個人情報だだ漏れの現在

個人情報の保護ということを最近、やたらと言われる。ちょっとしたアンケートにでも、書き込まれた情報について責任を持って管理します、といった意味の説明がついてくる。クレジットカードを使うと、個人情報についての言い訳が。気持ちはわからないでもないが、いちいちわずらわしいのも確か。特に公務員系が深刻。「コジンジョウホウホゴ」と唱えると、何か電気でも走ったように緊張した表情になる不思議な呪文。

一方で、そんな個人情報を、自ら好んで世間に垂れ流したがる人が増えている。以前から当測候所でもとりあげているブログが典型。電網空間に向かって書きつづられる、ごく私的なよしなしごと。誰かに見られることを期待しているくせに、その見られ方が気に入らないと今度は逆に怒り出したり。自分が望むような自分の見られ方だけを認めたい欲望。ありていに言ってわがままなのだが、しかし、そんなわがままをわがままとも思わずに日々甘やかし続ける「個人」。そんな「個人」が、パソコンとブロードバンドによって広まりつつある。

どこにでもあるちっぽけなアパート。ウィークリーマンションと呼ばれる今様の木賃宿。遺体がふたつ、若い男女に、さらに箱詰めの乳幼児とおぼしき遺体が三人分。エアコンはつけっぱなし、ドライアイスの容器もそばに。まるでミステリー小説のような猟奇事件の現場は、神奈川県平塚市西真土。遺体の男女が異母兄妹であり、女性の名前が「岡本利加香」と判明したあたりから、電網住人たちを巻き込んで事態は動き始めた。

Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 心中異母兄妹のアパート 乳幼児3遺体発見 平塚

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060503-00000018-san-soci

心中異母兄妹のアパート 乳幼児3遺体発見 平塚

神奈川県平塚市西真土のアパートで二日、段ボール箱に入った乳幼児とみられる三遺体が見つかった。同じ部屋で前日、同室に住む無職、山内峰宏さん(35)と同居の妹、岡本利加香さん(19)の二人の遺体が見つかり、無理心中とみて捜査していた警察官が発見した。神奈川県警捜査一課と平塚署が死因などを調べている。

県警によると、山内さんと岡本さんは異母兄妹。一日午前十一時ごろ、家賃二カ月分が滞納になったため、管理会社から連絡を受けた山内さんの母親が部屋を訪れ、遺体を発見した。

山内さんは室内で首をつり、岡本さんは布団の中でうつぶせに倒れていた。解剖の結果、岡本さんは首を絞められて窒息死したとみられ、死後数カ月が経過。山内さんの遺体のそばに「死にます。一緒にさせて」と読み取れるメモがあった。

また、二日午後になって、室内に置いてあった段ボール箱二つの中から、ポリ袋に別々に入れられた乳幼児らしい三人の遺体が見つかった。

部屋は施錠され、エアコンがついたままだった。岡本さんの遺体のそばに空になったドライアイスの入れ物があり、山内さんが岡本さんの遺体を置いたまま、しばらく生活していた可能性が高いという。

産経新聞) - 5月3日2時51分更新

検索エンジンに「岡本利加香」と打ち込みenterキーを。パソコンを操作できるくらいの者なら誰でもできる、思いつくこの操作だけで、いとも簡単に個人情報がずらずら引き出されるのがいまどきの情報環境。いきなり、明治大学演劇研究会のサイトに「岡本利加香」の名前と顔写真が。

特別出演 岡本利加香 5月17日生まれ A型 役者 制作

お菓子が好きです。とにかく好きです。愛してます。

放っておけば1日中食べてます。むしろ主食です。

お菓子の家に住むのが夢です。

そのせいか最近お腹周りがとても危険なことになってますが、それでもお菓子はやめられません。台詞やダンスはもちろん発声や筋トレするのも一年半ぶりくらいでかなり緊張しています…。

基本的にマイペースなので稽古についていくのもいっぱいっぱいですが、筋肉痛を乗り越えつつ一生懸命頑張ります。

普通、こういう場合、同姓同名じゃないのか、と疑うのが電網住人の性癖。情報疑うべし、疑うべからず、を地で行く陽性懐疑主義者の沈着こそが本領。けれども、今回は年齢も合致するし、何より「利加香」なんて名前はそうなさそうだし、こ、これってもしかしていきなりビンゴ? と、おそるおそる盛り上がってみる。この間、報道が流れてからわずか数時間。しかも、サイトの管理者だろう、深夜2時から3時頃にかけていきなり彼女の部分と顔写真を削除するという荒技に出たために、かえってその信憑性を裏づけてしまうことになって火に油、ごく局地的にだが、いわゆる祭りに。

