2010-01-01から1年間の記事一覧

ルポ・ノンフィクション、の行く末

● 朝倉喬司さんが亡くなりました。すでに報道等でご存じの向きもあるでしょうが、いわゆる孤独死、と呼ばれてしまうような、とても残念な最期でした。 ルポライター、ノンフィクション作家、犯罪評論家……肩書きは何でもいいでしょう。いずれ同時代を駆け抜け…

追悼・朝倉喬司

命日は12月8日、そう決めた。だって、やっぱり来てたんだもの、朝倉さん。 その日、札幌での「こまどり姉妹、とその時代」というイベントのトークセッション、こまどり姉妹ご本人を前にしての公開聞き書きという趣向で、民俗学者の赤坂憲雄さんと共に朝倉さ…

書評・川北稔『イギリス近代史概説』

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)作者:川北稔講談社Amazon 日本は最近、新衰退国 (new declining country) などと呼ばれているが、イギリスは半世紀近く前から「衰退国」といわれてきた先輩だ。衰退とはどういうものかを学ぶには、本書はいい教材だろう…

ざまあみやかがれ、アメ公

*1 ざまあみやがれ、アメ公! ……てなことをいきなり言うと、いまどききれいにアブナいシト扱い、周囲十数メートル以内に誰もいなくなること必定でありますな。 あ、いや、いかにあたしだとて場所もわきまえずそんなこと言やしませんし、そこらの保守オヤジみ…

「尖閣」騒動の教訓

● ここ15年ほどの間、それこそかの「歴史教科書」問題あたりから広まっていた、わがニッポンの健気にもヘタレな草の根ナショナリズムに、ありがたい、一気に火をつけてくれることになったこの間の「尖閣」騒動、現在11月5日時点で、政府民主党があれだけ一般…

こまどり姉妹とその時代――ホッカイドウ学!! 北海道「を」、だけでなく、北海道「で」、考えること。

札幌国際大学に、「ホッカイドウ学」準備室、を立ち上げます。 「北海道学」でなく、敢えて「ホッカイドウ学」にした理由は、北海道のこれまでのイメージや歴史に縛られるのでなく、未来に向けて開かれた「ホッカイドウ」を、北海道に生きてきた人たちの内側…

ざまあみやがれ、アメ公【草稿改】

*1 ざまあみやがれ、ヤンキー! ……てなことをいきなり言うと、いまどききれいにアブナいシト扱い、周囲十数メートル以内に誰もいなくなること必定でありますな。 あ、いや、いかにあたしだとて場所もわきまえずそんなこと言やしませんし、そこらの保守オヤジ…

高知県馬主会の「内紛」

高知競馬と言えば、少し前はハルウララ、今じゃいち早く通年ナイター競馬に移行する英断を下して、真っ先につぶれるだろうと言われながらしぶとく生き残っている競馬場。その高知競馬で前代未聞の騒動が持ち上がっていた。 「実はこの春先からずっともめてた…

ざまあみやがれ、アメ公【草稿】

*1 *2 ざまあみやがれ、アメ公! ……てなことをいきなり言うと、いまどききれいにアブナいシト扱い、周囲十数メートル以内に誰もいなくなること必定でありますな。 あ、いや、いかにあたしだとて場所もわきまえずそんなこと言やしませんし、そこらの保守オヤ…

「無尽講」摘発をめぐって

*1 ――無尽講の件なのですが、銀行法で取り締まられるようになったのは、暴力団の資金源になるなどの理由からですよね? 銀行法その他「法律」が無尽講などを取締対象にしていった経緯などは、詳しくはないですが、戦後、今の相互銀行に移行できなかった部分…

在日/半島系人士の〈リアル〉――崔洋一発言をめぐって

● うわあ、こりゃキッツいわあ、とは、思わず口をついて転がり出たひとこと。脳内はダウンタウンの浜ちゃんのあの声で、と付け加えればさらにニュアンスは正確になるかも。 眼前のモニター画面では、テレビの討論番組の映像ファイル、少し前に一瞬だけ流行っ…

「クールジャパン」と、いまどきのお役所気分

● 「クールジャパン」なんてことが、ここにきてそろそろメディアの表舞台でもささやかれるようになってきました。 マンガやアニメは言うにおよばず、どうも最近ではファッションだの食文化だの、はたまた観光だの、それらあれやこれや何でもありに全部ひっく…

