橋徹さんに、この解説を書くための資料として送ってもらったコピーで初めて読んだのだが、あすなひろし…

女子大生の絶滅

女子大生が絶滅しつつある。オンナの大学生、はいれど、「女子大生」とくくられるような存在は、実体はもとよりイメージとしてさえも、もう明確な像を結ばない。 女子大生歌手、女子大生作家、女子大生○○……一時期、メディアを賑わす煽り文句に「女子大生」の…

保守系オンナの“あイタタタ……”について

あまりと言えばあまりなフェミニズムの勘違いを鵜呑みにして考えなしにものを言う、脊髄反射系バカ女の跳梁跋扈のおかげで、「フェミファシズム」というもの言いも、最近では少しは世に知られるようになってきました。それはすでに「眼前の歴史」として同時…

フェミファシズムの尖兵「コメンテーター」

メディアの現場周辺で「とにかくそう言っておけばさしさわりがない」という程度に空気と化してきた雰囲気としての「フェミファシズム」。その重要な発信源のひとつに、コメンテーターという連中がいます。 こやつらは果たしていつ頃から当たり前の肩書きとし…