もちろん、まとめサイトもあっという間に。この種のサイトも昨今、ブログの形式が主流。有志が自由に情報を共有し、互いに編集しあってゆけるところが適しているようだ。

http://www12.atwiki.jp/newsp/

複雑多岐にわたる今回の事件の関係者相関図。捜査担当者顔負け。

http://www12.atwiki.jp/newsp/?cmd=upload&act=open&pageid=5&file=14%E3%82%B9%E3%83%AC%E7%9B%AE385%E6%B0%8F%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E2%86%93%E3%81%AE%E4%BF%AE%E6%AD%A3%E7%9B%B8%E9%96%A2%E5%9B%B3+.jpg

自分のブログを持ってたり、何かサイトを開設していたり、というのは、IT革命以降を生きるいまどきの十代には珍しくない。この彼女も自分の趣味のサイトを複数持っていた。ひとつは「レイヤー」と呼ばれるコスプレ趣味のサイト。さらにはモー娘。の応援サイトも。何もパソコンを使わずとも、携帯電話からでもそのようなサイトは開設できるし、日々の更新だってできる。わがニッポンのIT革命最大の功績は、携帯電話を国民的規模でIT端末として使い回すことを可能にしたことか。キーボードのタイピングもさることながら、それよりなお、ケータイのテンキーで日本語を打ち込んでゆくスキルこそが、新しい日本人の条件になり始めている。

【HN】西原瑠璃亞(るりあ。)

【HNの由来】好きな役者さんと好きな漢字と語呂合わせ

【性別】女の子

【誕生日】1986年5月17日

【星座】おうし座

【血液型】A型

【住んでいるところ】神奈川県

【生まれたところ】神奈川県

【似ている芸能人】言われたことない・゚・(ノД`)・゚・

【身長】156~8cmくらい?

【足のサイズ】23.5cm

【握力】中学の時に20kgくらいだったかな?

【口癖】ねーねー

【性格】自覚症状:ワガママ、甘ったれ、人見知り 人に言われる:毒舌、小動物

【タバコ】匂いも煙も嫌

【持っている資格】英検準二級だけ;

【使っている携帯電話】auのA5304Tの黄緑 近々変更予定ー。

【好きな芸能人】パペットマペットモーニング娘。

【好きな食べ物】お菓子、果物

【嫌いな食べ物】きのこ、貝、苦いもの

【好きな飲み物】クリームソーダとか。

【嫌いな飲み物】何も入れてないコーヒー・紅茶、グレープフルーツジュース

【好きな映画】ハリーポッター

【好きなブランド】あんまり着ないけどLIZLISAは好き。

【好きな花】すずらん、かすみ草

【好きな動物】犬

【尊敬する人】(///▽///)

【今一番行きたいところ】ディズニーランド。

【初めて買ったCD】SPEEDの「STUDY」だったかな?

【生まれ変わったら】犬かイルカ

【Myリンク】amabile コスプレサイトです。

LoLLiPoP*MiRaCLe W(辻加護)応援サイトです。

http://web.archive.org/web/20041020104533/tsujinozomi.fc2web.com/text.htm

西原瑠璃亞 様

コスプレネーム  西原瑠璃亞

コスプレ歴  4年

今日の衣装 アイリス(サクラ大戦2)

コスチュームの製作期間 買った

今日の衣装の見所 ジャンポールと一緒のとこ?

次回やってみたい、もしくは予定しているキャラは何? 「ゆめりあ」のねねこ

意味不明なのは趣味の世界のこと、お許しを。サクラ大戦、はセガサターン用のゲームソフト。ゆめりあ、はプレステ2用のゲームソフト。もちろん、ゲームというのは単なる出発点に過ぎないわけで、そこからCD、ビデオ、アニメからコミック、舞台レビューから同人誌市場に至るまで、ありとあらゆるメディアとからみあった複合キャラクター商品になっているのが昨今。そんな趣味の世界を切実なものとして生きていた彼女の生、十九年の痕跡が、デジタル化されこってりと残されている。

