「コギャル」の嘘


 「コギャル二人、ホストクラブ借金返済のため売春300回」というニュースがあった。場所は大阪のミナミ。いかにも「ああ、いまどきの十代の話ね」という印象を喚起するニュースではある。

 下品な計算で申し訳ないが、2人で300回で600万円というと単純計算で1回2万円の一人あたり150回。もっとも一人は主にテレクラで男を誘い出す役回りで、もう一人の方が回数はずっと多いらしい。売春を始めたのは去年の一二月ごろだというから、ほぼ毎日、どちらかがこういう“仕事”をしていた勘定になる。

 でも、これは一度本気で尋ねてみたかったのだが、そんなテレビや雑誌で言われているようにそこら中の十代の女の子がみんな当たり前にテレクラで遊び、売春をバンバンやっている、ってのはどこまで本当なんでしょうかね。

 そういうおめでたいこと言ってるから自分の娘が何やっててもわからないんだ、というお叱りの声がその方面の専門家と称する方々から飛んできそうだが、でも、こりゃ素朴な疑問として言わせてもらう。こういう商売がそこまで当たり前のものになっちまってるというのは、どうしても信じがたいのだ。

 いや、そりゃいまどきの若い世代が男女を問わず性的に奔放になっちまってるのは確かにわかる。昔よりはそういう商売に踏み込む手合いも多いだろう。女子高校生の三分の一がテレクラ経験済みという“データ”をふりかざす専門家さえいる。しかし、だ。今やPHSなんざ欲しけりゃタダでくれてやるというハチャメチャなご時世。友達同士で面白半分にかけるくらいはするだろう。でも、だからってみんながみんなそこから先、カネ欲しさに客とったりする(「援助交際」っつーんですか?)のかというと、そんなことあるかよ、と僕は思う。それってやっぱり全体からすりゃまだ例外なんじゃないの? 百歩譲ってそういう現実が今やそこここにあるのだとしよう。だとしても、古典的な話だけれど、そりゃそういう商売を成り立たせる客がいるからのこと。ならば「いまどきの若い子は」と嘆くばかりでなく「まともな大人はそんなもの買うな」という立場できちんとものを言うのがメディアの責任ってもんじゃないですかい。実際、道行く女子高生に「いくら?」って声をかけるバカオヤジって、今や平然といるらしいし。

 しょせん例外的なケースを「世の中の大勢だ」と思わせてしまってるかも知れない、そのことの責任をメディアの現場はもっと厳しく自覚するべきだと思う。なんか俺って警察や教育委員会みたいなこと言ってるかなあ。でも、いくら陳腐に聞こえても、やっぱりそれが世の中のスジってもんだと思うんだけどなあ。