ジェンダー

「馬鹿」と「純情」――山田洋次『馬鹿まるだし』と戦後の民衆的想像力における「無法松」像の変貌

*1 ――小説を映画化するということは、その小説からエッセンスだけを抽出して、そのエッセンスをもう一度、映画として豊かに再展開して行くことですから、言ってしまえば、エッセンスが濃厚でありさえすれば、原作の小説がくだらなくたってつまらなくたって失…

〈おんな・こども〉ということ

〈おんな・こども〉というもの言いがあります。というか、ありました。 今やうっかり使おうものなら、文脈その他すっ飛ばして、とにかく「使った」ということ自体でえらいことになりかねない、そういう意味ではすでに死語というか、それこそ「ポリコレ」(ポ…

「セクハラ」雑考

「セクハラ」が、日々あちこちで喧伝されております。 テレビや新聞、週刊誌といった既成のマス・メディアは言うに及ばず、いまどきのweb環境での各種情報発信、既成メディアにぶら下がる、あるいはそうでないものも含めて公的私的入り乱れての複合環境で、…

「不良」の共同性について――「隼おきん」を糸口に

*1 「僕はその頃十六であつた。丸く黒く、焼けすぎた食パンの頭みたいな顔をして、臙脂色のジヤケツを着て、ポケットに手を突つこんで、毎日街を歩いてゐた。」*2 「こういう、一体なにが本業だかわからないで、なんとなく喰えている男が、ひところ、浅草の…

「恐妻」とその周辺・ノート 

● 「恐妻」というもの言いがあった。昨今ではもうあまり使われなくなっているようだが、敗戦後、昭和20年代半ば過ぎあたりから、当時の雑誌やラジオその他のメディアを介してある種「流行語」になっていたとされる。 この種のもの言いを糸口に何か考察を始め…

笹井センセの謎、その他

笹井はノーベル賞候補とさえ言われた人物です。彼のES細胞は、生体から卵子を取り出さなければならず、倫理問題から人体への転用ができな くなりました。そこにiPSが登場し、ノーベル賞をかっさらったという流れです。それでも笹井はエリートですし、収入…

「九州男児」と「童心主義」

「九州男児」と「童心主義」が交錯する地点があるとすれば、それは「少年」、でしかないでしょうね。 それは「稚児」という意味もあたりまえに含み込んだ、その意味では近世以来の西南日本系出自のセクシュアリティを前提にした、という脈絡において、でもあ…

嗚呼、「スイーツ」(笑)

● たまには、詩でも吟じてみようか。 雨デモマキガミ 風デモマキガミ 雪デモ夏ノ暑サデモマキガミ ツネニユルフワパーマヲ保チ 欲ニマミレ 決シテ奢ラズ イツモウワメヅカイデ 口角ヲアゲテワラッテヰル 一日ニサプリト少シノスイーツヲタベ アラユルコトヲ …

平成好色一代オンナ

なにごとも中途半端はよろしくない。やるならとことん、徹底的に。バカでもアホでも常人の域を超えていれば、その突き抜け加減を愛でてくれる酔狂も転がり出てくるのがわがニッポンの世間。 たとえば、一躍「平成の好色一代女」になりあがった、あの山本モナ…

「ジイさま」のセクシュアリティ

「産む機械」発言、なんかグダグダに尾を曳いてるようであります。 あたしも産経新聞にちみっとこの件、書いたんですが、どうやら似たようなこと思ってる御仁は他にもいらっしゃったようで、あの橋下徹弁護士(http://www.hashimoto-toru.com/ ツラが卑しい…

女性は「産む機械」発言余波

「女性は「産む機械」」発言で、柳沢厚生大臣が四面楚歌、立ち往生であります。 政治家の発言としてちと不用意だった、それは確かですが、しかし、相も変わらず前後の脈絡すっとばして片言隻句を揚げ足取りして騒ぎ立てるメディアの手癖も恥知らず丸出し。ま…

男らしさ・考 vol.31~40

マンガの世界では、それまであった少年マンガ、少女マンガ、という、それはそれで幸福でもあった棲み分けが、おおむね80年前後になしくずしに崩壊している。いわゆる「ラブコメ」の浸透、「恋愛」というモティーフの内在化がひとつ大きなきっかけになった…

男らしさ・考 vol.21~30

「家庭」は「ユーモア」「お笑い」と手に手をとって、新たな〈リアル〉をかたちづくっていった。 おおむね大正末から昭和初年にかけての時期に芽生え始め、最初は一部の、都市在住の「中間層」の感覚や趣味に沿ったものだったけれども、しかし戦中戦後をはさ…

男らしさ・考 vol.11~20

「家庭」にも、すでに歴史がある。けれども、誰もが「そういうもの」として日々やり過ごし、それをいちいち意識することはない。そうするうちにその「そういうもの」の中身は知らず知らず変わってゆく。民俗学者の眼の高さから見える歴史とは、案外そういうも…

男らしさ・考 vol.1~10

*1 九州はしみじみと異国だ――だいぶ前、ある原稿の冒頭にそう書いたことがある。今でも十分にそう思っている。 全く縁がないわけではない。亡くなったオヤジは若い頃八幡で働いていたし、母方がもともと九州の出。親類縁者は今でも結構九州にいる。小さい頃…