文明開化より五十余年……。

帝都・東京は、西洋文化と日本古来の文化が入り交じったモダンな街並みが軒を連ね、そこを走り抜ける蒸気鉄道、馬車、人力車、そして蒸気自動車、空には飛行機が飛び交い、町の地下には地下蒸気(地下鉄)の線路が張り巡らされているなど、高度な文明都市が築き上げられていた。

しかし、その反面、怪物や呪術が実在する幻想都市でもあった。陸軍ではとても手に負えない特殊任務や人命救助、そして異形の化け物から帝都を守るべく結成されたのが、陸軍所属から独立した政府直属の対降魔(こうま)組織、帝国華撃団(ていこくかげきだん)「花組」、略称「帝撃」である。

集められたメンバーは、昼は大帝国劇場のスターの顔を持つ若き少女たち。独自の装備と特権を持つ「帝撃」は銀座に「花組」の本部があり、大帝国劇場の地下には司令部が設置されている。その他浅草・花やしきにも支部があるという……。

そんな「帝撃」に、一人の青年将校が転属してきたところから、この物語が始まる。

サクラ大戦 公式サイト

http://www.sakura-taisen.com/

ゆめりあ、公式サイト

http://www.yumeria.com/

繰り返すが、何も高度なカウンターインテリジェンスを駆使したわけでも何でもない。普通に検索をかけてクロスチェックをしてゆけば、電網から引き出される程度の情報である。個人情報保護、が声高に叫ばれながら、個人情報を自ら発信してゆく「個人」がかくも遍在するパラドクス。さらに、こんな類の情報もまた吹き寄せられてくる。これはその彼女の姉とおぼしき女性についてか。根も葉もない書き込みと片づけてしまうには、店名や年齢などのディテールにいちがいに無視しきれない微妙な手ざわりも。タレコミもまた、このように飛び交うのが電網空間。マスコミも「足でかせぐ」より前に、まずネットであたりをつけることが必須にならざるを得ない。

33になる千鶴子の長女は手癖の悪い人間だった。

カラオケ屋(宝町アミーゴ)でバイトしてる時はレジの金をくすね、その後勤めたヤスダヤ(駅ビル)でも同僚の給料袋を丸ごと盗むような女だった。

確か、新聞配達を生業とする男の子を身篭り結婚したはず。

最近ではブログと並んで、ソーシャルネットワーキング(SNS)をこととするサイトも、実は猖獗を極めている。代表格はやはり mixiミクシィ)か。ここはすでに参加者が400万人、コミュニティ(内輪のグループ)が60万以上に達しているという。「人と人との出会いを電子化する」とか何とか能書きはあれど、要は、出会い系サイトに互いの日記や掲示板、個人情報などを相互に参照しあえるような仕組みを相乗りさせたもの。これまで匿名性を武器にしてきたネット以下、この種のサイトの逆手を取り、ここでは互いにある程度素性のわかった者の紹介がないと参入できない仕組みにしてあるのがミソらしい。

サイトやブログに手を出していれば、当然このSNSにも行きつく。彼女もやっていた。仮に趣味など何か特定のテーマがなくても、住んでいる地域や行きつけの店などを軸にもコミュニティは構築されるから、SNSに関わっていればどこかで何らかのきっかけで個人情報などはいくらでも引き出すことが可能になる。ましてそれは、当局だの権力だのが外から強制的に発信させるものでもなく、「個人」が自発的に、好きこのんで自ら電網空間に書き込み、おのが足跡をどんどん残してゆくだけのこと。かくて、あれよあれよという間に今回の事件の時系列的なクロニクルができあがってしまった。母親の山崎千鶴子の方は由緒正しい警察-マスコミ系列のリリース情報がソースで、しかし、娘の方はネットその他で引き出された断片情報が要所要所でポイントに。デジタルディバイドというやつは、こんな猟奇事件化した際にもなお、意外に深刻な落差を演出もするらしい。

【1951年7月】山崎千鶴子、青森県北津軽郡の農家の次女として誕生

【1966年】千鶴子、中学卒業後に北海道へ集団就職、しかし1年で実家に戻る

【1970年】千鶴子(19)、車中で出会った岡本氏と結婚し奥尻島へ、一男二女を儲ける

【1971年】峰宏、平塚市で蕎麦店を営む山内利男(32)の次男として誕生

【1975年】千鶴子(24)、次女(2)を連れ不倫相手と函館へ駆け落ち、後に神奈川へ

【1976年】千鶴子と利男、神奈川のキャバレーで出会い交際

【1978年】千鶴子(27)、岡本利英を出産(利男39歳、峰宏7歳)

