ジャーナリズム、正義ならずや

 

 敢えて言う。もはや「ジャーナリズム」は正義ではない。そのことを前提になお、おのれの仕事があることを、メディアの現場にある者はまず深く自覚するしかない。それ抜きの「ジャーナリズム」沙汰、ひとりよがりの正義ぶりっこなど単なるはた迷惑の勘違い。こんなご時世のこと、速攻で世間の袋叩きにあうのも理の当然とくる。

 他でもない、JR西日本の事故での記者会見、「あんたらはもうええ、(社長)呼んで!」とJR幹部を罵倒していたヒゲの新聞記者の件である。テレビに映されたのが運の尽き。「ありゃ何様だ?」と世論が沸騰、産経新聞以下、他紙もさすがに難じていたが、ついに週刊誌でも追求され、社名ばかりか実名までほぼ特定。しかし、そのご本尊はというと、取材に対して「ノーコメント」で逃げた由。恥知らずにもほどがある。偏向番組をめぐるNHKと朝日新聞とのいさかいにも、朝日のヒゲ記者がキーマンとして登場した。こちらも実名が事実上割れているのに、いまだに表に出ての釈明も反論もない。*1

 彼ら偏差値エリートのこのような自意識の歪みようは、かのオウムの一件以来、あたしゃずっと問題視してきた。ことはマスコミだけではないのだが、立派な社屋、結構な給料で「ジャーナリズム」の正義=勘違いにどっぷりつかったあげく、おのが職分を忘れたのぼせ方は赤面もの。問い詰めると「罵倒や恫喝も取材手法のひとつ」などと口走りかねないのだが、その口ぶりがまたしゃらくさい。「わかった上でやっている」といったもの言いの背後に、さて、どんな醜い特権意識がひそんでいるか、世間もバカじゃない、もういい加減思い知っている。