大学

和解成立に際して (記者会見リリース)

*1 2020年6月29日付けで、札幌国際大学より「懲戒解雇」を申し渡されました件について、本年2023年2月16日に札幌地方裁判所で出された一審判決を不服として大学側が提訴していた控訴審ですが、本日、大学側との和解が成立しました。 和解内容、および和解に…

Blue Collar Aristocrats : Life Styles at a Working Class Tavern ……④ 仕事の世界

仕事の世界 「俺たちが組合を持ってるってのは、クソみてェにいいことさ」 ――『オアシス』に来る大工の弁 ● はじめに 歴史的に言って、西欧社会においては人生の中心は仕事であった。その自己イメージと、その地域での地位双方は、どれだけ稼ぐかにかかって…

Blue Collar Aristocrats : Life Styles at a Working Class Tavern ……③ 居酒屋と街とセンセイ

居酒屋と街とセンセイ 「『オアシス』であんたはいつだって楽しい時を過ごせるってわけだ」 ――『オアシス』の常連の弁 ● 居酒屋 『オアシス』はご近所のための居酒屋ではない。その客たちは歩いてではなくクルマでやってくる。彼らのうちの何人かは数マイル…

Blue Collar Aristocrats : Life Styles at a Working Class Tavern ……② はじめに

はじめに 「おれたちゃあんたのことを、ポリ公にしちゃいいヤツだ、と思ってたんだぜ」 ――筆者についての『オアシス』の常連の弁 社会、とりわけ複雑で多様な合衆国のような社会においては、社会の異なった切片を記録し、分析することは重要な作業である。こ…

対談・いまどきの大学、その難儀な現状

*1大月 この春に、恵泉女学園大学、神戸海星女子学院大学、上智大学短期大学部が学生募集の停止(恵泉と神戸海星は来年度から。上智短大は2025年度から)を発表したというニュース、いやあ、他人事ではないなあという気がしましたね。この3つはいずれも…

「学校」問題、という難儀

世に、「学校」問題というのがあります。 「教育」問題、と翻訳される場合もあり、また「子供」「青少年」問題といった色合いが強調される場合もあり、さらに、対抗的に「家庭」が補助線として加えられることもありますが、いずれにせよ「学校」が、それらの問題設…

大学という場所の現在

*1 ● 大学への信頼が、地に堕ちています。 大学だけではない、そこで行われている講義や演習、いずれ高等教育として行われているはずの「教育」の内実から、まず胡散臭げな眼で見られるようになっている。と同時に、大学という場のもう一方の重要な使命とされ…

地裁判決に際して (記者会見リリース)

*1 2020年6月29日付けで、札幌国際大学より「懲戒解雇」を申し渡されました件、また、それに対し同年7月13日付けで、札幌地方裁判所に対して地位保全及び賃金仮払いの仮処分命令の申し立てをした件に続き8月28日付けで札幌地方裁判所に民事提訴した件、「懲戒…

留学生の不適切入試の疑いで混乱する札幌国際大学

田中圭太郎『ルポ 大学崩壊』(ちくま新書)から、札幌国際大学の留学生をめぐるワヤについての部分。取材を受けたし、また内容の細部についての説明やコメントもした。自分自身の書いた仕事ではないが、札幌国際大学問題についての一連のエントリー関連という…

「団塊の世代」と「全共闘」・余滴①――呉智英かく語りき・断片

king-biscuit.hatenablog.com 一連のエントリー、上記であらかじめ経緯来歴について説明した通り、2005年から6年にかけての頃、呉智英夫子との対談本というか、インタヴュー本的な企画がお流れになった、その概ね9割方かたちになっていた作業中の草稿データ…

「団塊の世代」と「全共闘」㉜ ――大江健三郎、高橋和巳

●大江健三郎 ――三島なんかとは格が違うとは思うんですが、未だに朝日新聞以下、後がなくなってるリベラル陣営の守護神というか貧乏神みたいになっている、大江健三郎はどうでしたか? 大江健三郎は、私たちの頃は尊敬の対象ではなかったし、私も大江健三郎を…

「団塊の世代」と「全共闘」㉛ ――三島由紀夫、連合赤軍、「学生」の東と西

●三島由紀夫 ――あと、呉智英さんの世代、いや、もう少し下まで含めていいと思いますが、吉本と共に三島の影響ってのも大きいことに驚くんですよ。あたしらにとっちゃ、少なくとも同時代の印象としては、単に自衛隊に突入して腹切っちゃったヘンな作家、程度…

「団塊の世代」と「全共闘」㉚ ――吉本信者への違和感、草の根の共産党員のこと

――思想なり発言なりに何らかの抵抗値が設定されてないと、その輪郭も自覚できないままってところはありますね。あたしが年来便利に使っている「あと出しジャンケン保守」というもの言いと同じことで。福田恒存や江藤淳がかつて、ああいう論陣を張っていたの…

「団塊の世代」と「全共闘」㉙ ――本音と建前、二分法の前景化

――「国家」ってのがもうあらかじめそんなに大変な争点になってた、ってことなんでしょうね。で、そんなものは崩壊する、死滅する、というのが理想郷である、と。なんというか、ラスボスとしての「国家」を想定してそれを倒すことが正義、というのは、まず想…

「団塊の世代」と「全共闘」㉖ ――「大学」の衰退、戦後の終焉の風景

●大学という場の磁力、日本人の退嬰化 ――大学自体、そういう「教養」をわが身に紐付けて形成してゆくような教育を、最近はもうしていませんし。 そう、ただ昔から大学は、そういう教育をしていたとしても、それは一般的な教養教育にすぎないんであって、制度が…

