雑感

「国際情勢」を語る話法、その静かな変貌

一時期、やたら取り沙汰され、とにかく理屈抜きにいいもの、正しい方向として喧伝されてきていた、あの「国際化」とか「グローバル化」といったもの言い、スローガンも、さすがにもう胡散臭いものというイメージがつきまとうようになってきたかも知れません。…

「詩」とは、あたりまえに「うた」であった

● 前回、「美術」「芸術」に対して、ずっと抱いていた敷居の高さのようなものについて、少し触れました。せっかくなので、そのへんからもう少し、身近な問いをほどきながら続けてみます。 あらためて思い返してみれば、同じような敷居の高さ、距離感といったも…

池田大作 (本当に)死す

池田大作氏が、本当に亡くなったようです。 自分などはやはり、かつて「折伏」を介してさまざまに物議を醸しながら精力的に布教活動をしていた頃の創価学会の印象が、当時のさまざまな事件や挿話などと共に、未だに強くあります。その後、公明党を介して政界に…

「音楽」の転生・転変、その現在―「NOT OK」からの不思議

● 同時代のうた、眼前の〈いま・ここ〉に流れている最新の、いや、そうでなくても、ある程度いま、商業音楽として市場に流通しているいまどき流行りの楽曲に、おのれの耳もココロも反応しにくくなってしまうことは、加齢の必然と半ばあきらめてしまっていま…

「生きもの」を扱う仕事、のこと

● 「生きもの」を扱う仕事というのが、世の中にはあります。というか、あたりまえにありました、少し前まで、ある時期までは。 「生きもの」というと、身近なところだと犬や猫、昨今は兎やハムスターなども含めた、いわゆるペットとくくられる小さな動物を、人…

「上げ馬神事」の事故について・雑感

*1● 馬を2mほどの高さの、ほとんど「壁」に等しいところ駆け上がらせる。というよりも、人間たちがまわりで寄ってたかって囃し立て、無理にでも押し上げるのが見せ場になっているという神事が、警察に告発されたという件について、言っておかねばならないこと…

「視聴覚文化論」、その未発の可能性

● 視覚と聴覚、という話から、もう少し続けてみます。情報環境の遷移とその裡に宿っていった生身の意識や感覚について、情報化社会と視聴覚文化、といった補助線から、例によっての千鳥足でゆるゆると。 情報化社会を語ることは、映像情報の大量化を語ること…

大学という場所の現在

*1 ● 大学への信頼が、地に堕ちています。 大学だけではない、そこで行われている講義や演習、いずれ高等教育として行われているはずの「教育」の内実から、まず胡散臭げな眼で見られるようになっている。と同時に、大学という場のもう一方の重要な使命とされ…

「視覚の優越」と「耳の快楽」

● とある体育系の某教員談。授業で身体動かすBGMに嵐のオルゴール曲を流してたら、学生が「センセ、嵐の声聞きた~い」と言ってきた由。 歌詞を、ではなく、だから「ことば」ではない。あくまでも「声」、音響としての音声を聴かせて欲しい、という意味らし…

記録する情熱と「おはなし」の関係

● わだかまっていた厄介事に、とりあえずの決着がつきました。 とは言えその間、2年9ヶ月という時間が、それもおのれの還暦60代という人生終盤、予期せぬめぐりあわせの裡に過ぎ去っていました。 大学という日々の勤めの場が、たとえ北辺のやくたいもない…

地裁判決に際して (記者会見リリース)

*1 2020年6月29日付けで、札幌国際大学より「懲戒解雇」を申し渡されました件、また、それに対し同年7月13日付けで、札幌地方裁判所に対して地位保全及び賃金仮払いの仮処分命令の申し立てをした件に続き8月28日付けで札幌地方裁判所に民事提訴した件、「懲戒…

「団塊の世代」と「全共闘」㉒ ――オトコとオンナ、自慰の暗闇、処女性の霹靂

◎男と女、自慰の暗闇 処女性の霹靂 ――「婚前交渉」と同じように、当時はオナニーも問題になったでしょ。自慰、マスターベーション、ですが。 もちろん、問題になった。私の世代では、小・中学校の頃、オナニーは変態扱いだったね。 ――うわ……いきなり「変態」…

「統一協会」という名詞

ああ、「暗殺」というのが、いまや実にこういう形で、平手打ちのように不意に眼前のものになるんだ――それがまず、最初の感想でした。奈良は西大寺駅頭における、安倍元首相遭難の一件です。 手製の銃、それもひとりでこさえたものを携えて、参院選終盤のこと、…

「古本」の記憶

● 古本とのつきあいは、それなりにある。致し方ない、それだけ無駄に長い間生きてきちまった、ということだろう、今となっては。とは言え、偉そうに言えるほどのことは何もない。 初めて古本を買ったのは――ということは古本屋に自覚的に出入りしたということ…

五輪の「教訓」

*1 sports.nhk.or.jp sports.nhk.or.jp おい、マリオやドラえもんどころか、ポケモンもニンジャもアキラのバイクも出てこんかったじゃないか!――終わったばかりのオリンピックのまずは私的な印象です。 個々の競技や選手の手柄は全部措いておきます。開催す…

