1995-01-01から1ヶ月間の記事一覧
*1 ある駄犬の話をする。 千葉の小林というところに牧場がある。印旛沼のさらに奥、利根川との間に広がる小高い北総台地の一部、成田線の駅が近いと言えば近いけれども、つまりは陸の孤島状態、夏は都内などよりいくらかしのぎやすいが、その分冬には霜がび…
いろいろと物議も醸した『全共闘白書』(新潮社)の、そのもとになったアンケートの全てをまとめたものが出た。『全共闘白書・資料編』と銘打ってあるが、版元は今度は新潮社でなく、「プロジェクト猪」名義での自費出版という形になっている。母数五千人弱…
*1 書いたものを読んでいるだけで、どことなく読み手の気持ちを萎縮させる、そんなタチの書き手がいる。 ものが面白くないのではない。むしろ逆だ。面白い、興奮する、読んでゆくうち中身にぐいぐいと引き込まれもする。だが、どこかでそれらの文字をつむぎ…
同年代の、というと、具体的には三十代後半から、下はせいぜい二十代半ばあたりまでになるのだが、およそそのような年格好のもの書きや編集者たちと顔を合わせる機会があると、どうしてこれまで「文学」というのはあそこまで特権的な存在でいられたのか、と…
あだ名は「ライオン」。といっても、別にアル・パチーノじゃない。*1 いや、あの『スケアクロウ』のアル・パチーノも、むくつけきメリケン男の地金に塀の中でしんにゅうがかかったジーン・ハックマンを相棒にした珍道中。ライオネルなんて女みてえな名前だ、…
仕事がらみで、妊娠・出産関係の本や雑誌を読むことが少なくない。少なくないと感じるほど、たくさん出ているということだろう。 それらは、個々の持ち味によってというよりも、どうやら子供を産むという体験についての報告本、予習本、マニュアル本として読…
*1 思い込みのはげしい人、というのがいる。 それも自分ひとりでクラく閉じながら思い込むのでなく、他人との関係の中で明るく開きながらまっすぐ思い込んでゆく。何と言えばいいのか、そんな“全方位全天候型万能社交人”とでも言うしかないようなタチの人間…