歴史
● 鼻歌をうたう、という身ぶり、あるいは日常生活上のちょっとした癖みたいなものでしょうか、いずれにせよ、そういうしぐさもまた、昨今見かけなくなったもののひとつかも知れません。 たとえば、『あたしンち』という、けらえいこのマンガに出てくるおかあ…
● 歌は世につれ、世は歌につれ、というもの言い、玉置宏の発案と言われてますが、その真偽はともかく、そこで言われているような、世の中と「うた」とが自明にがっちりからみあい、共に存在するという認識自体、もしかしたらすでに静かに歴史の向こう側に退…
*1 元競走馬に約2メートルの土壁を駆け上がらせる三重県桑名市の「上げ馬神事」について、動物愛護法違反の疑いがあるとして6月、県警に刑事告発された。 5月の神事で1頭の馬が脚を骨折し、その後殺処分とされたことなどからSNS上で批判が噴出。奉納先の多度…
● そう言えば、 「盛り場」という言い方も、最近はあまりされなくなったようです。 飲み食いから夜は酒やオンナなども、そしてそれに伴いさまざまな興行もの、その時その場所での「上演」を属性とするような「消費」が、場合によっては24時間体制ですら準備され…
● かつて――と、もう言ってしまっていいのでしょう、「アカデミズムとジャーナリズム」という対比で語られるのがあたりまえに「そういうもの」だった、そんな言語空間と情報環境が本邦の〈いま・ここ〉にありました。 それがもう「かつて」と呼んで構わない程…
*1 先日、三浦小太郎さんが、かつて自分の書いた「無法松の影」という本をとりあげて、えらくほめてくださっていたんですが、それを受ける形で、今日はその素材になった「無法松の一生」の話をしろ、ということなので、少しお話しさせていただきます。 というの…
● 「恐妻」というもの言いがあった。昨今ではもうあまり使われなくなっているようだが、敗戦後、昭和20年代半ば過ぎあたりから、当時の雑誌やラジオその他のメディアを介してある種「流行語」になっていたとされる。 この種のもの言いを糸口に何か考察を始め…
● 坑道を石炭はこびつつおもよせて いななき交わすよごれ馬はも 死にてより時はすぐれど馬小屋に なほ棄てられしよごれ馬はも 死馬のあたまおしさげ小台車に 馬蹄ははこぶつば吐きつつ *1 明治末から大正初期にかけて、雑誌『アララギ』に投稿された山口好と…
皇室の「女帝」問題について、ひとこと述べておく。 ご懐妊と期を一にしながらにわかに議論のテーマになってきた問題だが、なにせ「国民の象徴」として「戦後」を生きてきた皇室のこと、国民感情からすれば「オンナの天皇だって、もう別にいいよね。だって、…
記憶すること・記録すること―聞き書き論ノート (歴史文化ライブラリー)作者:香月 洋一郎吉川弘文館Amazon 民俗学というのは人文・社会科学系学問の最も下流に属している。上級の学問領域で流行りの課題も、濾過され劣化コピーされて民俗学のまわりにたどりつ…
■「情報環境」という問いが今、必要な理由 くだらないこと、ささやかなこと、とるにたらないことがただそのようなものとして充満している「日常」を、構築的にではなく記述的にとらえる態度が、果たしてどのようにこの島国に棲みついた人々の意識の歴史の上…
いろいろと物議も醸した『全共闘白書』(新潮社)の、そのもとになったアンケートの全てをまとめたものが出た。『全共闘白書・資料編』と銘打ってあるが、版元は今度は新潮社でなく、「プロジェクト猪」名義での自費出版という形になっている。母数五千人弱…
*1 育った土地に小さな川があった。 たいした川じゃない。六甲山系からいく筋も流れ出る小さな流れの、もう少し下流へ行けばいくつか他の流れを集めてちっとは川らしい川になってゆくという、そのまさに「川らしい川」になる前の川だ。 だから、特に意識はし…