「団塊の世代」と「全共闘」㉕ ――「教養」願望、と、おたく的知性の関係

*1 *2●教養願望とオタク的情報量の集積 ――でも今、浅田彰や宮台真司がアニメ語るとカッコ悪いでしょ(笑)。もちろん、当人はそう思っていないんだろうけど。 それは、教養になり得ていないんだよ。 ――マンガでも一緒ですよ。浅田が岡崎京子を語ったら、ほん…

陳述書 2022.7.5 (抜粋)

*1 私は、原告の大月隆寛です。2020年8月28日に本件訴訟を提起いたしました。すでに、陳述書は提出しておりますが、仮処分の審理のために作成したものですので、本件の訴訟における大学側の主張も踏まえて、下記の通り陳述いたします。 私の懲戒解雇…

陳述書 2022.3.22 (現在の心境)

*1 不当な理由と手続きとで、大学を一方的に懲戒解雇されてから約1年9ヶ月、現在の心境など陳述します。 不当な懲戒解雇によって、大学の教員として、担当する学生たちに何ら予告なく、十分な説明もできないまま教室を離れることを余儀なくされ、教育がで…

「学者」って、なあに?

学者の世間離れ、というのは何も今に始まったことではありません。 一般的なイメージとしても、またある程度具体的な実態を伴った見聞、身の丈の経験値としても、いわゆる「学者」というのは「世間」「浮世」のあれこれからかけ離れた、超然とした存在という風に…

「憲法違反」と留学生問題、他

① 学問の自由の侵害と言われたことについて 1月の3回目の裁判の準備書面において札幌国際大学側は、なんと留学生に日本語能力を問うことが「学問の自由」「大学の自治」に抵触するおそれがある、と主張してきました。学ぶ意志のある者の自由を阻害する、という理…

「外国人留学生ビジネス」利権の背後にある文科省

*1 *2 ● ごぶさたです。大月隆寛です。かつて、「つくる会」2代目事務局長をつとめさせていただいていたこともある、あの大月です。 とは言え、いまやもう四半世紀も前のこと、今の会員には、何のことやら、という感想が大方でしょう。今回、何かのご縁でま…

再度、「懲戒解雇」のその後

*1 ● 「懲戒解雇に処す」 そう言い渡す顔は、気持ちゆるんで、軽くせせら笑っているように見えました。札幌国際大学理事長であり、弁護士でもある上野八郎氏、西暦2020年令和2年は6月29日の午前10時過ぎ、学内法人会議室でのたたずまいであります。 不肖大…

第1回口頭弁論 冒頭意見陳述

*1 裁判を始めていただくにあたって、冒頭、少しだけ自分の今の気持ちを述べさせていただきます。 自分は1989年以来、大学や研究所の教員として生活してきました。2007年以来、縁あってご当地の札幌国際大学に教員として勤めてまいりました。同時にもちろん…

「懲戒解雇」以後――嶋貫和男という「盾」

*1 *2 前号、何やら奥歯にもののはさまったようなもの言いでしか語れなかった「内部的には醜聞、いや、外から見てもまずは格好のスキャンダル、ないしはゴシップ系のネタとしてまずは取り扱われるような案件」ですが、もう勿体つけなくてもいい状況になった…

札幌国際大学、燃ゆ

*1 *2 ● 6月29日付けで、札幌国際大学より「懲戒解雇」されたことについて、7月13日付けで札幌地方裁判所に、地位保全及び賃金仮払い仮処分命令申立書を提出し、受理されました。 大学側からの「懲戒解雇告知書」に記載されていた「懲戒の事由となる事実」は以下…

「懲戒解雇」の顛末――でぶ太郎、野に放たれる

*1 *2 勤めていた大学から、「懲戒解雇」を申し渡されました。北海道は札幌にある札幌国際大学という、今年で創立51年目になる小さな私大です。地元の人たちには、静修短期大学という名前の方が今でも通りがいいかも知れません。 こういう地方の私大のご多分…

「現代文化論」のために

*1 *2 確かに大学へ入ったはずなのに、高校あるいはそれまでの日々と何も区切りのつかない毎日をすごしていると思います。 人間、生きていればいろんなことに遭遇するものですが、あなたたちがいま、10代やそこらで遭遇しているのは、敢えて大げさに言えば「…

大学はどうなる?

恥ずかしながら、これでも大学、それも私立大学で禄を食んでいる身の上、それも首都圏や京阪神などの立地条件も良ければ経営規模も大きい名のある大学ならいざ知らず、いずれ地方の小規模私大、しかも昨今の少子化の荒波の中、毎年の学生集めにも青息吐息で…

大風呂敷の幸せ――梅原猛逝去に寄せて

*1 「教養」系大風呂敷(おそらく)最後の大物 大風呂敷を拡げる人、というのがいます。拡げるだけ拡げて畳むことをしない、いや、そもそもそんな畳むなんてことを考えないから拡げられるというのもあるらしい。 凡庸通俗普通の人たちは小心翼々、そうそう自分の…

変わる外国人留学生、変わらぬ大学事情

少し前、本誌で半ばスクープ的に報じられていたご当地、北海道は苫小牧駒澤大学「売却」をめぐる騒動の件、その後週刊誌や全国紙にも後追い的に報道されるようになり、本誌のジャーナリズム的嗅覚の鋭さが証明される形になっているようで何よりです。 地元紙…