1997-05-20から1日間の記事一覧

掏摸・巾着切りの近代――本田一郎『仕立屋銀次』(中公文庫)

「明治時代」とひとくくりに言います。文明開化の、陸蒸気の、鹿鳴館の「明治」。富国強兵の、自由民権運動の、征韓論の「明治」。けれども、その同じ「明治」という時代の中に、いつの時代もそうであるようにゆっくりと経過していったふだんの暮らしに即し…