雑感
● 本というやつ、残念ながらやはり、時代のうしろへと繰り込まれてゆきつつあるようです。 書物といい、書籍と呼び、いずれそれら漢語の画数の多い語彙にするとなおのこと、何やら重々しさも感じる字ヅラにもなるわけですが、日常的にはまず「本」、これ一発。…
歳をとって大人になるにつれて、自分以外の人間がふだんどういう暮らし方をして、どうすごしているのか、日常生活での立ち居振る舞いについて具体的に目の当たりに確かめる機会がなくなってくるものらしい。いまさら何を、でしょうが、実質無職隠居の日々に…
● 使うべき言葉やもの言い、道具としてのそれらをひとつひとつ丁寧に意味と紐付けて「定義」してゆき、その上であたかも煉瓦やブロック、機械の部品を手順に沿って組み立ててゆく、そんな言葉の作法、少なくとも書き言葉において文章としてつむいでゆくことが…
*1 この3月末日をもって、札幌国際大学を定年退職することになりました。ここ数年、裁判沙汰であれこれお騒がせもしましたが、まあ、これでひとまずの区切りということになります。*2 まず、真っ先に考えてやらねばならなかったのが、この間、大学に「拉致」…
一時期、やたら取り沙汰され、とにかく理屈抜きにいいもの、正しい方向として喧伝されてきていた、あの「国際化」とか「グローバル化」といったもの言い、スローガンも、さすがにもう胡散臭いものというイメージがつきまとうようになってきたかも知れません。…
● 前回、「美術」「芸術」に対して、ずっと抱いていた敷居の高さのようなものについて、少し触れました。せっかくなので、そのへんからもう少し、身近な問いをほどきながら続けてみます。 あらためて思い返してみれば、同じような敷居の高さ、距離感といったも…
池田大作氏が、本当に亡くなったようです。 自分などはやはり、かつて「折伏」を介してさまざまに物議を醸しながら精力的に布教活動をしていた頃の創価学会の印象が、当時のさまざまな事件や挿話などと共に、未だに強くあります。その後、公明党を介して政界に…
● 同時代のうた、眼前の〈いま・ここ〉に流れている最新の、いや、そうでなくても、ある程度いま、商業音楽として市場に流通しているいまどき流行りの楽曲に、おのれの耳もココロも反応しにくくなってしまうことは、加齢の必然と半ばあきらめてしまっていま…
● 「生きもの」を扱う仕事というのが、世の中にはあります。というか、あたりまえにありました、少し前まで、ある時期までは。 「生きもの」というと、身近なところだと犬や猫、昨今は兎やハムスターなども含めた、いわゆるペットとくくられる小さな動物を、人…
*1● 馬を2mほどの高さの、ほとんど「壁」に等しいところ駆け上がらせる。というよりも、人間たちがまわりで寄ってたかって囃し立て、無理にでも押し上げるのが見せ場になっているという神事が、警察に告発されたという件について、言っておかねばならないこと…
● 視覚と聴覚、という話から、もう少し続けてみます。情報環境の遷移とその裡に宿っていった生身の意識や感覚について、情報化社会と視聴覚文化、といった補助線から、例によっての千鳥足でゆるゆると。 情報化社会を語ることは、映像情報の大量化を語ること…
*1 *2 ● 大学への信頼が、地に堕ちています。 大学だけではない、そこで行われている講義や演習、いずれ高等教育として行われているはずの「教育」の内実から、まず胡散臭げな眼で見られるようになっている。と同時に、大学という場のもう一方の重要な使命とさ…
● とある体育系の某教員談。授業で身体動かすBGMに嵐のオルゴール曲を流してたら、学生が「センセ、嵐の声聞きた~い」と言ってきた由。 歌詞を、ではなく、だから「ことば」ではない。あくまでも「声」、音響としての音声を聴かせて欲しい、という意味らし…
● わだかまっていた厄介事に、とりあえずの決着がつきました。 とは言えその間、2年9ヶ月という時間が、それもおのれの還暦60代という人生終盤、予期せぬめぐりあわせの裡に過ぎ去っていました。 大学という日々の勤めの場が、たとえ北辺のやくたいもない…
*1 2020年6月29日付けで、札幌国際大学より「懲戒解雇」を申し渡されました件、また、それに対し同年7月13日付けで、札幌地方裁判所に対して地位保全及び賃金仮払いの仮処分命令の申し立てをした件に続き8月28日付けで札幌地方裁判所に民事提訴した件、「懲戒…
