1995-02-01から1ヶ月間の記事一覧
東京の地下鉄“サリン”殺傷事件から、オウム真理教強制捜査へ至るまでの展開は、さまざまな方面に衝撃を与えています。“サリン”そのものがこの原稿を書いている段階ではまだ発見されていず、また、上九一色村の教団施設にいたとされる信者のかなりの部分がす…
『無法松の一生』という物語がある。 ある年輩以上の方ならばすぐ思い出していただけるだろう。戦争も末期の昭和十八年、伊丹万作脚本、稲垣浩監督、阪東妻三郎主演で映画化され、国民的な人気を獲得したと言われている。 ただし、もとは小説でそれも百枚ち…
田中康夫が震災被災地でボランティアに奔走しているという。笑止千万である。 かつて湾岸戦争の時、「文学者」という大時代な主体性で戦争反対を“宣言”する記者会見をやり、おおかたの失笑を買った一人だったのを小子は忘れていない。あの時は今は亡き中上健…
*1 東京の地下鉄“サリン”殺傷事件をめぐる報道の様相は、今のところまだ事態の大きさに素朴に驚いているといった印象で、何か確固とした方向づけがされているようには見えません。ただ、管見の限り、一般紙はもとより夕刊紙からスポーツ紙に至るまで、見出し…
カラオケ上手でラップが好きという若い関取の話を、どこかで読んだ。 スチャダラパーの「今夜はブギーバック」が十八番で、それも実にノリがいいのだという。それでも、彼は「お相撲さん」という世間の視線が要求する身振りに忠実に、求められればジョッキで…
*1 アラブ競馬が姿を消してゆく。 昨年、JRA(日本中央競馬会)が番組からアラブの競走を廃止すると発表したのに続き、ついに地方競馬でも東京の大井競馬がアラブの番組をなくしてゆくことを決定したという。全日本アラブ大賞典などの伝統のアラブ重賞も…
『マルコポーロ』廃刊の一件である。 記者会見で文春が社長の田中健五名義でリリースした手紙を読んだ。ひどいものだ。いわゆる差別問題がらみの「糾弾」に対するルーティンの「謝罪」文書とどれだけ違うのだろう。いかに今回の問題がお粗末でも、こういう膝…
テーマは一貫して男色。昨今取りざたされることの多い、かの南方熊楠との間にも、たっぷりと往復書簡が残っている。 男色とひとくくりに言うものの、今はよくわからないものになっていて、ゲイだの何だのといきなりの横文字に突然この世に舞いおりたようにさ…
阪神大震災の報道を見ていて思ったことはいくつかあるが、まず不思議だったのは、どうしてニュースキャスターたちが先を争って現地へ行かねばならないのだろう、ということだった。いきなり「温泉場のようです」と馬鹿な第一声をやった筑紫哲也を初めとして…
戦後五十年、というかけ声があちこちで聞かれる。 この五十年という時間に今さら何か意味があるとすれば、ただひとつ、それが生きた人間の記憶の巡り合せとしてほぼひと区切りである、ということだろう。二十歳の人が七十歳に、三十歳は八十歳に、ということ…
なんか、またいや〜な雰囲気になってきたなぁ。 『マルコポーロ』二月号に掲載された「『ガス室』はソ連の捏造だった」という記事をめぐってのすったもんだは、こりゃ結構長期戦になるかも、という大方の予想を裏切って、あっという間の編集長解任、雑誌廃刊…