マンガ評

『マンガでわかる戦後ニッポン』 (双葉社)

「歴史戦」というもの言いが飛び交い始めています。いわゆる「歴史認識」をめぐる情報戦の現在。けれども、それは何も国と国、対外的な大文字の空中戦というだけでもない。いや、むしろわれらその他おおぜいにとっては国内の情報環境、ふだん接する日本語を母…

三宅乱丈『ぶっせん』

マンガ描いてるんですう、なんて言おうものなら、まずはヘンなシト扱いされるのが世の必定。ましてオンナで二十代後半となると、こりゃもうきっちりアブナい領域。同人誌まわりの泥沼にどっぷりと判断されて致し方なしで、しかもそのトシから描き始めたとな…

 マンガと「伝統」

さて、いまどきのマンガはいったいどうなっておるのか! ……なあんて見栄切ってみたところで、特に何も始まらないんですが、昨今の出版不況はマンガにもよそごとでなくて、小学館、講談社、集英社と少なくともマンガでその屋台骨を支えている版元のどこもが、…

ニッポンマンガとナショナリズム――『クニミツの政』『突撃!第二少年工科学校』

*1 マンガってのはすでにエイジカルチュア、つまりある世代にとっては重要なメディアだけれどもそれ以外にはどうも……てな代物になりつつある、というのがここのところのあたしの持論。いや、だからマンガはダメだ、って言ってるわけじゃなくて、メディアのラ…

マンガとナショナリズム――『クニミツの政』『突撃!第二少年工科学校』

マンガってのはすでにエイジカルチュア、つまりある世代にとっては重要なメディアだけれどもそれ以外にはどうも……てな代物になりつつある、というのがここのところのあたしの持論。いや、だからマンガはダメだ、って言ってるわけじゃなくて、メディアのライ…

ヤンキーマンガの〈いま・ここ〉――古沢優『東京板橋マル走自動車教習所』

今、日本全国のコンビニエンスストアで売られる雑誌や文庫本、マンガ本など、いずれ「本」の形をした商品の売り上げ全部をひっくるめた額は、全国の紀伊国屋書店全ての売り上げ額にほぼ相当するという。つまり、いわゆる書店としては大手の紀伊国屋全店の売…

つの丸『みどりのマキバオー』の断然

*1 えー、まいど、民俗学者の大月です。 このたび新しくこの『ビッグゴールド』のお座敷にお呼びがかかりました。一部では「日本一性格の悪い学者」「学者の皮をかぶったゴロツキ」、あるいは「本多勝一から中島みゆきまで、あとさき考えず噛みつく狂犬ライ…

マンガ評・唐沢なをき『電脳なをさん』(アスペクト)

唐沢なをきの新刊『電脳なをさん』(アスペクト 一六〇〇円)がいい。 もとはコンピュータ雑誌『EYE−COM』(アスキー)に連載されていた作品だが、担当編集者による巻末の解説(よくまとまっている)に「20年前の四月馬鹿に、高校の同級生ふたりが作…

岡崎京子の「受難」

「そう言えば、岡崎京子どうしちゃったんだろうね」 今どきの東京の女子高生にしてはおとなしめな制服の着こなしをしたふたりが、とある書店のマンガ売場でこんな会話を交わしていた。 九州などではどんな状況なのか知らないけれども、東京の主な大型書店で…

マンガ評・小林まこと『1・2の三四郎 2』(講談社)

歳をとる、というのは難しい。単なる年齢を加えるというだけならば、それは誰もが経験する、生き物なら逃れられぬ過程だ。しかし、うまく歳をとってゆくことは、現実はもとよりたとえ虚構の中でさえも、本当に難しい。 だが、小林まこと『1・2の三四郎2』…