*1 「「Colaboは性暴力被害者への支援活動などほとんど行っていない」という基本的な事実関係について書きました。ほぼ全てのメディアがColaboのことを「性暴力被害者の支援団体」と報じてますが、あれは誤報です。はっきり断言できます。 当たり前の話なん…
◎男と女、自慰の暗闇 処女性の霹靂 ――「婚前交渉」と同じように、当時はオナニーも問題になったでしょ。自慰、マスターベーション、ですが。 もちろん、問題になった。私の世代では、小・中学校の頃、オナニーは変態扱いだったね。 ――うわ……いきなり「変態」…
ああ、「暗殺」というのが、いまや実にこういう形で、平手打ちのように不意に眼前のものになるんだ――それがまず、最初の感想でした。奈良は西大寺駅頭における、安倍元首相遭難の一件です。 手製の銃、それもひとりでこさえたものを携えて、参院選終盤のこと、…
● 古本とのつきあいは、それなりにある。致し方ない、それだけ無駄に長い間生きてきちまった、ということだろう、今となっては。とは言え、偉そうに言えるほどのことは何もない。 初めて古本を買ったのは――ということは古本屋に自覚的に出入りしたということ…
*1 sports.nhk.or.jp sports.nhk.or.jp おい、マリオやドラえもんどころか、ポケモンもニンジャもアキラのバイクも出てこんかったじゃないか!――終わったばかりのオリンピックのまずは私的な印象です。 個々の競技や選手の手柄は全部措いておきます。開催す…
*1 『宗教問題』読者の集い、という催しにお招きを受け、出席しました。 昨年暮れ、押し詰まった東京は池袋。コロナ禍はすでに日常化していたものの、例のGO-TO政策もあってご当地北海道から東京へ行くのは、飛行機代と宿泊費コミで申し訳ないくらいの値段に…
*1 *2 ● 6月29日付けで、札幌国際大学より「懲戒解雇」されたことについて、7月13日付けで札幌地方裁判所に、地位保全及び賃金仮払い仮処分命令申立書を提出し、受理されました。 大学側からの「懲戒解雇告知書」に記載されていた「懲戒の事由となる事実」は以下…
実は昨年来、職場でちょっと大きなトラブルが生じていて、その対応にあれこれ奔走していたのですが、今年に入ってから3月の年度末にかけてその案件がいよいよ煮詰まってきて、内部ではどうにも始末がつけられなくなり、外部の関係諸方面に訴えて事態の打開…
先日、猫が一匹、亡くなりました。新千歳空港の駐車場で推定生後2ヶ月くらいで拾って以来18年、概ね老化と老衰の結果で、まずは大往生と言っていい逝き方でした。先に昨年9月、これは名寄の保健所でわけありの飼育放棄で保護されていたのを縁あって引き…
元号が変わりました。Webを介した世間では、「退位」か「譲位」かで物議を醸したり、はたまた「上皇」をどう呼べばいいのか、「陛下」になるのかそれとも「上皇さま」でいいのか、などなどあれこれ些末な悶着が例によってメディアの舞台を反響板としながら流れてゆき…
*1 団塊の世代の、特にプチインテリ層 (関川夏央ならば「知的大衆」と呼ぶかも知れません) 特有の世界観や価値観、というのは、そろそろまともに、言葉本来の意味での「歴史」的な文脈での考察対象にしておいた方がいいと思われます。 単なる「サヨク」だの「…
「論文」という形式がある。いや、あるのはそんなもの知ってるしそれがどうした、なんだが、近年どうにも納得いかないのはその形式に対する忠誠心みたいなものをなんでそこまで要求されにゃならんのだろう、ということだったりする。まあ、一般的に言えば、…
自宅はもとより仕事場その他の古本雑本の類の片づけ、をせにゃならんならんと思いながら、まるで作業が進まぬままいつもそのことを意識しないようにしないようにしてる、そのことがまたストレスの元になってたりするから、ああ、ほんとに何やってんだか、と…
● 川村邦光さんは、年上である。年上の、と口にして、さてそのあと何と呼べばいいのだろうとなると、そこでちと立ち止まってしまう。 学者教員研究者、いずれそんな通り一遍のラベルを貼ってすませるのをはばからせる何ものか、があるらしい。友人というほど…
●「北海道」がつまった空港のフロア 昨年の夏、新千歳空港がリニューアル。国際線とのコンコースが完成して、それに伴いいろいろ新しいショップなども並ぶようになりました。いまどきのこととて、小ぎれいなディスプレイにさまざまな商品がうまく並べられて…