今 柊二『ガンダム・モデル進化論』

ガンダム・モデル進化論 (祥伝社新書 (004))

ガンダム・モデル進化論 (祥伝社新書 (004))

 ガンダム世代、という言葉がある。テレビアニメの『機動戦士ガンダム』をリアルタイムで見てハマった世代。最初のガンダムの放映が1979年だから、具体的にはほぼ70年代生まれ、おおむねいまの三十代と考えてもらっていい。

 彼らはただアニメに熱中するだけでなく、そのガンダムをプラモデル化したもの――略して「ガンプラ」にも魅了された。アニメやマンガが子供向けの作品単体としてだけでなく、それらプラモデルやさまざまなキャラクター商品、関連グッズとの複合形で消費されるスタイルを作り上げていった時期。まさにそのシステムの真っ只中で小さな消費者として自我形成された世代が、その原体験から改めて「ガンプラ」を可能にしていった「歴史」を検証しようとした仕事が本書である。

 もともとは「プラモデル進化論」と題された一連の原稿から、ガンプラに焦点を当てた部分を中心に編み直した一冊。余裕がある向きにはぜひ、もとの文脈もあわせて読んでもらいたいが、しかし、新書というパッケージにはこのガンプラ一点突破が正解なのだろう。ガンダムはおろか、マンガもアニメすらとんと何のことやら、という門外漢の世代にも、プラモデル産業が戦後の日本で発展してきた経緯や、そこから「ガンプラ」へ、さらにはモビルスーツという日本アニメ独特の要素に至るまでの技術史から精神史、さらには文化史的背景までが、具体的な事例から起こしてわかりやすく記述されている。

 ガンプラの末裔とも言える「食玩」と呼ばれるおまけつきのお菓子(もちろん、いまや本体はそのおまけ=「フィギュア」の方なのだが)は、数十億円市場と言われ、それ自体も精緻で上質のアートとして鑑賞されるようにもなっている。高度経済成長このかたのわがニッポンの「豊かさ」が現出させたそのような「文化」もまた、すでに世代を重ねた来歴を持つ。いわゆるおたく系の閉じたひとりよがりではない、開かれた姿勢でそれらを語ろうとする語り口に、まず好感。そう、ガンプラもすでにわれらの「歴史」、なのだ。