【1978年】峰宏の父母が離婚、峰宏の実母と入れ替わりに千鶴子が蕎麦店へ

1984年】峰宏(13)、実母の元へ

1984年12月】利英(6)失踪(千鶴子32歳、峰宏13歳)

  千鶴子の母によると、この頃から、千鶴子は人が変わってしまった。

【1986年5月】千鶴子、利加香を出産(千鶴子34歳、利男47歳、峰宏15歳)

【1993年】北海道南西沖地震による津波奥尻島に住む千鶴子の夫が死去

【1997年】蕎麦店閉店、利男、喘息で死去(56)。葬式で、峰宏、千鶴子、次女と再会

【2001年】峰宏(30)実母の元を離れレオパレスに入居

【2002年】利加香(15)関東国際高校(渋谷区)入学。コスプレにはまる。衣装は千鶴子の次女・ミキコ(33)製作と思われる。

【2004年3月】利加香(17)関東国際高校(渋谷区)退学

【2004年4月】利加香(17)引越し準備(日記より)

【2004年8月】利加香(17)不眠で千鶴子の睡眠導入剤を飲む。この頃から、この話題が出始める。

【2004年11月】千鶴子 入院

【2005年1月】明治大学演劇研究部の劇団員となる

【2005年2月】千鶴子、家賃未納でマンションを強制退去時に自殺未遂

【2005年2月】千鶴子、利加香が峰宏の住むレオパレスに同居

【2005年8月】利加香に彼氏ができる(日記で報告)

【2005年8月】利加香、明治大学演劇研究部の公演に主役級で出演

【2005年10月】利加香、ネットに最後の書込み、直後に絞殺される

【2005年12月】峰宏、警備員のバイトを退職

【2006年3月下旬】千鶴子が自転車に2人の幼児を乗せているのを近所の人が目撃

【2006年3月】峰宏、首吊り自殺

【2006年5月】峰宏、利加香、幼児1人、乳児2人の遺体発見、千鶴子逮捕

俺は凄い事に気が付いた

リカコの痕跡はあるのに峰宏の痕跡は無いのは何故か?

おそらくヲタクグッズやネット上の痕跡やら消すのに膨大の時間がかかったんだな。

だから自殺までタイムラグがあった。

今日あたり、リカコ姉33の写真が出て来て、それがスッゲー美人だったら祭りだなw

ついでに、姉33の娘(高校生)の写真まで出て来て、母親派と娘派に別れて収集がつかなくなるw

江戸川乱歩横溝正史も、21世紀にはこんな「2ちゃん探偵」がいることなんかまったく想像もできなかったろうな。。。

平塚だけではない、その直前、岐阜県中津川市で15歳の少年が中学二年の少女を殺害する事件が起こっていたが、この事件の場合も、犯人と被害者、双方の個人情報はあっという間に電網空間から引き出された。ふたりの名前も、通っていた学校も、そして事件の原因とおぼしきことについても微に入り細にわたって。警察やマスコミなど、必要な組織が専門技術をもって調べるより先に、電網空間の世間におよその情報はすでにあらかじめ共有されている。問題は、それを必要に応じて効率的に検索、引き出してゆく仕組みというのがまだ、うまく準備されていないことと、そんな仕組みを考えようとすること自体が「コジンジョウホウホゴ」の呪文に存分に呪われるという現在。いまの十代にとって「個人」の意味はすでにこのように変貌している。自我もプライバシーも、もちろんあの人権でさえも、このようにあらかじめ電網空間に個人情報を拡散させてしまっているところからしか成り立たない、そんな環境を彼ら彼女らはすでにもう生きざるを得なくなっている。

ちなみに、件のアパートのあった平塚市西真土という地名。ここは明治初年、真土村騒動という地租改正にまつわる民衆蜂起を起こした土地。電網にもその真土村騒動の記述はちゃんとある。だが、西真土の地名を検索にかけて真土村騒動関連の情報が引き出されたとしても、普通はそれ以上にはならずスルーされてしまうだろう。そうならなかったのは、当測候所員の周辺に民衆史を専攻した偏屈者がいたせいである。もちろん、だからといって今回の事件について、何か新たな見聞、独自の解釈が加わったかというと、それはまた別の話、である。