1992-04-01から1ヶ月間の記事一覧

学校という依代

*1 今からちょうど百年ばかり前、この国の、とある小さな町の中学校の教員の書き残した日記に、次のようなエピソードが記されている。 彼の受け持ちのクラスに横木という少年がいた。大工のせがれで、両親には彼を中学へあげるだけの余裕がなかったが、小学…

そういう人、のこと――ある「良心的」雑誌の仕打ち

*1 もう数年前のことになる。ある雑誌に、“こわい話”というテーマで何か書いて欲しい、と言われた。 大きな出版社の雑誌ではない。時代が時代だった頃にはそれなりに輝かしい時期もあったらしく、ある世代以上の、本を切実なものとして読む程度の人たちには…

拝啓、井上緑様――東大「中沢新一騒動」と、ある女子高校生のこと

*1 *2 *3拝啓、井上緑様。 あなたは今、どこで、どのように、この一九九二年の春を迎えているのでしょうか。 今からちょうど四年前、一九八八年四月一三日付『朝日新聞』の投書欄に、「栃木県在住」の「公立女子高校生」だったあなたの手紙が載りました。ご…

で、あんたの「立場」って、なんなの?

*1 *2 三年前の参院選、アントニオ猪木が出馬した時、戦後選挙史上最高の無効票が出た、という話がある。 フォークロアかも知れない。だが、だとしても、今のこの国の置かれている状況についての、ある切実さを感じさせる話として、僕は忘れられない。 猪木…