差別語復権運動を!

 いつの間にか、醤油が「正油」、膾(なます)が「生酢」、になっています。最近のスーパーのラベルに印刷された漢字表記。以前は単なる誤記と見過ごしてましたが、最近は堂々と主流派で、どうかすると食堂の手書きのメニューなどまでそうなってたり。

 昨今のこと、キーボード入力の変換による誤表記が、それを間違いと思う人が少なくなって定着したのでしょう。まあ、善意に解釈すれば、わからないなりにとにかく漢字にしとかなきゃ恥ずかしい、てな健気さの現れともとれるのですが、でも、「正油」「生酢」ならば、素直にひらがなで「しょうゆ」「なます」の方がよほどすっきりするような。

 このへん、いまどきの大学生が典型的で、読ませると案外読めるんですが、見事なまでに書けない、その落差はいまや相当深刻です。仮に書けても、漢字を単に「形」としてだけ見ているから細部は欠落、文字としても妙なシロモノに。かくて、日本語の文章自体への違和感と、「でも、これじゃまずい」という気分は、若い世代に共に静かに広まっています。

 あ、ついでに言えば、いわゆる差別語ってやつは、もうほぼ絶滅。「おし」「つんぼ」は言うに及ばず、「めくら」すらもう知らないのが普通。まして「いざり」などはすでに古語扱い。長年、学校とメディアぐるみでやらかしてきた「教育」の成果は、実にこういう形で眼前に。というわけで、ひとまず差別語復権運動から始めようかなあ、と思ったりする昨今です。