「読者の集い」にお招きを

*1 『宗教問題』読者の集い、という催しにお招きを受け、出席しました。 昨年暮れ、押し詰まった東京は池袋。コロナ禍はすでに日常化していたものの、例のGO-TO政策もあってご当地北海道から東京へ行くのは、飛行機代と宿泊費コミで申し訳ないくらいの値段に…

札幌国際大学、燃ゆ

*1 *2 ● 6月29日付けで、札幌国際大学より「懲戒解雇」されたことについて、7月13日付けで札幌地方裁判所に、地位保全及び賃金仮払い仮処分命令申立書を提出し、受理されました。 大学側からの「懲戒解雇告知書」に記載されていた「懲戒の事由となる事実」は以下…

「そういうもの」という領分

実は昨年来、職場でちょっと大きなトラブルが生じていて、その対応にあれこれ奔走していたのですが、今年に入ってから3月の年度末にかけてその案件がいよいよ煮詰まってきて、内部ではどうにも始末がつけられなくなり、外部の関係諸方面に訴えて事態の打開…

生きものの「死」の現在

先日、猫が一匹、亡くなりました。新千歳空港の駐車場で推定生後2ヶ月くらいで拾って以来18年、概ね老化と老衰の結果で、まずは大往生と言っていい逝き方でした。先に昨年9月、これは名寄の保健所でわけありの飼育放棄で保護されていたのを縁あって引き…

からあげクン、と、天皇

元号が変わりました。Webを介した世間では、「退位」か「譲位」かで物議を醸したり、はたまた「上皇」をどう呼べばいいのか、「陛下」になるのかそれとも「上皇さま」でいいのか、などなどあれこれ些末な悶着が例によってメディアの舞台を反響板としながら流れてゆき…

「団塊」的知性論

*1 団塊の世代の、特にプチインテリ層 (関川夏央ならば「知的大衆」と呼ぶかも知れません) 特有の世界観や価値観、というのは、そろそろまともに、言葉本来の意味での「歴史」的な文脈での考察対象にしておいた方がいいと思われます。 単なる「サヨク」だの「…

「科学」と忠誠心、あるいは信心

「論文」という形式がある。いや、あるのはそんなもの知ってるしそれがどうした、なんだが、近年どうにも納得いかないのはその形式に対する忠誠心みたいなものをなんでそこまで要求されにゃならんのだろう、ということだったりする。まあ、一般的に言えば、…

「読む」の射程距離

自宅はもとより仕事場その他の古本雑本の類の片づけ、をせにゃならんならんと思いながら、まるで作業が進まぬままいつもそのことを意識しないようにしないようにしてる、そのことがまたストレスの元になってたりするから、ああ、ほんとに何やってんだか、と…

「年上」ということ――川村邦光さん「退官」に寄せて

● 川村邦光さんは、年上である。年上の、と口にして、さてそのあと何と呼べばいいのだろうとなると、そこでちと立ち止まってしまう。 学者教員研究者、いずれそんな通り一遍のラベルを貼ってすませるのをはばからせる何ものか、があるらしい。友人というほど…

デザインという記憶装置の不思議――「牧場」「草原」を刷り込まれたホッカイドウ

●「北海道」がつまった空港のフロア 昨年の夏、新千歳空港がリニューアル。国際線とのコンコースが完成して、それに伴いいろいろ新しいショップなども並ぶようになりました。いまどきのこととて、小ぎれいなディスプレイにさまざまな商品がうまく並べられて…

Twitterのこと

勤め先の公式?サイトから分離独立することになったのを機に、思い切ってこのブログと連動させてみました。 http://twitter.com/kingbiscuitSIU さて、どうなることやら…… とは言え、ただつぶやくだけ、というのがどうも苦手らしくて、しかもその合間にいろ…

ルドルフにサッカーボーイも……

みんなご高齢ではありますが、ニッポン競馬がいちばん熱かった時代の馬たちが少しずつ世を去ってゆく時代、なんだなあ、と。 以下、webからの拾いもの、ですが。 G1勝ち馬 現在の最高年齢(生存馬対象) フェブラリーS:シンコウウィンディ(97) 1993年生まれ(1…

最後のアラブ現役馬たち

春先あたりまでは、まだもう少しいたと思うんですが…… ここにきて退厩したのが増えたようです(ノД`)・゜・。 ■荒尾4頭 イマリオーエンス 牡12歳 ヒットオーエンス×マルカンピーチ 31勝 ファイナルレディー 牝9歳 ニホンカイユーノス×ゴウドウトップラン 13…

「開拓」前後

乗ってきたのは木の船だった。 荒削りな樫の板でつくられていた。 塗装も何もしてなかった。 小さくはなかったが、大きくもなかった。 エンジンはついていたが、いつもぜんそく持ちみたいにあえいでいた。 燃料がなくなった時のために、帆柱がついていた。 …

「学者」世間の疎ましさ・雑感&メモ

「学者」の世間の、いったい何がそこまで疎ましかったのか。 「学会」「学界」の揺籃におさまりながら、指導教員や先輩たちの視線に対してまっすぐに身構えつつ、しかし生身の自分の内側には確実にアンビシャスでもの欲しげな「功名心」の気配を満々とたたえ…