前略、丸川珠代サマ

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 前略、丸川珠代サマ、あれだけの逆風をものともせず見事に当選、おめでとうございます。世の中ってやっぱりほら、ちょろいもん、でしたねえ。うふふのふ。

 これまで投票にすら行ってなかったことがバレてバッシング食らった時に、街頭演説で応援に来ていた片山さつきサマに抱きついて号泣した図、あれには心底感服つかまつりました。思わず兄貴分にすがってしまった若い衆、それこそかつてのヤクザ映画なんかじゃ定番の見せ場なわけで。あなたも片山サンもそういう意味じゃまさに同類、兄弟仁義のペンキ絵でした。

 とりあえず良家の子女に生まれ、ガッコのおベンキョだけはしつけられ、オンナとして見てくれも人並み以上、という、人としてまっとうになるにはそんな二重三重の不自由を背負いながら、おのれを静かに省みることもないまま東大からマスコミや官僚、そして議員サマと経歴サーフィンだけを要領よくやってのけるようないまどきの三十代女性ってやつの内面が、さて、どれくらいほったらかされたままだったのか、ってことを、どんな能書き並べるよりも雄弁に写真一発でわが同胞の眼前に切り取って見せた、のでありますからして。

 棚にあがって高みから能書き垂れてみせるその剛胆さなど、なんのことない、あなたがたアタマの良い女性が忌み嫌ってみせるのがお約束な、あのニッポンのオヤジそのまま。もしもあなたがわれとわが身を虚心坦懐、鏡に映してみれば、あ〜ら不思議、そんなオヤジの内面がそこにまざまざと映し出されているはず……なのですが、でも、いまや議員サマのあなたのこと、選挙後、さらに一段と焦点のあわなくなったかに見えたその瞳にはそんな些細なこと、すでにどうでもいいこと、なのでありましょう。

*1:三月末で一斉に書き手が交替、お役ご免になってた「断」ですが、ここにきてまたぞろ、書いて欲しい、と担当のK氏から泣きの入り気味な連絡。案の定、あまりに後釜の執筆陣がひどくて見るに見かねて……ということらしい。ちなみに呉智英夫子に潮匡人も一緒に戦線復帰、だそうです(^^ゞ