2000-01-01から1年間の記事一覧
■ 日本経済新聞 2000.12.31 評者・富岡幸一郎 沢木耕太郎『血の味』(新潮社) 血の味 (新潮文庫)作者:耕太郎, 沢木新潮社Amazon初版 血の味 沢木耕太郎ノーブランド品Amazon かつて、一世を風靡したブンガク風味「ノンフィクション」のメジャーブランド「沢…
■ 週刊文春 2000.12.17 評者・田口ランディ 金井美恵子『ページをめくる指』(河出書房新社) ページをめくる指作者:金井 美恵子河出書房新社Amazon 皆の衆、よっく聞け。本日ただいま、田口ランディも速攻で金井美恵子の軍門に降った(笑)。 いや、笑いごっ…
■ 週刊朝日 2000.11.10 評者・荒川洋治 ■ 毎日新聞 2000.11.5 評者・川本三郎 『結城真一全集 第一巻』(未知谷) www.kosho.or.jp 結城真一という作家を知る人は、世間じゃ例外だろう。あたしも知らなかった。一九一六年東京生まれ。『蛍草』で芥川賞候補に。…
■ 毎日新聞 2000.12.3 評者・島森路子 松浦理英子『裏バージョン』(筑摩書房) 裏ヴァージョン (P+D BOOKS)作者:松浦 理英子小学館Amazon*1 言わずもがなのことだが、本欄はブンガクに好意的ではない。というか、いまどきブンガクなんてそのままじゃ(苦笑)モ…
■ 週刊朝日 2000.11.3 評者・中沢孝夫 神奈川新聞報道部『匠の新世紀』(日本評論社) 匠の新世紀ものづくり考作者:神奈川新聞報道部日本評論社Amazon ■ 週刊現代 2000.9,30 評者・青山栄 松浦昭次『宮大工千年の知恵』(祥伝社) 宮大工千年の知恵: 語りつぎた…
三島由紀夫VS東大全共闘: 1969-2000作者:三島 由紀夫藤原書店Amazon*1 存分に笑わせていただきました。いや、ほんとに。 表紙の惹句からしてすごい。「伝説の激論会“三島VS.全共闘”(1969)、そして三島の自決(1970)から三十年。『左右対立』の図式を超えて両…
■ 朝日新聞 2000.10.15 評者・赤瀬川原平 仲畑貴志『この骨董が、アナタです』(講談社) この骨董が、アナタです。 (講談社文庫)作者:仲畑貴志講談社Amazon 何度か言ってきたように、内輪ぼめは書評芸の基本であります。ありますが、しかしそこにはおのずと…
■ bk1 2000.1.9 評者・安原 顯 坪内祐三『古くさいぞ私は』(晶文社) 古くさいぞ私は作者:坪内 祐三晶文社Amazon インターネット上の書評は玉石混淆、ひでえのが多いぞ、と以前に文句を垂れた。だが、ネット発書評がらみで最近、イキのいい喧嘩のタネが飛び…
拝啓、『朝日新聞』記者高橋純子様。七月一三日付けの朝刊に載ったあなたの「記者だって気に入られたいけど…」という記事、拝読しました。 「私だって、取材相手に気に入られたい。森首相が言うように『かわいいところがあるじゃないか』と思われたい。だが…
■ 読売新聞 2000.6.11 評者・井田真木子 今野美奈子『OLの創造』(勁草書房) 出だしから「なんだかなぁ」とため息つく書評がある。たとえば、こんなの。 「うふっ、と笑い、深く頷ける珍しい本だ。」 これがなんで「うふっ」なのかっつーと、「明治期の女性が…
*1 *2 ■ 朝日新聞 2000.6.4 評者・斉藤美奈子 金井美恵子『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』(朝日新聞社) 斎藤美奈子といえばフェミ系ながら気風のいいタンカと年増の愛嬌でクロい贔屓も多い書き手。かくいうあたしも結構好きなのだが、…
近年、大学に入るのは本当にやさしくなっている。少子化が進み、事実上無試験で入学できる大学も珍しくない。さらにはAO入試や一芸入試の試験ならざる試験も公然化して「受験地獄」などとうに死語。高校全入どころか、今や大学全入に近い状態になっている…
*1 *2 赤松さんの訃報を耳にして、段ボールに入れてしまってあったまだ元気だった頃の赤松さんから送られたり手渡されたりした手紙やメモ、原稿ともノートともつかない書きつけ……などなど、いずれ手書きの宝物の数々を改めて取り出して眺めている。 『俄』拝…
子どもはどこで犯罪にあっているか?犯罪空間の実情・要因・対策作者:中村 攻晶文社Amazon*1 子どもたちが日常の生活空間のなかのどのような場所で「犯罪」にあっているのかを、都市計画の立場からひとまず律儀に調査・分析してみせた本である。 都市計画屋と…
いまどきの「ブンガク」―瀕死の"純文学"から"やおいノベルズ"まで (別冊宝島 (496))宝島社Amazon*1 「文学」というのはよくわからない。そもそも、何をもって「文学」と言うのか、未だにちゃんと納得のゆく説明をわかるようにしてもらったことがない。なのに…
林真理子は、オンナのためのポルノである。 出世欲、名声欲、物欲、ついでに性欲全て丸出し。どんな人間でも普通は隠しておくはずのうしろ暗い部分を、あっけらかんと世間の前に放り出す。しかも「オンナ」というキャラに用意周到くるませながら、「全てわか…
*1 先日、アメリカの友人が振り出してくれた小切手を換金する必要があって、銀行に行った。都市銀行の一つ、学生時代に口座を開いて以来、もう二十年以上のつきあいになる。 で、びっくりしたのだが、向こうの小切手をこっちの口座に振り込むというだけのこ…
えー、なぜか誰もはっきりとは言わないんですが、おなじもの書き稼業とは言いながら、ルポルタージュとかノンフィクションという分野はブンガクのそのまた下、ほとんど被差別部落みたいなものであります。で、被差別部落であるがゆえに、ブンガク幻想はその…
田中康夫と言えば、東郷隆である。 と言っても何のことやらわからないだろうが、今や歴史小説界隈の新星として評価される東郷隆の初期作品『定吉七番』シリーズの第二作『ロッポンギよりから愛をこめて』に、ほとんど準主役級の扱いでわれらが康夫ちゃんが登…
昨今、古本屋の軒先、ひと山いくらの文庫本の中に、片岡義男の作品は埋もれている。角川文庫だけでも無慮八十タイトル以上。それだけ出しまくったんだから一冊百円にしかならなくて当たり前、なのだが、それでもその中味は決してひと山いくらの代物ではない。…
野坂昭如がお手本だった。何が、って、ほれ、とにかくおのれの書きたいようにものを書いて食ってゆく、そんな夢のような世渡りの、だ。 直木賞受賞作で後にアニメにもなった『火垂るの墓』が彼の作品であることを知らない人も、もはや珍しくない。あれって宮…
中上健次はコワい。中上健次はデカい。中上健次は乱暴者である。中上健次は喧嘩が強い。中上健次は田舎者である、中上健次は………って、もういいか。 とにかく、中上健次というヒトは、今のニッポンのブンガクの世界では稀有な「異人」として認識されている。…
*1 お~い、ほんとにそれでいいのかぁ?!長野県~(号泣)。 いや、唐突で申し訳ないですが、もちろんあの長野県知事選挙の結果のことであります。かの田中康夫センセイが落下傘降下で奇跡の如くご当選なさった、その事実についてであります。 四十年異常に…