対談 vs. 西原理恵子「明日船を出したら」

西原理恵子という“漁師”の目線。 あるいは、オヤジの皮かぶったキンタマオンナ、のこと *1■ 二二年目の舵 ――**さんは、九三年の年末のNHK『BSブックレビュー』で、その年のベストワンに『怒濤の虫』(毎日新聞社)を挙げてらっしゃっいましたね。その他に挙…

DV再考

DVというもの言いがあります。デジタルビデオ、じゃなくって、ドメスティックバイオレンス、の方。直訳すれば「家庭内暴力」ですが、これは親から子供、夫から妻、といったオトコ(強者)からオンナコドモ(弱者)への暴力、という意味にだけとられてしまい…

無法松、あすなひろしの無意識をうっかりと引きずり出すこと

いや、のけぞった。めまいがした。そうか、そういうことだったのか、やっぱり、と、膝を何度も叩きまくった。 今回、あすなひろし公式サイトを管理する高橋徹さんに、この解説を書くための資料として送ってもらったコピーで初めて読んだのだが、あすなひろし…

女子大生の絶滅

女子大生が絶滅しつつある。オンナの大学生、はいれど、「女子大生」とくくられるような存在は、実体はもとよりイメージとしてさえも、もう明確な像を結ばない。 女子大生歌手、女子大生作家、女子大生○○……一時期、メディアを賑わす煽り文句に「女子大生」の…

小谷真理vs.山形浩生事件(笑)、はこう読め!

*1 ああ、キモチ悪ィ。二日酔いの胃袋にバリウムをむりやり五リットルくらい流し込まれたみてえなキモチ悪さ。胸やけしまくって吐き気がとまらねえや。こうなるのがわかってたから実はこの原稿だけは、仕込みだけはずっとやりつつ、テキストにするのが剣呑で…

阿川佐和子、という謎

阿川佐和子が謎である。つくづく謎である。謎であることを敢えてまな板にのせられることすらないほどに、その存在とキャラはいまどきのニッポンメディア界隈の正面切って指摘されない、しかしかなりに大いなる謎、なのである。「育ちの良さ」というのをここ…

山田美保子という風土病

山田美保子というビョーキがある。わかりやすいんでそう名づけている。 主に「コラムニスト」と呼ばれるようなもの書き界隈の風土病。オンナがとりつかれることが多いし、症状も確認しやすいのだけれども、実はオトコにだって密かに感染してたりするからこと…

辻元清美的なるもの、の考察

*1 あまりに急にいろんな展開がありすぎて、追いかけるだけで息が切れる、というのが正直なところの、昨今の辻元清美がらみ、社民党崩壊過程のすったもんだであります。 「ムネヲ」こと、鈴木宗男叩きの立役者にして、テレビや新聞・雑誌にやたらと顔を出す…

思いっきりおおざっぱな「ラブコメ」・試論

● *1ニッポンのマンガ表現において、「少女マンガ」「少年マンガ」という分類が、事実上意味をなさなくなったのは、おおむね1980年前後のことでした。 具体的には、『タッチ』『みゆき』に代表されるあだち充の一連の作品あたりから顕著になり、高橋留美…

座談会「女性がつくった男性商品」

*1 ●深窓の令嬢から一転<ヌードグラビア担当!? 大月 本日の司会を務めます、大月です。まずはみなさんに簡単な自己紹介をしていただきましょうか。 江部 キリンビールの江部です。ビールと発泡酒の新商品を開発しています。最近では、夏季限定の発泡酒「常…

【草稿】「女性がつくった男性商品」座談会

*1 大月 おはようございます。大月です。 きょうは、女性の立場から見た男性商品ということで、全然業種もあれも違う、どうしてこんなにばらばらなんだって、おれ、言ったんだけれども、まあ、皆さんも、全然、それぞれお立場は違うでしょうから、その辺を含…

オンナの書評、の立ち位置

オンナのもの書き、ってのは、これだけ女性の社会進出がどうたら言われ倒しているにも関わらず、未だにやはり少数派であります。 ただ、書評の世間に限っては、案外にオンナのシトが幅を利かせてたりする。それって、テレビのキャスターなんかにお約束みたい…

拝啓、『朝日新聞』記者 高橋純子様

拝啓、『朝日新聞』記者高橋純子様。七月一三日付けの朝刊に載ったあなたの「記者だって気に入られたいけど…」という記事、拝読しました。 「私だって、取材相手に気に入られたい。森首相が言うように『かわいいところがあるじゃないか』と思われたい。だが…

オンナたちの孤独――「東電OL殺人事件」をめぐって

● 「東電OL殺人事件」の語られ方は、例によってメディアの舞台にある発情をもたらしています。 だいたい、これって殺人事件ですよね。で、彼女は被害者ですよね。なのに、その犯人像の推測などはほぼそっちのけ、ただただその被害者である「彼女」の輪郭に…

援助交際の向う側

少し前、「コギャル二人、ホストクラブ借金返済のため売春300回」というニュースに対して、そういういかにも「ああ、いまどきの十代の話ね」という印象を喚起するニュースって果たしてどこまで本当なの? という疑問を呈したところ、何人かの読者から「よ…