撃論ムック 新・書生の本領

「ゆとり教育」の本質

● いわゆる「ゆとり教育」が一時期、問題になっていました。もしかしたら、昨夏の総選挙以降、政局のみならず、足もとのあちこちが棚落ちを始めているようなあれやこれやで日々のできごとからあまりに錯綜しているニッポンのこと、多くの人の脳内ではもうす…

「九州男児」と「童心主義」

「九州男児」と「童心主義」が交錯する地点があるとすれば、それは「少年」、でしかないでしょうね。 それは「稚児」という意味もあたりまえに含み込んだ、その意味では近世以来の西南日本系出自のセクシュアリティを前提にした、という脈絡において、でもあ…

西日本新聞

笠松には「ハマちゃん」――濱口楠彦がいる

● ツバメが低く、高く、何羽も飛び交いながら舞っていた。馬道の小川に沿ってそよぐ柳の木々には、透き通るような新緑が彩られ、馬たちはというと、いつもと同じ歩みで仕事支度、時に一般道を横切りながら、競馬場へと向かう足どりをゆっくりと運んでゆく。 …

競馬最強の法則

情報環境の変貌から

● 情報環境の変動が、いまや誰の眼にもわかりやすくそこここに現象として現れるようになっています。本誌の読者諸兄姉ならば言うまでもなく承知されていることでしょう。新聞、テレビ、雑誌……これまで一律に「マスメディア」とひとくくりにされてきた既存の…

競馬から日本が見える

*1 ●競馬から見る日本 今日は、競馬の話をします。北海道と競馬、特に地元に密着した地方競馬のあり方について、少し理解を深めてもらおうと思っています。 と言っても、あなたがたいまどきの若い人たちは、競馬そのものをもうあまり楽しまなくなっているん…

地方競馬改革・取材メモ

●岐阜県の状況について 笠松競馬存廃検討委員会の最終答申が、先月末に出ました。本文は、「いまのままでは赤字を回復する見込みがないので、廃止を勧告する」というものでしたが、そこに付記がついていて、競馬法改正に従い民間参入の可能性が出てきている…

「競馬法改正」と地方競馬の現在

● はじめに 現在、日本競馬の置かれている状況はきわめて厳しい。 90年代末から顕著になってきた売り上げの長期低落は今なおとどまらないばかりか、2005年から施行されている改正競馬法の実もあげられないまま、相変わらずJRA(日本中央競馬会)の競馬とそれ以…

記者クラブ「開放」の是非

● 記者クラブ、いる? いらない? なんでおれに訊こうと思ったの。ほかと違うこと言いそうだから? じゃあさ、なんでみんなおんなじような答えになると思う?*1 いや、総論は賛成なんですよ、上杉隆氏とかの言ってることには。記者クラブがおかしいなんてこ…

「保守」の再生って?

● 「保守」の再生が、改めて叫ばれています。 言うまでもない、わずか半年足らずでどうやら予想を超えてどうしようもないところにまで墜ちてしまった、昨年総選挙以降の今のこの「日本」の状況、「民主党ファシズム」とまで言挙げする向きまであるのも洒落に…

さらば、朝青龍

「木でつくった家、紙で貼った座敷にくらす間は人間の気持が穏やかでもありのんびりもしてゐた、相撲だって晴天九日のために其都度組み立てる丸太細工の小屋の間は、めいめいの稽古場から土俵へ、土俵から相撲茶屋へやがて花柳界のお座敷へとゆく先々にこわ…

正論

民俗学的思考の来歴・覚え書き――「現代民俗学」のための、迂遠な考察

――故に日本がもし今までの通りに、いくらか流行におくれつつも、真似だけはかならずする国民であるならば、これから三十年五十年の後の、学問の方向だけはおよそ予察しえられるのである。ただ大学は寺院に次いでの保守派であるから、やや余分に遅蒔きに渋々…

マンガと若者文化の現在

―全体として、いまマンガはどうなっているのでしょうか。 さて、全体像をとらえるというのは不可能、ちょっと誰にもとらえられませんよ。ただ一時期のような勢いはなくなっていますね。週刊マンガ誌の『少年ジャンプ』が六〇〇万部だった九〇年代からいえば…

小沢一郎という教材

いやあ、事態の推移が早すぎます。編集部から原稿の依頼があったのが正月明け、「小沢一郎に退陣勧告」という趣旨の特集でひとつ、という話だったけれども、その後の展開は、秘書3人の逮捕も含めてすでにご案内の通り。というか、現在19日の時点でようや…