セコハン、受難

かつてはセコハン、と言った。セカンドハンドの転訛だろう。ちゅうぶる、と蔑みもした。その頃は着物が主だったが、それら古着を扱う商売はケイズ買いと呼ばれた。偽系図をこさえて売りさばく商売が横行した、おそらくは幕末以来の呼び方。今やリサイクルショップと名を変え、家電製品がセコハンの中心。時代がついて古びればビンテージなどと別の能書きもつく。

PSE法、導入前にもうグダグダである。何年も前に決まっていながら周知徹底をさぼり、しかも中古市場を想定してなかったなど、役人仕事の典型。このままごまかせると思っていたらしいが、中古市場の商売人たちが黙っていなかった。「使っても譲ってもいいものを、売るのだけいけないってのは納得いかない」というタンカは全く明快。今回の茶番の要約、このひとことに尽きる。

どだい、「もったいない」が国際的に認められたとはしゃいでいたのはどこのどいつだったか。ちゃちなシールひとつでお上が市場を統制できるとの思い上がりは、あっという間に偽造シールの氾濫を招くだろう。このへん今が旬、民主党幹部の浮き世離れと大差ない。例によって天下り先確保の利権屋ぶりももれなくついて、さすがダボハゼ経産省の面目躍如である。

 見境なしの反権力もまたファッションと心得るミュージシャン界隈もにわかに声をあげてみせていたが、あれはむしろ余興で、まあ、かつての反核気分の同工異曲。その手のノリが根っからお好きな世界のサカモト教授はともかく、久しく見なかったいとうせいこうの時代錯誤なツラまで拝めたのには、いや、大笑いさせてもらいました。