うまやもん――変わりゆくニッポン競馬の現場
競馬に生きる。競馬で、生きる。
ハルウララ、コスモバルク、アンカツ、アラブ廃止に国際化、中央と地方……
中津、益田、新潟、上山……つぎつぎと姿を消してゆくちいさな競馬場たち。
いま、このニッポンで、競馬に生きる、ということの真実。
ほんとうの、競馬。ちいさな、競馬。
- たとえ賞金20万円くらいの小さな競馬でも、月に何日か開催があり、それで勝ったら勝ったで飲みに行き、負けたら負けたでまた街に繰り出す、そのことの華やぎというのはかけがえのないものだった。定期的にやってくるそんなささやかなお祭りの愉しみというやつがもうなくなってしまった。ふだん、競馬なんかにそれほど関心のなかった普通の人たちでも、いざ競馬がなくなり、競馬場がつぶされるということに直面すると、その存在感を改めて身にしみる。なくなって初めてわかるありがたみ。だから、どんな小さな競馬場でもうっかりとつぶしてしまってはいけない。なくなった競馬は二度と戻ってこない。