2002-01-01から1ヶ月間の記事一覧

野坂昭如のこと

*1 作家野坂昭如の本領はやはり短編から中編、前シリーズの「野坂昭如コレクション」の解題を担当させていただいた時にも、企画段階からそのことは強調していた。 「テンポとリズムがねえ、やっぱり身体にねじこまれるっていうか、特に西日本、関西弁の文化…

高橋がなり 聞き書き

経済活動は利潤追求が第一義なのは紛れもない事実。 でも、ちょっと待ってほしいのだ。ただ目先の利益を 追求して金儲けさえできれば、それでいいの……!? 破天荒な企画と低価格販売でアダルトビデオ業界の常識を覆した男と 民衆文化を幅広く、独自のリアルな…

三人の具眼の士

*1 「さて、君もこれからどしどし論文を書かなきゃいけないんだけれども……」 廊下の端っこの小さな研究室、講義のある日は真っ昼間からさしむかいの酒盛りが、いつしかお約束になっていました。 「学者の世界というのはほんとに狭い。自分の書いたものがどこ…

「地方」の暮らしの手ざわりとは?

この連載が始まった頃から、どだいこの大月っては何をしているやつなのか、という疑問が、特に最近わが『MEETS』を手に取るようになった若い衆から寄せられるようになったようです。 以前、及ばずながら大学で教えていたことは前号でも触れましたが、今…

地方で暮らすこと、の〈リアル〉

この連載が始まった頃から、どだいこの大月っては何をしているやつなのか、という疑問が、特に最近わが『MEETS』を手に取るようになった若い衆から寄せられるようになったようです。*1 以前、及ばずながら大学で教えていたことは前号でも触れましたが、…

不況なんてこわくない

不況だ不況だあ〜、と、新聞やらテレビやらが連日叫んでおります。小泉首相の構造改革なんぞ嘘っぱちだあ、騙されるなあ〜、と、例によって世間の風向きに棹さすのが商売のあまた評論家、文化人その他が言い始め、ほれ、失業率がまたこれだけ上がったぞ、新…

書評・沖浦和光『幻の漂泊民・サンカ』

「サンカ」と聞いてピンとくる人は、ある意味要注意。さらに「漂泊」「異人」「異界」「周縁」「闇」なんてもの言いにもうっかり眼輝かせちまうようならなおのこと。そういう性癖を持っている向きにいきなり冷水をぶっかけるような本、なのだ、ほんとは。 山…

『新潮45』のトホホ

*1 安野モヨコ『美人画報ハイパー』、テリー・ケイ『白い犬とワルツを』、ジャックウェルチ『わが経営』、以上三冊並べて四ページ、それぞれ半署名の書き手による書評欄ときたら、さて、どこの雑誌でしょ。 正解は、なんと『新潮45』であります。活字文化…

クリスマスのかたち

年越したハナシで申し訳ない。あの、クリスマスの前に何だか知らないけど、おのれの家のまわりをやたらめったら飾りたてるのって、これまで以上にはびこってません? 関西方面がどうなってるのか、いまひとつわからないんで首都圏ローカルな現象だったらすま…

活字の「文化」の終焉

*1 「いやあ、何とか今月は大丈夫だったなあ、って感じですよ。いつつぶれても不思議ないです。本? いやもう、自分のところの新規企画なんか出せる状態じゃないですよ」 名前を言えば誰でも知っている、まずは老舗の出版社の編集者の言。数十年続く雑誌の大…